どうしたの?目が腫れてるけど

う、ううん。ちょっと眠くなって……目をこすっちゃっただけ

……何かあったら言いなさいね

お母さんの言葉は、とても素っ気なかった。

私はそんなの期待してなかった。
もっと「無理しないで」とか、気遣ってほしかった。



けど、結局何も言えなかった。

私は、誰にもいじめを言うことができなくて、ずっと下を向いて歩いてた……

家に帰りたくない時もあったけど、お母さんに怒られるのが怖くて、下校時間になったらすぐに帰ってた……

苦しかったな……

白い部屋に、私はひとりきり。
同席しているのは、不規則に砂を落とす砂時計のみ。


私の呟きはスクリーンからの声にかき消されてしまい、誰にも届くことはない。

相槌を打つように、砂時計が流れていく。

この砂は、一体どのタイミングで流れているのだろう……

あの娘さ、マジ暗くない?

ほんと~!何が楽しくて生きてんのって感じだよね~!!

小学校でロクに友達を作れなかった私は、中学に入っても一人だった。


たった一人の私を、周りは嘲笑った。
移動教室で廊下あを歩いてる時も陰口がついて回り、グループを作るときも余りもの扱いだった。



泣かないように必死だった。
泣いたら、きっといじめは更に激しくなる。
どんなに苦しくても、歯を食いしばってなければならなかった。


その頃には、私はお母さんに頼るということすら捨ててしまっていた。


中学生ながらに、お母さんは何があっても動いてくれないだろうことを悟ってしまっていた。

中学に上がったころに、お母さんは昇進したって聞いた……

その時のお母さんは私が知ってる限り一番嬉しそうだったけど、私は素直に祝うことができなかった

一人の時間が増えていくから…………

白い部屋をたった一人で座っている。

目の前には、私の記憶のスクリーン。


映像の私は部屋で枕を濡らしていた。

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