佐島くんに告白して、保留にされて数日たった
はい、体育祭も無事終わりまして、次は文化祭に向けての準備を行いたいと思います
おお! 学校行事で最も盛り上がるとされる文化祭ですね!
うん、そして生徒会役員が一番疲労する行事ね……
じゃあ僕、逃げていいですかね
会計が逃げてどうするの!?
秋アニメも、これからがいいところなんですよ
まあ、確かに……
って、そうじゃない!
佐島くんに告白して、保留にされて数日たった
私たちの仲は……依然と全く変わらない。
変わらないからこそ……
佐島くんの考えていることが全然分からない
気持ちを言ったら楽になるとか、そういうことはなかったみたい
っていうか、ほんといつも通りなんだよなあ
ええっと、確か各クラスには生徒会から1万まで、経費として与えられるんですよね
そうそう。だから、領収書の管理をちゃんとしなきゃいけないよ。
なんかめちゃくちゃ大役じゃないですか
頑張れ~
えー……僕、暫くレアキャラになる予定だったんですけどー
レアキャラ?
暫く姿を現さず、出会ったらラッキー、くらいのレアキャラです
冗談もほどほどにねー
酷いですね。割と本気ですよ
他に本気を出すところがあるだろう
やっぱり、すがすがしい程にいつも通りの会話だなあ……
佐島くんにとって、私は意識するのにも値しない人間なのかな
書記のアスナはどうすれば?
あ、じゃあ各クラスの出し物の希望をまとめていって
内容によっては容赦なく没にするからね
め、面倒くさそうです
仕方ないでしょ、毎年やっていることなんだから
……俺は
ああ、竜弥は……
寝る係?
そんなわけあるか!!
そうだ、保存用に各クラスの作業経過を撮影していってほしいんだけど
あ、それアスナもやりたいです
え? いつになくやる気……
力仕事を分担して行う男の子たちの絡みが見られるじゃないですかぁ
……そうですねー
はぁ
……お疲れですか?
お蔭さまで、割と
まあ、体育祭の記録も生徒会長殿がほぼ一人でやっていたものでしたからねー
アスナちゃんは放送部の片づけの手伝いをしていたし、竜弥は普段太陽の元に出ないからバテていたし、佐島くんも……軽く熱中症になっていたから無理はさせられなかったし
ていうか、今佐島くんと一緒に作業するとか絶対に無理だし
しかし、そんな鈴石先輩は
ん?
受験勉強の方は、進んでいますか?
聞くな!
結構重要な問題ですよ
そう言われてもねえ……まあ、手をつけていないことはないし、なんとかなると思うんだけど
受験勉強を存分にできないのは大変なことだとアスナも思います
なんといっても、人生に一度っきりの大学受験ですからね
そう……だよね
まあ、浪人という手もありますけど
それは、ちょっと無理
そうなんですか?
親が体裁を気にして浪人は許してくれないんだよねー
そういうものなんですか
うん……ただでさえデザイン系を目指しているから最近は衝突も多くてね
じゃあやっぱりお疲れですよね
まあ、ね
佐島くんのこともあるし……ね
佐島くんは……今何を考えているのだろう
胸が、強く締め付けられる感覚がする
じゃあとりあえず各クラスの出し物の希望を見ていくよ!
えーっと、『ロシアンルーレット式たこ焼き屋』『和風喫茶』『お化け屋敷』
まあ、この辺は容認だね。タコ焼き器が意外に高いけど……持っている人のを使うか、1万以内で頑張るか……
その辺はクラスがなんとかするでしょう
そうだね……次は『メイド喫茶』『西洋のもの展示会』
……ありがち
いや、展示会はやるクラスは毎年ある。ただ西洋のものってのは気になるな
問題はお金だけどね
何をするにしても、やっぱ大事ですからね、お金
最近グッズに貢ぎ過ぎてやばいです
分かる! 私もアクキー、ラバストからOPやEDのCDまで網羅しそうで
うわあ、オタク引きますねえ
そ、そう言う佐島くんはどうなの?
ブルーレイboxで全ての金が飛んでいきました!
でも、楽しいからいいんです。僕は今、とっても幸せです。勝ち組です
私も……
勝ち組だといいたいところだけど……
佐島くんのことで手いっぱいで実はアニメも全然見れていない……
と、とりあえず続き見るよ!
ふむふむ……『キャバクラ喫茶』
はい、没!
キャバ嬢風にお客様をお迎えする喫茶店ですよ? 楽しいそうじゃないですか?
いやいや、なんでも喫茶って言えばいいわけじゃないからね
高校生なんだから健全さを目指そう
そうしたら、メイド喫茶も不健全だと思うんですけど
何故ですか?
もう、メイドという響きからいけない匂いがぷんぷんしてきません?
えー、そうですか?
メイドは消す訳にはいかない!
メイドがいかに萌える存在であるか、全生徒に知らしめなければ!
生徒会長の個人的趣味によりメイド喫茶は容認されました~
なら、『執事喫茶』もほしいですね
執事同士が給仕中にわいわいやっているのをみただけでお腹がいっぱいになります!
乙ゲーみたいで、好き
まあ……悪いとは言わないけど、それを提案しているクラスがないからね
むー
そうだ、アスナちゃんたちのクラスは何にしたの?
クレープ屋ですっ
なるほど……じゃあちゃんと代表者の検便を提出してね
分かってます
食べ物系は検便があるから面倒ですよね
佐島くんのクラスは何にしたの?
イルミネーションです
イルミネーション?
部屋を真っ暗にして、ランプとかステンドグラスとか使って綺麗な空間を作ろうかと
へえ……新しいね
発案者の発想力がすごい
お褒めに預かり光栄です
発案者、佐島くんなの!?
はい
佐島殿が……こんな乙女チックな発想をするとは……
あー、なんか夏に花火見に行ったじゃないですか
うん
その映像がふと、浮かんできて
誰も案を出さないので発案してみたら通ってしまいました
驚きです
花火からイルミネーションに向かう発想力を見習いたい
鈴石先輩のクラスは……
ああ、三年生のクラスは出し物はないんでしたね
流石にこの時期に学祭準備とか言ってられないからねえ
だからみんなよりは、生徒会の仕事も進められると思う
…………
…………
鈴石先輩、ここは僕たち二年生に任せてみませんか?
え?
生徒会長殿の分まで精一杯働きますから
ど、どうしたの? 急に
僕たちは、鈴石先輩に志望校受かってほしいんで
ほ、ほんとどうしたの?
今までは何も……
何も言わないのは、もうおしまいです
え……?
すれ違いの日々……
さらに、佐島くんの気持ちが分からなくなってきた
続く