朝食や準備を終えた私は
翔くんと一緒に学校へ向かって歩き出した。
そして早速、疑問をぶつけてみる。
朝食や準備を終えた私は
翔くんと一緒に学校へ向かって歩き出した。
そして早速、疑問をぶつけてみる。
ねぇ、翔くん。
今日はどうしたの?
え、えっと……その……
た、たまには一緒に
学校へ行こうと思ってさ。
そう……なんだ……。
――なんか翔くんは歯切れが悪い。
絶対に何かを隠してる。
昔から翔くんは隠しごとをする時、
頬がかすかにヒクヒクするクセがある。
まさに今の翔くんにはそれが出てる。
本当にそれだけなの?
やっぱ、ミコに
隠しごとはできないか……。
ほら、私の思った通りだ……。
じ、実はさ、
今日ってミコの誕生日だろ?
何かほしいものないかなぁって
聞こうと思ってさ。
っ!?
覚えててくれたんだ?
5月9日が私の誕生日だって。
すごく意外だった。
だってここ数年は誕生日に翔くんから
何もアクションがなかったから。
正直……ちょっと嬉しい……。
私が視線を向けると
翔くんは苦笑しながら照れている。
ま、まぁ、色々あって
思い出したっていうか……。
色々?
そ、そんなことより
ほしいものはないか?
近いうちに用意するよ。
近いうちに……か……。
受け取る時なんて来るのかな?
それにもう、ほしいものなんてない。
受け取ったところで、
すぐに不要になっちゃうと思うし。
だってあの世には物を持っていけないもん。
持っていけるとしたら、
三途の川の渡し賃くらいかな……?
……ありがと。
でも気持ちだけで充分だよ。
そうはいかないって。
んじゃ、
俺が勝手にプレゼントを用意する。
受け取ってくれるよな?
も、もちろん……。
思わず同意してしまった。
その時の私は目が泳いでいたと思う。
咄嗟に視線を逸らしたから、
翔くんには気付かれてないはずだけど。
目を見て返事なんてできないよ……。
プレゼントを受け取れるまで
私の心が耐えられるか分からないもん。
――ううん、きっと無理。
もう私は限界。
翔くん、
嘘をつくことになっちゃってゴメンね……。
絶対の約束だからな?
う……うん……。
でも変なものはやめてよ?
渡せないなんて……
俺は絶対に嫌なんだからな?
だ、大丈夫だよ。
翔くんからのプレゼントだもん、
受け取るよ……。
……ならいいけど。
翔くんはすごくホッとした顔をしていた。
でもそこまで息をつくなんて、
どうしてなんだろう?
それに念入りに私に約束させるなんて、
まるで私がそれを守らないとでも
疑っているみたい……。
実際……そうなるかもだけど……。
あれ?
…………。
その時、私は翔くんの横顔を見ていて
あることに気が付いた。
すごく顔色が悪くて辛そう。
しかもちょっと呼吸も乱れているみたい。
激しい運動をしたワケでもないのに。
よく見ると額に汗もかいてる。
ねぇ、翔くん。
少し顔色が悪いよ?
体調でも悪いの?
えっ? き、気のせいだろ?
俺はいつも通りじゃん。
そうかな?
ミコこそ、顔色が良くないぞ?
そ、そんなことないよっ!
私はいつも通り元気だよっ!!
私は笑って誤魔化した。
そしてこれ以上、
変に勘ぐられないよう
この話題には触れないことにした。
だって深く追求されたら……
私の決意がバレちゃいそうだもん……。
次回へ続く……。