なに、コレ……

窓ガラスは、まるで自分で演算処理をしているように、大量の数字が流れていく。

それが何か分からない私は、ただ呆然とするしかできない。

何が始まるの……?

砂時計が強く輝きはじめる。
ガラスの管が吹き飛ぶんじゃないかと思うくらい激しく回転し始める。


何が起こるのか、私には全く分からない。

突然、視界が真っ白になった。

窓からの発光が部屋自体を覆いつくしてしまった。


思わず顔を逸らし、目をつぶる。

…………っ

輝きが収まった。


ゆっくりと周りを見回しても、部屋に特に変化はない。


えっ……

――――否



窓ガラスは真っ黒ではなかった。

窓枠一杯にまで敷き詰められたガラスには風景が、

「映像」が貼りつけられていた。

どこにでもありそうな、小さな民家の外観。


だけど、それは私にはどこか見覚えがあるもので――――

違う………

私の家だ…………

ほら、早くしなさい!幼稚園遅刻しちゃうでしょ!!

ううっ……ぐすっ…………

これ……お母さんと私だ

お母さんに手を繋がれて歩く幼い「私」。

幼稚園に生きたくないと駄々をこねる私の頬をポロポロと涙がこぼれて行った。

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