次に私が向かったのは、大学だった。


 運よくも私たちは同じ大学に進学することができた。そして、タツキの趣味がギターだったので、軽音サークルに一緒に入った。

ミユ

ここだ……


 他の校舎よりもちょっと古いキャンパスの奥の方にある建物は、部室棟と言われ、サークルや部活の部室が集まっている校舎である。

 サークル勧誘の張り紙が廊下の壁には所狭しと貼ってあって、初めて入った時はちょっと怖いところだなあと思っていたけれど、慣れてからは授業がないときはよくここにきて、お喋りをしていたものだ。


 コンコン、とドアをノックすると、中から「はーい」という声が聞こえてきた。

ユウノスケ

あ……ミユさん。……こんにちは


 中から出てきたのは、雄之助くんだった。

 留年して大学五年目の四年生のユウノスケくんは、アツヒコくんと仲良くしているみたいで、何度か一緒にタツキを訪ねてうちに来たことがあった。

ユウノスケ

アツヒコさんから、いろいろ聞きました。タツキさんのことも……


 私がアツヒコくんに今日大学に行くと言っていたから、もしかしたら気を使ってユウノスケくんは部室に居てくれたのかもしれない。

ユウノスケ

俺、ちょっと前に会ったばっかりだったんです……だから、なんていうか、すごいショックで……。ごめんなさい、ミユさんの方が、俺の何百倍も今、つらいですよね

ミユ

ありがとう、ユウノスケくん


 泣きそうになりながらそう言う雄之助くんに、私は小さく笑みを返した。

3通目 大学の部室のギターの裏(1)

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