榊原 信也

 まあ、この話は置いといてだ。

 瑞希、戦闘データのまとめは終わったか?

 タブレットから送信されたデータを空中でまとめている希に話かけた。

神宮寺 瑞希

 ええ、ちょうど終わったところよ。

 瑞希が最後にエンターボタンを押すと、データがグラフ化され、希の予測戦闘データが浮かび上がった。

榊原 信也

何だ、これ?

 信也が驚きを隠せないでいる。

 それもそのはずだ。

 瑞希が出したデータは、すべての分野においてステージ3の文字が表示されてるデータだったからだ。

霧裂 静香

 瑞希、これは正しいデータなの?

 静香が空中に浮かんでいるグラフを見ながら、希に聞く。

神宮寺 瑞希

 ええ、自分でも驚いてはいるけれど、データに間違いはないわ。

 瑞希は、手元のタブレットと照らし合わせながら言った。

榊原 信也

 じゃあ、どうして俺らは希に負けたんだ? 

 能力値から見て、ステージ3の生徒がステージ5の生徒に勝つなんてありえないぞ?

 信也は少し声を荒げて言った。

霧裂 静香

 身体能力を上げる能力があるのかもしれない。

  静香がデータを見て言う。

神宮寺 瑞希

 だとしたら、静香の遠距離攻撃で弾幕を張れば何と勝てるかもしれない。

風宮 梓

 いいえ、希さんの能力は身体能力の向上じゃないわ。

 控え室のドアが開き、生徒会長が控え室に入ってきた。

神裂 希

はあ。疲れた。

 私は、体育館を出てすぐの自販機にもたれかかり、ため息をついた。

金剛寺 猛

 おい。ここで何をしている。

 そう言って話しかけてきたのは副会長の金剛寺猛であった。

神裂 希

 あっ、副会長。あの、腕の事、すみませんでした。

 私は自販機から背中を離し、深く頭を下げた。

金剛寺 猛

 よせ、あれは試合中のことだ。

 お前に非は無い。

 それに、医療班の治療でで元に戻ったからな。

 そう言って金剛寺が、頭を上げろと私に言う。

金剛寺 猛

 ところで、あの攻撃がお前の全力か?

神裂 希

 違います。

 私は即答した。

 たぶん、この人は私が手を抜いたことに気づいている。そう思ったからだ。

 ここで変に言い訳しても、意味がない。

金剛寺 猛

 だろうな。 

 どうやら、副会長には、お見通しのようだ。

金剛寺 猛

 まあ、お前が何者であるかはこの際どうでもいい。

 だが、この学園に在籍している間は、学園生として行動しろ。

 あと、もうすぐ時間だ。体育館に戻れ。

 そう言って、金剛寺は体育館に戻って行った。

神裂 希

 学園生としての行動か……。

 できればいいな……。そんな生活。

  私は金剛寺副会長に言われたとおり、体育館に戻ることにした。

第三十一話:《作戦会議2》

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