淳史

七夕上演会…ですか?

遡ること一時間前
それは雫の発言によって始まった

せっかくの七夕なんだし何か面白いことしようよ
上演会とかさ!!

桜花

上演会って…急じゃないですか
しかもお客さん集めれないですよ

慧人

確かに厳しいだろうな
何より台本もなければ練習もしてないからな

ま、お客さんは部員ということで
台本も練習もなくてもできるとっておきがあるじゃないですか

そう言いながら雫は黒板に直線を引いていく

縦横無尽に形成されたその直線はいわゆるあみだくじそのものであった

桜花

なんですかこれ?

あみだくじ!

淳史

見て分かりますけど…

教卓をバンッと叩きながら雫は教室中を見回した

みんなちゅーもーく!
今日の練習はアドリブ練習をします!黒板にあみだくじを作ったから、とにかく名前書いて

桜花

先輩、私も参加ですか?

もち♪
裏方の子たちも名前書いてね

厳正なるあみだくじの結果、桜花・雫・慧人・淳史の四人グループが作られた

黒板には配役が書かれており「織姫」・「彦星」・「神様A」・「神様B」と分けられていた

慧人

配役どうしようか?

桜花

私は何でもいいですよ

淳史

自分も特に希望は無いです

じゃあくじ引きでいっか

ー厳正なるくじ引きの結果ー

桜花

神様Aみたいです

淳史

神様Bです

ひっこぼーし

慧人

おり…姫

織姫だけにこの役降りたいって、慧人君もなかなかダジャレを言うようになったね

慧人

一ミリもそんなこと思ってないですから!!

そういうと慧人は一人で練習を始めた

といってもアドリブ練習。何が起こるかはその時にならないと分からないのである

じゃあ、みんな準備はオッケー?
アドリブ練習。お題は「七夕」よーいはじめ!

雫の言葉で物語(カオス)が始まるのっであった

彦星

やっと会えたね織姫!
一年間君に会いたくて仕方なかったんだ

織姫

私もよ彦星
貴方に会える日を待ち望んでいたわ

彦星

ところで織姫
その隣にいる人は誰だい?

織姫

そういう彦星こそ
その隣の女の子誰よ!

神様A

どうも神様です

神様B

どうも神様です

ノリノリの雫と吹っ切れ慧人
口を揃えていう神様達

現場はまさに昼ドラ(カオス)を迎えようとしていた

織姫

まさかとは思うけど…浮気?

彦星

そういう君こそ、そなのかい?

沈黙が続く

アドリブ練習では最も避けたい状況
ここで誰かが終わりに向けるようなセリフを言わなくては、このカオス(物語)は終焉を迎えることができないのである

神様A

はぁ…
喧嘩をするのはやめてください。お父さん・お母さん

織姫

おかあ…さん?
ってことはつまり、彦星あなたも!!

彦星

そうだよ
君に会えない間、僕はとっても寂しかった
だからお願いをしたのさ。家族が増えますようにって…そしたら本当に増えちゃって

神様B

初めましてお父さん
僕もお父さんに会えるのを楽しみにしていました

織姫

な~んだ
私たちってほんと考えることも一緒なのね
そういうところも好きよ
あ な た

「以上でうちの班の発表を終わります。ありがとう」
と慧人が早口でいい、この場を終わらせるのであった

慧人

当分、アドリブ練習はいいかな…

げっそりとした顔になりながら、慧人はつぶやく

「えー、お似合いだったよ?」
「先輩…素敵でした!」
等と班の二人が口々に言ってる

桜花

けいちゃんの女の子役…ありかも

慧人

無しです

「ぜってー、一生やらないから」
と慧人は拗ねてしまい、桜花は「冗談ですよ」と返すのであった

そうこうわいわい言い合っていると、雫があるものを皆に配りだす

ほい、短冊
まあまあ願いでも書いてよ
あ、名前は書かなくていいからね

桜花

どうしてですか?

後で私が読んで、誰が書いたか妄想するよう!

慧人

うげ
悪趣味っすよ先輩

なんて苦言を呈しながら、短冊に願い事を書く

私利私欲の吐露が書かれたり、はたまた聖人のような願いを書く者も…それぞれの願いは十人十色といった風である

「演技が上手くなりますように」
「この関係がずっと続きますように」
「壁を超えられますように」
「この場所にずっといたい」
各々の短冊。各々の思い…夜空の星へ届く。願えば叶う、そう誰かが言っているような気がしたのでした

皆様の願いが叶いますように!

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