予約から1か月と少し、やっとメンタルクリニックの初診の日がやってきた。

ええと保険証とお金…あとはもち(娘)のぐずり対策と…飲み物と…

午後一の予約だったので行く道中で子供(1歳)を昼寝させるつもりだったが、夫が午前中連れ出した際に寝てしまい少し予定が狂った。

初診て時間かかるよなぁ、大丈夫かな…。

夫にカーナビの入力をお願いしておいたところ、25分程度で着く予定らしい。ただ、道が混むので少し早めに出ることにした。

んん~!!

イヤイヤ期の前兆なのか、最近車に乗せようとすると必ず娘が抵抗する。毎日のことなので、これも地味にストレスとなっている。

少し混んでいたがなんとか予約の10分ほど前に到着した。午後診療のため間もなくドアが開き、3人で中に入る。

初診の予約をした者ですが…

保険証を渡すと待合で待つよう促された。

クリニックの外観は一見病院ぽくはなく、普通の家かちょっとしたカフェのようだった。中も木の床で、待合も木のベンチと木のテーブルがある。子供がいるので邪魔にならないよう3人で端の方に座る。

初診の方はこちらの記入をお願いします。

問診票を渡される。
問診票は既往症などの一般的なことのほかに、
「困っていること」
「その原因として思い当たることなど」という
メンタルのお医者さんらしい項目が並んでいた。
わかっていたことではあったが、いざ書こうとするとなかなか抵抗感がある。

なんとか項目を埋めて受付に返し、しばらくすると看護師さんがやってきた。

初診の方ですね。まずは予診ということで私が話をお伺いしますね。こちらへどうぞ。
旦那さんは、また後で別にお伺いしますね。

はい。

娘を夫に託して看護師さんへついていく。

どうぞ座ってくださいね。
ここはお悩み相談所だと思って、何でも話してください。私たちが力になりますからね。

看護師さんが問診票に目を通しながら話を進めていく。

怒るのを抑えることができない…これは、誰に対して?

基本的に旦那に対して些細なことで怒ってしまって、どんどんヒートアップしてしまうんです…。他人にはそういうことは一切ありません。家族に対してだけです。

うんうん、そうね、身内だと他人と違って、一線を引くのが少ししづらいわよね。私もそういうことあるのよ。家族に要らないことを言ってしまったりしてね。

こういうことを一切関係のない他人に話すのは何だか抵抗もあるし、不思議な感じはした。でもせっかくこういう機会ができたんだから、伝えるべきことはしっかり伝えることにしていた。

家族構成や出身地、今の暮らしの状況などをざっくり聞かれたあと、少し自分にとっての核心に触れた。

この、「赤ちゃんの時に放置されがちだった」っていうのはどういう感じだったの?

うちは兄が手のかかるタイプだったもので…私が小さいうちは泣いていても放っておかれてそっちを優先していたみたいで…

この話は、自分の記憶が残っているわけでもないのに口に出すと辛くなってしまい、涙目になった。
看護師さんがそっとティッシュを置いてくれた。
その他にもなにか世間話のようなことをした。

ここに来る人はね、ほとんどの人が人間関係に悩んでくるの。先生は一人なんだけど、私みたいな人が何人かいるから、誰にでも、なんでも話してね。

はい…ありがとうございます。

旦那さんは毎日お弁当?

はい。一応作ってるのを持って行ってます。

まぁ、えらいのね、がんばってる。

この一言がものすごく響いて、私はぐずぐずと泣いてしまった。頑張りを認めてもらえる感じがとても嬉しかった。

それじゃあ、待合の方でお待ちくださいね。旦那さんにも話を伺うから、呼んできてもらえる?

待合で娘をあやしていた夫と交代した。娘を抱っこする。

みっともなく泣いてしまった…。

優しく話を聞いてもらうだけでもこんなに気持ちが楽になるんだと思った。
「心は見えないからすぐに良くなるものではないけど、だんだん変わって行くから。ちょっとずつちょっとずつよくなるの。」という言葉が心強かった。

続く

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