いつも思うことだった。
町中で出会う彼の顔は、喫茶店で出会う時とは全くの別物で、とても輝いていた。

私はというと……

はぁ……

正直、前が見えないくらい暗かった。
仕事も手につかないくらいだ。

しかし、どれもこれも”仕事のせい”でなのだが……

まったく、のんきなものだな。

ばかみたいに笑って、ばかみたいに困って……

ホント、羨ましい限りだよ。

まぁ、そろそろ終わる頃だ。
次の相手を探すのも、ぼちぼちとするか……

……

あれ?今日はいないのか?

……珍しいな。

いつもなら示し合わせたかのようにいる”彼女”
いつもは誰もいない喫茶店も繁盛しており、座る場所はポッカリと空いた一席だった。

そこは、初めて座った場所。
外がよく見える席だった。

こうやって座ってたら、また声を掛けられたりして……

案外、あの人ならやりかねないな。うん

それから二時間ほどゆっくりとしていた。

ぼんやりと外を眺めて、往く人を見ていた。
難しい顔をするサラリーマン
笑い合うカップル
どこかを見つめて歩き出す人

ぼんやりと見ていた。
何も考えずに……

これをずっと見ていたのかな……

……そろそろ、仕事しなきゃ……

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