「BATTLE END!」

 優斗の試合終了の合図と、機械音の試合終了の合図が鳴り、草原のステージが元の体育館に戻っていく。同時にデバイスが元の形態に戻り、武器化が強制解除される。

 「ウオオオー!」

 「サイコー!」

 体育館は二人の試合を賞賛する声で満たされている。

神裂 優斗

 瑞希相手でも練成を使わないとはな。

 昨日みたいに一瞬で終わらせられないようにしないと……。

 俺は、この試合を見て、希の強さを今一度感じた。

神宮寺 瑞希

 はあ、希。

 私の負けよ。

 実戦で戦っていたら、確実に殺されていたわね。

 瑞希はそう言って、希に握手を求めた。

神裂 希

 瑞希さんの攻撃、隙がありませんでしたね。

 技を当てるのに苦労しました。

 希は瑞希に笑って言った。

神宮寺 瑞希

 あたりまえでしょ。実践に出る以上はどんな攻撃にも対応しないといけない。

 でも、今回の試合で、改良の余地がまだあることに気がつけたわ。すごく感謝してる。

 瑞希が希に言う。

神宮寺 瑞希

 あ、あとこれ。

 瑞希はそう言って、希の手に銀色に輝くものを渡した。

神裂 希

 あ、これ。私の……。

 それは、希が首に掛けていたネックレスであった。

神裂 優斗

 何だ、それ?

 俺は、二人に話しかけた。

神宮寺 瑞希

 ああ、優斗。

 さっきの私の攻撃で切れちゃったみたいなの。

神裂 優斗

 大切なものなのか?

 俺が聞くと、希は笑って言った。

神裂 希

 う、ううん。

 ただのアクセサリー。帰ったら自分で直すから大丈夫。

 そう言って、希はネックレスをポケットにしまった。

 チラッと見ただけで、よく見えなかったが、そのネックレスは人魚の形をしているように見えた。

神宮寺 瑞希

 あ、審判やってくれて、ありがとう。

 瑞希は、俺からタブレットとマイクを回収すると、タブレットで何かを操作していた。

神裂 優斗

 ああ、そうだ。

 後でジュース奢れよ。

 俺は、冗談交じりに瑞希に言う。

神宮寺 瑞希

 えー。私たち幼馴染でしょ?

神裂 優斗

 わかった、わかった。冗談だ。

 俺は、怒っている瑞希を笑いながら宥める。

 俺が、ふと、後ろを振り返ると希がさっきのネックレスを見ていた。

神裂 希

 …………。

神裂 優斗

 どうした。希?

神裂 希

 ううん。何でもない。

 希は、ネックレスをポケットに入れ俺と瑞希に駆け寄ってきた。

 さっきのネックレス。昔、どこかで見たような……。

 俺は、そう思いつつも特に気に留めることなく、次かもしれない希との試合をどう戦うか考えるのであった。

第二十八話《銀のネックレス》

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