ある夏の日の事だった。
ある夏の日の事だった。
その日は特に蒸し暑く、夕暮れ時になっても空気には熱がこもっていた。
生徒たちが続々と下校してゆく中、高校2年の新島 椿(にいじまつばき)は友人である相原 千秋(あいはらちあき)と共になぜか裏門前にいた。
・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・暑いな。
ああ、暑い。
家に帰ってクーラーで涼もうよ。
駄目だ。
1年が今日リターンマッチを申し込んできた。
ああ、1ヶ月ぐらい前に絡んで来たとか言ってたあの1年たち?
そうだ。
今朝これを渡された。
・・・・・・ずいぶん古風だね。
ああ。
あいつらも本気って事だな!
もの好き・・・・・・。
で、約束は何時?
オレそろそろ帰るけど。
時間は分からん。
「授業が終わったら、
Back gateにCome over here!」
と書いてあった。
新島・・・・・・それ、かわれてるんじゃないかなぁ?
あいつ等は必ず来る!
そんな気がするんだ。
・・・・・・だがチャイムが鳴ってからずいぶん経つな。
そうだね。
正直もう帰りたい・・・・・・。
しかしちょっと面白そうだしどうするかな。
・・・・・・。
よし。
相原、やるぞ!
あ・・・・・・これ話が通じない時の顔だ。
この新島は面倒なことを言ってくるぞ。
暇つぶしと言えばあれしかない!
ほらきた・・・・・・。
バトルシリトリだ!!!
またそれやるの?
新島オレに勝てたことないじゃん。
だからだ!
倒すべき敵は強いほうがいい!!
ま、どうせ暇だからいいけどね。
■バトルシリトリとは
面倒だが説明しよう。
最初に相手が発した単語の最後の文字が頭に単語をつなげていく。しかし存在しない言葉(造語など)や一度発した言葉は使用できない。また、単語の最後に「ん」が付くものも使用不可となっている。
ここまでは普通のシリトリと一緒だがバトルシリトリでは相手が発した単語よりも強そうな単語を選ばなくてはならない。
その基準は曖昧なもので大体は新島の独断と偏見で決まる。
ちなみにオレは34勝0敗だ。
どうした相原?
急に考え込んで・・・・・・。
や、何でもないよ。
さっさとやろう(そして早く終わらせよう)
よし!じゃあ俺から行くぞ!!
ドジョウ!!!!!
宇宙(ウチュウ)
・・・・・・!!!!!
さあ・・・・・・どうする新島?
オレに、宇宙に、勝てるか?
・・・・・・。
・・・・・・負けた。
いま俺はお前の心の中にある宇宙に飲み込まれていた。
ドジョウと宇宙では、力量に差がありすぎる。
さすがだ相原・・・・・・。
まさか初っ端からドジョウが来るとは思わなかったからこっちも驚いたけどね。
俺もまだまだ修行が足りないって事だな。
精進する!!!
頑張って。
・・・・・・それにしても来ないね。
うむ・・・・・・。
授業が終わり、時間が経っても一向にその姿を見せぬ1年生たち。
今、裏門にあるのは暑さに耐え続ける椿と
どうせ1年たちは帰ってしまったのではないかと思いつつ、面白そうな展開になる事を期待する千秋の姿だけだった。