投票がはじまり、バックスクリーンの数字が一斉に動きだした。

左側にはLRism(リズム)、右側に000(メビウスラブ)。

私は天音ちゃんと並んで、投票の行く末を見守る。

司会者

両者一歩も譲らずーっ! どうなってしまうのかーーーっ!?

ドラムロールが鳴り、大きい位から順に数字が定まっていく。

ひとつ、またひとつと数字が止まる毎に、握り締めた手に力が入っていった。

程なくして、結果が出る。

司会者

決まったーーーっ! 予選第二回戦の勝者は……LRismーーーー!

観客

おおおおおおおおおおおおっ!!

司会者さんの発表を受けて、大きな歓声が沸きあがった。

司会者

第一回戦に引き続き、投票数は極めて僅差! ネット票、会場票ともに、大きな差は見受けられません! ネットのコメントを見てみると、000は歌唱力を評価する声が多いのに対し、LRismはユニットとしての完成度の高さを称える声が多かったようです

竜胆あんな

勝った……?

嬉しい気持ちよりも、驚きが勝ってしまって、私は呆然と司会者さんの解説を聞いていた。

由羽坂星良

ううっ、魔法少女に負けはないはずなのに……! 次こそは、さらなる気合と根性で、絶対に勝つんだから!

トキコⅢ

まだまだ、トキコはアンドロイドとしても、アイドルとしても未熟なようです。ライブの中で成長していくお二人のように、私ももっとインプットに励まねば……

竜胆あんな

星良ちゃん……トキコちゃん……

トキコⅢ

決勝進出、おめでとうございます

由羽坂星良

負けたのはとっても悔しいけど、決勝戦、がんばってね!

ふたりに握手を求められ、慌てて手を差し出す。

順に握手を交わしたところで、詩乃さんも歩み寄ってきてくれた。

晴海詩乃

素晴らしいステージだったわ……。天音も、あんなも、本当に成長したわね……。私たちに勝ったんだから、決勝でも絶対に勝つのよ

竜胆あんな

はい、頑張ります!

葛城天音

000と対戦できたおかげで、より一層成長できた気がするよ。ありがとう!

000のみんなに頭を下げた後、天音ちゃんが一歩前に出る。

そして今度は客席に向かって、大きく一礼した。

葛城天音

みんなー! 今日は本当にありがとう!

観客

こっちこそありがとー!

観客

いいライブバトルだったぞー!

葛城天音

みんなの声援のおかげで、私たち、頑張ることができました! 最後の最後まで諦めずに全力疾走していくので、みんなも決勝戦を一緒に盛り上げてね!

観客

おおおおおおおおおっ!

客席のみんなに堂々と語りかける天音ちゃんの姿は、日常での影の薄さが嘘みたいに輝いて見える。

その眩さに目を細めていると、ふいに天音ちゃんがこちらを振り返った。

葛城天音

そして、あんなちゃん!

竜胆あんな

えっ、あ、はい!

葛城天音

こうして勝つことができたのは、あんなちゃんと一緒だったからだと思う。決勝も、力を合わせて頑張ろうね!

そう言って、右手を差し出される。

竜胆あんな

天音ちゃん……! こちらこそ!

天音ちゃんと一緒に歌えた喜びを噛み締めながら、その手を握り返すと、会場中から拍手を贈られた。

そんな中、そっと関係者席の様子を窺う。

すると、笑顔で小さく手を振ってくれている虎子さんと目が合って、私はますます嬉しくなるのだった。

司会者

これで決勝戦のカードが出揃いました!

司会者さんの発表に、会場がざわめく。

司会者

ドリームマッチ3決勝戦に出場するユニットは……! 重厚な世界観で魅せるロックバンド・HOSHI NO ARIA!

観客

うおおおおおおおいおお!

司会者

そして、本日見事に勝ち抜いた王道アイドルデュオ・LRism!

観客

わあああああああああああ!

バックスクリーンに、大きくHOSHI NO ARIAとLRismのビジュアルが映し出された。

司会者

果たして優勝するのはどちらのユニットか! みなさん、決勝戦もぜひ応援のほど、よろしくお願いします!

結果発表が終わり、ステージを降りた後。

虎子さんに喜びと感謝の気持ちを伝えたくて、私は舞台袖から通路へと飛び出した。

客席に通じる通路を足早に進んでいると、角を曲がったところで虎子さんの後ろ姿が目に入った。

私に会いに来てくれたのかなと嬉しくなる。

竜胆あんな

虎子さ……あれ、電話してる?

声をかけようとしたところで、虎子さんがスマホを手に何か話していることに気づき、足を止めた。

月城虎子

さっきは電話に出られなくてごめんなさい。あなたから連絡してくるなんて珍しいわね、ありす。何かあったの?

加賀美ありす

べ、別に! その……日本は今、どんな感じなのかなって思っただけよ

月城虎子

日本のアイドル業界は、まだまだ厳しい情勢が続いているものの、徐々に復活の兆しを見せはじめているわ。ステージを見ると、やはりアイドルの持つパワーは計り知れないものだと実感させられるわね

加賀美ありす

ふーん……。ドリームマッチが開催されてるって聞いたけど、虎子は何か、かかわってるの?

月城虎子

あら、いつも自分のことばかりだったありすが、私のことを気にかけてくれるなんて……

加賀美ありす

そ、そんなことないもん! 別に、虎子のことが気になってわざわざ調べたとか、そういうんじゃないんだからね!

月城虎子

ふふっ、わかっているわ。プロデューサーにでも聞いたんでしょう

加賀美ありす

あ、う……その……あの……虎子は今、忙しいの……?

月城虎子

そうね……。今は、ドリームマッチ3にも参加している竜胆あんなという子のマネージメントをしているの。さっきまさにライブバトルが終わったばかりだから、そろそろ行かないと……

加賀美ありす

あっ、ま、待って……!

月城虎子

ありす……?

加賀美ありす

…………虎子、できたらその……パリに、きてほしいな……

月城虎子

パリに、私が……

加賀美ありす

うん……

月城虎子

…………わかったわ。返事は少し待ってちょうだい。ドリームマッチが終わったら、必ず返事をするから

虎子さんが話している相手は、ありすちゃんらしい。

立ち聞きするつもりはなかったけれど、私はその場を動くことができずにいた。

距離があって、会話は断片的にしか聞こえてこない

でもいま確かに、『パリに私が』って……。

ドリームマッチが終わったら、虎子さんはまたパリに行くのだろうか。

虎子さんがいなくなるかもしれないと思うと、不安な気持ちがこみ上げてくる。

いつまでも私のマネージャーでいてくれると、安易に思っていたわけじゃない。

でも……。

水族館のアイドルショーで偶然出会って。

虎子さんが私を、拾い上げてくれて。

ドラマにも出られたし、ライブバトルにも出場できるようになった。

アイドル界のトップを目指して、一緒に頑張りたいと願ってきた。

これまでの虎子さんとの想い出が蘇ってきて、胸が苦しい。

こんな気持ちのままじゃ虎子さんに会えない。

そう思った私は、電話を終えたらしい虎子さんに気づかれないよう、とっさに物陰に隠れてしまった。

縋るような気持ちで、スマホのメッセージアプリを立ち上げる。

竜胆あんな

プロデューサーさん、私、どうしたらいいんだろう……?

今日は、ドリームマッチ3予選反省会と称して星良を含むEARTH・RAYメンバーで喫茶ぷらんくを貸し切っていた。

ときどき店として成り立っているのか心配になるけれど、柚希のことだからきっと大丈夫なのだろう。

私たちは中央のテーブルで、柚希が用意した大型のノートパソコンを覗き込んでいる。

流しているのは、予選第一回戦と第二回戦の映像だ。

由羽坂星良

うう……やっぱりMP、マッチョポイントが足りてなかったかも……

神楽柚希

確かに、技のキレがいまひとつだったかもしれませんわね

一ノ瀬透子

MPってマジックポイントじゃないのね……。というか、歌に技のキレとか関係あるの……?

葛城天音

あ、HOSHI NO ARIAだ。みんな楽器が弾けるってかっこいいよねー

天音の言葉に、私は画面に向き直る。

自分の歌っている姿を改めて見るのは、いつもちょっとだけ恥ずかしい。

けれど、自分が決めたコンセプトで音楽活動ができているという事実は純粋に嬉しいものだった。

由羽坂星良

『Brand New Day』とリッケー君には、みんなびっくりしてたよねー

神楽柚希

プロデューサーにも、一斗さんにも、曲の使用を快く了承していただけたのは幸いでしたわね

一ノ瀬透子

そうね……って、あ! 春名くんにお礼言うの忘れてた!

話の流れで、春名くんへの連絡は逢沢くんに任せっぱなしで、直接お礼も勝利報告もしていなかったことを思い出した。

慌ててスマホを取り出し、春名くんにメッセージを送る。

するとタイミングがよかったのか、すぐに返事が届いた。

 

『HOSHI NO ARIA、予選突破おめでとう。俺もドリームマッチを見ていた。アレクシスも、喜んでくれていたよ。決勝も頑張ろう』

まるで我がことのように応援してくれる春名くんの言葉に、嬉しくなる。

一ノ瀬透子

見守ってくれている人たちのためにも、頑張らないと……

葛城天音

楽しく歌って、みんなで盛り上がれるステージになるといいよね

一ノ瀬透子

本当にそうね

天音の屈託のない笑顔に励まされ、私も自然と顔が綻んでいった。

久しぶりのオフの日。
私は、ふらりと渋谷の駅前にやってきていた。

竜胆あんな

はあ……

気を抜くと、つい大きなため息が漏れてしまう。

あれから、虎子さんに電話のことを聞けないままでいた。

レッスンや今後のスケジュールについて、いつものように面倒を見てくれる虎子さんに対して、どこかよそよそしい態度になってしまっている気がする。

いつもならオフでも事務所にいりびたっているのに、虎子さんに不安を悟られてしまいそうで、元気な振りをして買い物に行くからと出てきてしまった。

とぼとぼ歩いていると、頭上から覚えのあるフレーズが聞こえてきた。

 

『アイドルドリームマッチ3、いよいよ決勝! 勝つのは、HOSHI NO ARIAか、それともLRismか! その勝負の行く末を、あなた自身の目で確かめろ!』

顔を上げると、街頭の巨大スクリーンにドリームマッチの宣伝が流れている。

そこに天音ちゃんと私が映っているのを見て、ちょっと恥ずかしくなり俯いた。

竜胆あんな

決勝戦かあ……決勝戦が終わったら、虎子さんはもしかしたら……

また、虎子さんのことを思い出して、気持ちが沈んでしまう。

そのとき――。

逢沢光流

あんなちゃん?

ふいに名前を呼ばれて、ハッと我に返る。

振り返ると、そこには光流くんと陸くんの姿があった。

目が合うと、光流くんは嬉しそうに頬を緩ませる。

逢沢光流

やっぱりそうだ!

嵯峨山陸

こんな人が多いところで、偶然会うなんてな

駆け寄ってくる光流くんに続いて、陸くんも歩み寄ってきてくれる。

人波の邪魔にならないよう、私たちは少しだけ脇に移動した。

逢沢光流

あんなちゃんも今日はオフ? 僕たちは、仲間とやってるフットサルの練習に来たんだ

竜胆あんな

う、うん、まあ……。ところで、MySTARのふたりが揃って街中を歩いてて、大丈夫?

逢沢光流

ふふっ、そう言うあんなちゃんも歩いてるじゃない。僕たちは、よくこうしてふたりで遊びにくるけど、何も起きたことないよね?

光流くんは笑いながら、陸くんに話かける。

それに対し、陸くんは苦笑いを浮かべた。

嵯峨山陸

お前、気づいてないかもしれないが、わりと噂になってるぞ。何かあったら俺がなんとかしろって、プロデューサーに言われてるんだからな

逢沢光流

そうだったの!?

嵯峨山陸

そうだったんだよ。まあ、それはさておき……。あんな、何かあったのか?

竜胆あんな

え?

突然話を振られて驚く。

逢沢光流

実は……声かけたのは、なんか浮かない顔してたのが気になったからなんだ

嵯峨山陸

いつも明るいお前が、らしくないじゃん。俺たちに話せることだったら、話してみろよ

優しく促され、私は躊躇いながらも口を開いた。

竜胆あんな

…………私の大事な人が、遠くへ行っちゃうかもしれないの

自然と、視線が下がってしまう。

はっきり言葉にすると余計につらくて、胸が苦しい。

竜胆あんな

その人にはその人の事情があるってわかってるのに……応援したいって気持ちと、引き止めたい気持ちが、自分の中でぐちゃぐちゃになっちゃって……

逢沢光流

…………。それは、僕と陸のときに似てるかもしれないね……

光流くんの言葉に、おそるおそる顔を上げた。

逢沢光流

手遅れになる前に、きちんと話し合った方がいいと思う

嵯峨山陸

そういうのは、相手のことを想えば想うほど、うまく言葉にできなくなるってこともあるよな……。でも、アイドルなら想いを伝える方法を、ちゃんと持ってるはずだぜ

竜胆あんな

想いを、伝える方法……?

嵯峨山陸

ステージで歌うことだよ。自分の想いのすべてを歌にのせて、ぶつけてみればいいんだ

陸くんは、にやりと得意げに笑ってみせる。

嵯峨山陸

悩んじまうのは心が通じ合ってないからで、お互いの気持ちがちゃんとわかれば、一番いい答えが自然と見つかるはずさ

竜胆あんな

……そう、だね……うん、そうかもれない

話を聞いたおかげで、自分の中の不安の正体に気づけたように感じる。

虎子さんがどこかへ行ってしまうことではなく。

私の想いを伝えきれておらず、虎子さんの気持ちも知らないままなせいで、答えが見えない状態になってしまっていたのかもしれない。

逢沢光流

さすが陸だね

嵯峨山陸

まあ、俺もこれに気づけたのは、つい最近だけどな……

竜胆あんな

ふたりとも、ありがとう。私、頑張るよ!

いつもの調子で笑ってみせると、ふたりは少し驚いたように顔を見合わせる。

そして、嬉しそうによく似た笑みを浮かべたのだった。

いよいよやってきた、アイドルドリームマッチ決勝当日。

私は舞台袖で、虎子さんとステージ前最後の会話を交わしていた。

月城虎子

落ち着いて、いつもどおりにね。あなたの努力は、きっとステージで花開くわ

竜胆あんな

必ず勝ってきます!

堂々と宣言すると、虎子さんは少し意外そうに目を瞬かせた。

それから、ゆるりと顔を綻ばせる。

月城虎子

近くで見守っているから

竜胆あんな

はい

舞台袖から去っていく虎子さんの背中を見送る。

ステージ上には司会者さんがすでに立っており、観客たちが興奮に沸いていた。

司会者

みなさま、長らくお待たせいたしましたー! アイドルドリームマッチ3! 決勝戦の幕開けです!

観客

わああああああああっ!

司会者

先攻は……HOSHI NO ARIA!

名を呼ばれ、HOSHI NO ARIAのみんながステージへと駆け上がっていく。

今回は、ショルダーキーボードを下げた透子ちゃんが、センターに立つらしい。

予選のパフォーマンスと変化をつけるための作戦だろう。

この短期間で魅せ方を変えてくるなんて、やっぱりすごい……。

スタンバイを終えたHOSHI NO ARIAのメンバーたちが、目と目を合わせて頷く。

透子ちゃんが、スタンドマイクに手を伸ばした。

一ノ瀬透子

聴いてください。『Brand New Day』

透子ちゃんのリードで、前奏がはじまった。

予選のときとは少し違う、新鮮味を感じさせるサウンド。

メインボーカルが透子ちゃんに、サブボーカルが光流くんに変わったことによって、歌の雰囲気までもが一新されている。

やはり予選を見ていた観客が多いようで、その変化にみんな目を輝かせていた。

順調に演奏が進んでいき、まもなくサビに入る、というとき。
それは起こった。

一ノ瀬透子

っ――!

目測を誤ったのか、透子ちゃんの持つショルダーキーボードの柄がマイクスタンドに当たってしまったのだ。

とっさに透子ちゃんがスタンドを支えたので倒れることはなかったが、一瞬、歌声が途切れる。

すかさず光流くんがフォローに入り、なんとか歌は続いていく。

けれど酷く焦った様子の透子ちゃんがスタンドを立て直そうとした拍子に、今度はマイクが外れて、床を転がった。

歌は光流くんが繋いでいるけれど、トラブルを目にした客席がざわめいている。

リッケ-君

……任せろ

異様な空気を掻き消すように、ステージ後方のDJブースにいたリッケー君が前に出てきた。

そして、光流くんに合わせて『Brand New Day』の続きを歌いはじめる。

リッケ-君

舞い上がれーあの大空へー、いーまー自分らしくー♪

竜胆あんな

え? まさか……これってリッケー君が歌ってるの……?

観客

おおおおおおおおっ!

嵯峨山陸

おいおい、リッケーが歌うとかマジかよ

観客はこの演出に歓声を上げているけれど、HOSHI NO ARIAのメンバーは戸惑っているようだ。

リッケー君は歌いながら、マイクを拾い上げて透子ちゃんに手渡す。

そして肩をぽんと叩き、大丈夫とでもいうようにガッツポーズをしてみせた。

透子ちゃんはリッケー君のフォローを受けて、驚きながらも立ち直ったようだ。

マイクを受け取り、リッケー君と並んで歌いはじめる。

それを目にした光流くんが、マイクを片手に陸くんのもとへ寄っていって何かを耳打ちした。

陸くんはしょうがないなと言わんばかりの笑みを浮かべて、スタンドからマイクを引き抜く。

最終的に、HOSHI NO ARIAはバンドという形を崩して、四人で曲を歌い上げた。

一ノ瀬透子

ありがとう、ございました……

司会者

わああああああああああっ!

大きく頭を下げた透子ちゃんに、惜しみない拍手が贈られる。

竜胆あんな

リッケー君って、歌えたんだ……

葛城天音

そういえば『リケリケリッケー君!』ってCDを出してたよね。それなら歌えてもおかしくないけど……

竜胆あんな

うーん……どこかで聞いたことのある声だったような……

ステージの様子を見守っていると、四人が手を繋ぎ、改めて一礼した。

その光景に、拍手喝采が沸き起こる。

葛城天音

よおし! 次は、いよいよ私たちの出番だよ

竜胆あんな

うん……!

せめて、虎子さんに自分がステージで輝く姿を見せたい。

歌に想いをのせて、私の気持ちを伝えたい。

そう心に決め、拳をぎゅっと握り締める。

司会者さんに呼ばれるのを今か今かと待っていると、後ろからとんとんと肩を叩かれた。

竜胆あんな

はい……って、え!? プロデューサーさんがなんでここに!?

~ つづく ~

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