体育館に戻ると、既に、スタートポジションに立っている瑞希と希がいた。

神宮寺 瑞希

 あ、やっと来た。何していたの?

 瑞希が手招きをして「早く来い」と、俺を催促する。

神裂 優斗

 いや、新道を探しに行ったら、風宮会長と何かを話していたみたいでさ。

神宮寺 瑞希

 へえ、会長と?

 何の話かしら……。

 瑞希は一瞬考えたが、既に第二試合の予定時刻を十分も過ぎていたので、考えることは後回しにした。

神宮寺 瑞希

 じゃなくて!

 それも気になるけど、今はこの歓迎会を進めることが先決よ。

 その件は後回し。

 瑞希はそう言うと、俺に、審判用のタブレットを渡し、俺に審判の位置につくように指示した。

 審判の位置についた俺は、タブレットを操作し、試合の準備を進める。

神裂 優斗

 えー、お待たせしました。

 今から歓迎会第二試合をはじめたいと思います。

 観客が歓声を上げる。

神裂 優斗

 二人の準備も、とっくにできていつみたいなので、さっそくはじめようと思います。

 俺はタブレットを操作する。

 瑞希と希は、腰にあるデバイスに手をかける。

神裂 優斗

 では第二試合、希と瑞希の試合を始めます。

 第二試合、はじめ!

 BATTLE START!

  試合開始の機械音が鳴り、体育館が草原おステージへと姿を変えていく。

 瑞希と希は同時にデバイスを起動。瑞希は剣の形をした簡易デバイスを形成させ、地面を蹴り、希との距離を一気に近づけていく。

 希も簡易デバイスを起動。同じく刀の形をした簡易デバイスを形成し、瑞希の攻撃に応戦するように、地面を蹴り、瑞希に向かっていく。

 二つの刀型デバイスの衝突により、体育館に金属音が鳴り響く。

神宮寺 瑞希

 さっきの試合を見ている限りだと、希さんは昔、何かしらの剣技を習得していたみたいね。

 瑞希が希に話しかける。

神裂 希

 さすがですね。

 でも、文武両道の瑞希さんなら、これくらい当然ですかね?

 希がそれに答える。

 二人は、空中で鍔迫り合いをし、その後、お互いをスタートポジションまで押し戻した。

神宮寺 瑞希

 なかなかやるわね。

 でも、あまり私の剣を甘く見ないことね。

 瑞希がそう言うと、刀を構え直し、居合の構えを見せる。

神裂 希

 へえ、久しぶりに見ましたよ。その構え。

 希はそう言うと、正面から瑞希に突っ込んでいった。

神宮寺 瑞希

 この構えを知っている?

 だとしたら、三の型を見抜かれている?

 でも、ハッタリってこともある。

 まずは様子見程度に一発……。

 瑞希の出そうとしている三の型は、水の波紋のように、遠くに行けば行くほど威力は落ちるが、広範囲にわたる斬激を生み出す。

 避けるには、できるだけ近づいて斬激自体を避けるか、後方に移動して技を受け止めるかのどちらかである。

 瑞希が刀に力を籠める。

 

神宮寺 瑞希

 三の型、波紋剣!

 瑞希は、刀をすばやく抜き、空気中の水分を使い、水の波紋のような弧の形をした細い斬激の波動を出した。

神裂 希

 あなたの波紋剣は、実際に見るのは初めてだったけど、その剣技はもう知ってるよ。

 そう言って希は高く飛び、波紋剣自体を飛び越えた。

神裂 希

 今度はこっちの番です。

 希はそう言うと、空中で体制を整えつつ、バリアを発動させた。

 さらに、それを足場を使い、自身を一気に加速させ、隙のある瑞希に切りかかる。

神宮寺 瑞希

 甘く見ないでよね!

 瑞希は、自分の足元に水柱を発動させ、自身を強制的に移動させ、希の攻撃を緊急回避で避ける。

神裂 希

 今の攻撃を避けるとは、さすがです。剣技の隙をしっかり埋めてきていますね。

 希は草原となったステージに着地し、再び刀を構える。

神宮寺 瑞希

 希さん、あなたは何者ですか?

 この剣術を知っている人は、私と優斗以外に居ないはずよ?

 瑞希も再び剣を構え、希に聞く。

神裂 希

 私の名前は神裂 希ですよ?

 でも、そんなことはどうでも良いじゃないですか。

 希は笑顔で瑞希に言う。

神宮寺 瑞希

 そうね。

 今はどうでも良いことにしておくわっ!

 瑞希は、そう言うと同時に、構えを変え、地面を蹴って希に切りかかった。

神宮寺 瑞希

 二の型、飛竜!

 瑞希は、龍の姿にかたどった水で自身を纏い、そのまま希に切りかかった。

第二十六話:《歓迎試合~蒼穹の魔剣1~》

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