佐島亮

ふー、倒れたときはどうなるかと思いました

鈴石茜

それは私の台詞なんだけど!!

鈴石茜

全く、運動不足なのに急激に走ったから身体がついていかなかったとか……

鈴石茜

馬鹿じゃないの!?

佐島亮

はいはい、馬鹿ですよー

鈴石茜

私がどれだけ心配したと……

佐島亮

まあ、それは申し訳ないと思っていますけど

鈴石茜

まあ、軽い熱中症でもあったみたいだから、ちゃんと買ってきたスポーツ飲料飲んでねー

佐島亮

分かってます

佐島亮

そういえば、鈴石先輩はこんなところにいて大丈夫なんですか?

鈴石茜

なんで?

佐島亮

いや、出番とか……

鈴石茜

私、何の競技も出てないよ?

佐島亮

サボりですか

鈴石茜

生徒会の仕事が忙しいから外してもらったの

鈴石茜

どうせ私が走ったところでクラスの成果に繋がらないしねー

佐島亮

鈴石先輩は、足、遅いんですか?

鈴石茜

んー……普通

佐島亮

普通って

鈴石茜

中学時代は運動部やってたけど、今はすっかりなまっているし……でも、全くやってなかった人よりは体力あると思う

佐島亮

あー、あまり面白くない過去ですね

鈴石茜

何故!?

佐島亮

中学運動部なんてステータス的に『並』すぎます

鈴石茜

なにそれ

佐島亮

今はやっぱり『中学帰宅部』が流行ると思うんです!!

鈴石茜

そうだね! それ今期の萌え系アニメのタイトルだね!!

佐島亮

いやあ、日常系ってやっぱ一期に一つは見るべきですねえ

鈴石茜

そうだね、可愛い女の子は眼福だ

鈴石茜

でもまあ、戦闘系も外せないと言うか……

佐島亮

今期は『テレパス』ですか

鈴石茜

そう。人の心を読めちゃう自分を欠陥人間だと言う少女が超能力者の組織に加入して宇宙機関と戦うお話

鈴石茜

今はまだ三話目だけど……

鈴石茜

あの作品に出会えたことを心から感謝している!!!

佐島亮

そんなに、ですか

鈴石茜

人の心が読めるんだよ? 人間の憎しみとか悲しみとか辛い感情も全部読めちゃって一人で抱え込んでいるんだよ?

鈴石茜

病みっ子最高!

佐島亮

人の不幸に萌えを感じるなんて酷い人ですねー

鈴石茜

いや、病みっ子の素晴らしいところはどん底から引き上げられるその瞬間にあるから!

鈴石茜

今まで触れてこなかった幸福に触れたときの溢れんばかりの喜びを見るのが本当の至福の時間

鈴石茜

原作でハピエンにならなければ二次創作を読めばいい!

佐島亮

分かるような、分からないような……

鈴石茜

はあ……時間をかけて教えなければならないね

佐島亮

別に、そこまで興味はないんですけど

鈴石茜

えー

佐島亮

てか一応、僕病人なんですけど

鈴石茜

そういや、そうだった

佐島亮

あー、もうおうち帰りたいー

鈴石茜

いいじゃん、休めているんだから

佐島亮

だって、ここではアニメが見れません

鈴石茜

まったく……

佐島亮

あ、先輩、やっぱつきっきりは悪いんで、もう大丈夫ですよ

鈴石茜

え? 珍しいね、佐島くんが遠慮するなんて

佐島亮

僕、どういう人間に思われていたんですか?

鈴石茜

今からプリン買ってこい、とか言い出しそうな子

佐島亮

酷いですね

佐島亮

まあ、鈴石先輩はパシられそうな雰囲気ありますけどね

鈴石茜

い、一応生徒会長ですけど!!

佐島亮

あー、見えないです

鈴石茜

酷い!

鈴石茜

ま、そろそろ邪魔しちゃ悪いし私は行こうと思うけど……

佐島亮

はい、炎天下の下汗を流して頑張ってください

鈴石茜

うわー、その言い方に悪意を感じる

東海竜弥

…………

鈴石茜

竜弥? どうしたの?

佐島亮

もしかして、東海先輩も寝に来たんですか?

鈴石茜

そっか、竜弥身体弱いんだっけ

東海竜弥

…………保健室

鈴石茜

え?

東海竜弥

『体育祭中の保健室』は乙ゲーにおいて重要なイベント

東海竜弥

弱っている対象キャラにどう接するかでパラメーターが大きく左右される

鈴石茜

ま、待って、何の話!?

東海竜弥

茜が、亮を攻略中なのかと思って

鈴石茜

なっ

東海竜弥

ふっ

東海竜弥

手助けキャラ約になってみた

鈴石茜

い、いい、意味分からないんだけど!

東海竜弥

じゃあ

鈴石茜

言うだけ言って去っていったー!!

佐島亮

東海先輩、どうしたんですか?

鈴石茜

わ、私がききたいよ!

鈴石茜

やっぱアスナちゃんとの会話理解されちゃってたか!!

とてつもなく、厄介だ!

佐島亮

鈴石先輩が僕を攻略するとか……

鈴石茜

へ、変な話だよね

佐島亮

大体、鈴石先輩には好きな人がいるんですよね?

鈴石茜

え?

佐島亮

前、体育館裏でアスナさんと話していませんでした?

鈴石茜

…………

鈴石茜

なんか、変なところだけ聞かれてたっぽい!?

というか、ほぼ元凶アスナちゃんじゃん!

鈴石茜

ど、どう誤魔化そうか

佐島亮

因みに、参考までに聞きたいんですけど、誰なんです?

鈴石茜

えっ

佐島亮

鈴石先輩の好きな人

鈴石茜

そ、そんなの別に関係ないじゃん

佐島亮

いやいや、生徒会の一員として知る必要があることです

鈴石茜

だから、別に関係ないじゃん!

佐島亮

怪しいですね……

佐島亮

もしかして、東海先輩ですか?

鈴石茜

違うよ!

佐島亮

そんなむきになって……

佐島亮

余計に怪しくなってきましたね

鈴石茜

うううっどうすればいいんだこの会話!

鈴石茜

りゅ、竜弥ではないことは確かだから

佐島亮

ほぅ。では、誰でしょう

佐島亮

僕の知っている人ですか?

鈴石茜

ねえ、そうやって質問していくのやめよう?

佐島亮

僕、好奇心旺盛な男の子のなんで

鈴石茜

意味が分からないよ!!

佐島亮

教えてくれないと、僕、元気になりません

鈴石茜

関係ないでしょ!

佐島亮

尊敬する生徒会長が恋の病に伏しているのであれば力を入れて助けなければ

鈴石茜

もう……っ

この状況、どうすればいい?

これ以上……

鈴石茜

これ以上、変に勘違いされるのも何か嫌だ

なら、もう、覚悟を決めるしかない。

鈴石茜

佐島くん

佐島亮

はい。やっと言う気になりましたか?

鈴石茜

うん、なった

佐島亮

おお

鈴石茜

やっぱり生徒会の仕事とか受験勉強とか、あとは二次元の美少女とか……

鈴石茜

そういうのに逃げていないで、言い訳していないで、ちゃんと現実をみなきゃいけないような気がして……

そろそろ現実を見る時間のようで……

鈴石茜

だから……

鈴石茜

好きです、佐島くん。

佐島亮

えっ?

まって、まって、待って!!

今絶対的にタイミングが違う!!!

こんなはずじゃない! こんな行事の最中に唐突に告白するとか二次元だったら視聴者ポカンとするよ! 賛否両論争われる展開だよ!?

鈴石茜

これは不慮の事故だ!!!

タイミングを見計らっていたにも関わらず、唐突に告白をしてしまった鈴石さん。

彼女の恋の行方はどうなる?

続く

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