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港町クルナ
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港町クルナ
* * *
ぞぞ ぞぞ…
う ぞ ぞ 。
ぞぞぞ
ダニの一種に呪詛を仕掛けて、それを人間に寄生させる原理のようだな。
なるほど。だから皮膚の薄い子供ばかりが影響を受けたのか。
ほう、博識だな、露天商。
なに、商売柄口が立たないといけなくてな。ネタはいろいろ仕込んであるのさ。
サーシャ・ドルバ
と言う名の母 後編
ダニ自身は呪詛の恩恵で、
移動力が強化されておる。
その結果として呪詛は回避力を得ている。
また、ダニが食事をする事で呪詛の効果も強まるようだ。
まるで、呪詛とダニの共存関係だな。
呪詛と生物が共存することなんて
あるのか。
おどろいたな。
ダニが生きたままでは
解呪自体に時間がかかる。
そこで、ダニを仕留めて解呪を行うのだが、ダニがサティンの体から一時的に逃げることも考えられる。
そこで、まずダニの足を止める。
……どうやって止めるんだ?
ダニは光を嫌う。全方向から光を当てれば逃げ道は無くなる。
全方向からの光?
スッ
また私の出番だよ―☆
行っくね―☆
と言ってソルフェちゃんさんは、
サティンさんのベッドの方を向き
両手の親指と人差し指で三角形を作り
胸の前へ構えます。
星明りの空間
《スターライト・ルーム》☆
サティンさんの周りに
結界が出来上がりました。
発光する結界……。
すると、さっきまで
ぞぞ ぞぞ…
う ぞ ぞ 。
ぞぞぞ
とせわしなく動いていた紫色の斑紋は
動きがおとなしくなりました。
スッ
次は私だな。
このままダニを仕留める。
サーシャよ、驚かぬよう少し気を強く持て。
え……?はい……。
ソルフェージュさんは
胸の前のに構えた手を組み換え、
人差し指をカギ型にして
左右の人差し指を引っ掛けあいます。
そして、
除蟲《インセクティサイド》!
と唱えます。
すると、人差し指の交差する部分から
蛇のような煙が飛び出し
サティンさんの体に巻き付きました。
きゃぁ……。
大丈夫だ、サティンに
危害を加えるものではない。
サティンさんの体が
煙でぐるぐる巻きになったかと思うと、
煙は柔らかく1回だけ光り、
消えていきました。
紫色の斑紋が動かなくなったわ。
あとは呪詛とその毒だな。
聞く所によると、どうやらこの毒にはこれが効くらしいからな。
それは……アルザレアきび!?
あんたら、よく持っていたな。
なに、たまたま手に入ったんでな……。
……な、シーラ。
ええ。
ポメラ、これを燻してくれ。
と、ソルフェージュさんは
アルザレアきびを
ポメラさんに1本渡しました。
あいよ。壷に入れんだったよな?
あぁ。
サーシャ、ちょっと台所と壷を借りるぞ。
はい、どうぞ。
と、言うとポメラさんは台所の方へと
向かって行きました。
ソルフェージュさんは
その間に精神統一を行います。
一方、シーラさんは
ヴォルクさんに
話しかけられていました。
ちょっと聞きたいんだが、
アルザレアきびは
どうやって手に入れたんだ?
職業柄気になってしまってなぁ。
あ、あの……知り合いのおじさんが
たまたま持ってきてくれて……。
もしかしたら栽培しているのかも……。
アルザレアきびの栽培は
アルザレア王国が秘匿している為
一般人は栽培できないと聞く。
数少ない近衛栽培人にのみ
栽培が許されているはずだが……。
……アンタ、何もんだ?
あ……えーと……。
シーラさんはかつての身分を
あまり明かしたくありません。
ちょうどその時、
うぉぉい、できたぞー!
……助かった。
ポメラさんが燻したアルザレアきびを
壷に入れて持ってきました。
結界の中に入れるんだよな?足元のほうだっけ?
うむ。ポメラにしてはよく覚えていたな。
まあな。
褒められてるのかしら……?
ポメラさんが結界内に壷を入れると、
結界内は次第に煙に覆われ始めました。
しかし、煙が充満するに連れ……
うううぅううぅううぅ
サティンさんが酷くうなされ始めました。
あぁ……サティン……
落ち着け、サーシャ。
大丈夫だ!
慌てるサーシャさんを
なだめるポメラさん。
ふと、シーラさんとソルフェージュさんは
呪詛の異変に気が付きます。
さっきより呪詛の位置が
頭に近づいてる……。
むぅ……。
呪詛の侵食が思ったより早いな……。
解呪対策もされているのか?
程なくして結界内が
アルザレアきびの煙で満たされました。
……その時です。
ふぉぉぉぉ……
……え?
……む?
煙で視界の悪い結界の中から
地面に響くように低く
それでいて澄んだような
声が部屋中に響き渡りました。
……我の邪魔を
するのは何者だ。
サティン……?
な!?
バカな!?この声は!!
!!!
この声は一体……。
卑しきもの共よ。
我が力に
抗うこと無く
眺めておれ。
マズイ!
悠長な治療はできぬ!
解毒と解呪を同時に行う。
ソルフェージュさんは声を荒げ、
結界の内側へ大急ぎで入ります。
スゥ
もう一回これだねー☆
ソルフェちゃんさんは
左の手のひらを上にむけて
じゅもんを唱えます。
呪詛解除
《アンチ・エンチャントぉ》☆
こっちは私だ。
ソルフェージュさんは
右の手の平を上に向け、
解毒
《デトックス》!
と唱えます。
そしてサティンさんの体に
両手を重ねててあて、
続けて呪文を唱えます。
双魔法……
天使の光
《エンジェリック・ライト》!
まばゆいばかりの光が
サティンさんの体と
ソルフェージュさんの手の間から
発せられたかと思うと
その光はあっという間に消え去りました。
それと同時に
結界内に充満していた
アルザレアきびの煙がなくなりました。
そして、次の瞬間。
お母さん……?
サティンさんが目を覚ましました。
……サティン!!
サーシャさんはサティンさんに駆け寄り
抱きしめます。
……あれ?僕、お庭で虫捕りしてたはずなのに……。どうしてベッドにいるの?
サティン!
サティン!
サティン!!
お母さん、どうしたの?
ちょっと痛いよ。
ああ。ごめんね、サティン。
でも本当に良かった!
……良かったな……。
ふふふ。
ふぅ。
一人の体を二人同時に使うと
負担が大きいのぅ……。
どうやら双魔法は
ソルフェージュさんの体に
あまり良くないようです。
……。
ソルフェージュさんは
一息ついたあと、
神妙な面持ちでヴォルクさんのところへ
歩み寄ります。
すまんが、ちょっと確認したいのだが……
なんだ?俺で分かることならなんでも答えるぜ。
サティン以外の子供は薬で回復したと言っていたな?
あぁ。アインスターク共から提供された薬だったがな。
それは塗り薬だったか?
んー?確か飲み薬だった筈だが。
飲み薬……だと……。
……ところで。
さっきのあの声……。
忘れもしないあの声は……。
ふむ。サーシャは気づいていないが
ヴォルク殿は気づいたようだな。
隠しても仕方ないので言うが……。
あの声はアインスタークの声だ。
や、やはり……。
とはいえ、解呪は無事できた。
サティンの事を心配する必要はなかろう。
そうか……。
それなら良かった。
……しかし、渡された薬は
なぜ経口剤なのだ?
普通に考えれば経皮剤なハズ……。
アインスターク……。
死してなお
何を企んでいるのだ……?
シーラさん達は
無事サティンさんの命を
救うことができました。
しかし、その最中に発せられた声、
そして
かつての投薬方法に納得の行かない
ソルフェージュさんは
1人戦慄を覚えていました。
つづく
【勇者勇の装備】
レベル :18
めいせい :186
ぶき :新品の短剣
よろい :鋼鉄のよろい
かぶと :銀の額当て
たて :なし
どうぐ :野ばらのペンダント
焼豚×2
焼きとり×2
霊薬草×5
淡水ザメの煮凝り
淡水ザメの骨
淡水ザメの牙
黒王の羽
いつもの額当て
王の冠
カジノコイン×2560
なかま :泉守ダイ
もふもふ
とくぎ :ファイアブレス
トキシックブレス
釣り
じょうたい:カジノ破壊の容疑者、森林を進行中
【シーラの装備】
レベル :11
めいせい :230
ぶき :いつもの本
よろい :いつもの服
かぶと :いつもの飾り
たて :なし
どうぐ :やくそう×94
イーサ薬×9
乗船券×4
おみやげ×99
ガラスの破片
なかま :戦士ポメラ
大魔導ソルフェージュ
コボルト
とくぎ :しょうかん
値切り
冷やかし
虫の知らせ
ディゾネの思い出
じょうたい:パーティーリーダー