私は、信也の攻撃をかわしつつ、信也に攻撃が通じないことについての打開策を考えていた。
はあ、はあ、はあ……。
私は、信也の攻撃をかわしつつ、信也に攻撃が通じないことについての打開策を考えていた。
避けてばかりだと、制限時間が減っていくぜ!
一試合の制限時間は、三十分と限られている。
だからといって、打開策の無いまま突っ込めば、体力的にこっちが負ける。
この間にも、信也は簡易デバイスの斧を振り回し、こっちを威圧してくる。
しかし、どうして攻撃が通らないのか。
優お姉さんとの試合でも、こんなに攻撃が通らなかったことは無かった。
次の攻撃であなたの攻撃を見破る!
私は小さく呟き、再び簡易デバイスの刀を構える。
お、覚悟が決まったのか?
信也が斧を構え、体勢を整える。
そうですね。
おそらく、次の攻撃で試合は決まります。
私は、笑顔で信也に返事をする。
へえ、この状況を切り抜ける方法を思いつくとはね。
たとえ、この試合で負けたとしても、俺は、希ちゃんのSクラス編入の許可をしてあげようと思ってるんだけど。
いいえ、その必要はありません。
私は剣を構え直す。
行きますよ!
私は一気に距離を詰め、信也に近づく。
いいスピードだ。でも、これで終わりだ!
信也が斧を大きく引き、最大限の力で斧を横一文字に振り抜こうとする。
思った通り。
私はそう呟き、自分のデバイスを信也の顔面を目掛けて投げる。
え?
信也は予想外な出来事が起こったかのような声を出し、なすすべなく顔面に私のデバイスが当たり、私のデバイスは信也の上空に跳ねた。
言ったでしょう。これで終わりです。
私は、そのまま地面を蹴り、信也の顔面で跳ねたデバイスを掴み、そのまま簡易デバイスを起動。
そのまま信也目掛けて攻撃を当てる。
しまった……。
「BATTLE END!」
試合終了の合図の機械音が鳴り、デバイスの武器化が強制的に解除される。
信也の顔の寸前で、武器化が強制的に解除され、デバイスが元のサイズに戻る。
そして、体育館が岩場のステージから元の体育館に戻る。
そこまで!
瑞希は試合の終了を宣言する。
わっ!
マジかよ!
うっ!
きゃっ!
私は、そのまま信也の上に落ちた。
「ワァァァァー」
「よくやったー」
あまりの急展開に、度肝を抜かれた観客は、一瞬の間を置いて、一気に湧き上がる。
ただいまの試合、神裂 希さんの勝利!
瑞希が試合の勝敗を宣言し、会場は、より一層湧き上がる。
いたた……。
あの、すみません……。
私は、信也の上から勢いよく退き、頭を下げる。
いや、良いんだ。
こっちは大丈夫だから。
ほら、あなた達、握手しなさいよ!
試合の最後は握手が原則でしょ!
神宮寺 瑞希が小声で私と榊原 信也に言ってくる。
お、おう。そうだった。
信也は私に手を出して握手を求めてきた。
ありがとうございました。
私は信也と握手をした。
今度やる時は、瞬間練成を見せて欲しいな。
そうですね。考えておきます。
私は笑顔でそう言って、握手した手を離した。
では、これから三十分間の休憩を挟みます。
なお、この試合は一応録画されていますので、もう一度見たい人は、封筒に名前とクラスを書き、五千円を封筒に入れて、ここにある「購入BOX」に入れてください。
後日、各クラスにお送りしまーす。
瑞希がちゃっかり資金を稼ぐための宣伝をしていると、静香が瑞希に近づく。
瑞希、少し話があります。
そう言って、静香は瑞希を体育館の外に呼び出した。