山城

こんな世界にいるとな、まぁくだらねぇ女ばっかりよってきやがる、贅沢がしてぇとか、見栄が張りてぇとかな、

佐藤

、、、

山城

ただな、前の嫁はな、違ったんだよ
ただ一緒にいれればいい、あなただけがいればそれでいいなんて、青臭ぇ事いいやがってな
贅沢もしなきゃ、威張るような事もしねぇ女だったよ

佐藤

いい嫁さんじゃないか

山城

まぁ、、まぁな
だから俺もすっかりホの字さ、いい年した親父がな

佐藤

こんな所まで来て、こんな話しを聞く事になるとはな

山城

まぁ後は仏になるだけだ、聞いてけや

佐藤

たまには仏の独り言を聞くのも悪くないか

山城

器量がありやがる、男はそれくらいがイイんだ
話しの続きだ
まぁ、当たり前だかな、務所に行く事にもなるな、俺は悪い奴だからな

佐藤

面白い冗談だ山城さん

山城

でな、5年務所暮らしが続いた俺に急に手紙が来てよ、ただ一言ゴメンなさいってな
なんとなくわかってはいたがよ、シャバに出てくりゃそんな始末だ、参っちまう

佐藤

、、、

山城

まぁ、人を苦しめて苦しめて、気づきゃ組長なんてもんになってな、ガンジガラメの立場な訳だ、嫌気がさしちまったよ
だから小僧、、ある意味じゃテメェみてぇな死神を待ってたんだろうな、心の底ではな、、
さて、小言きかせちまって悪かったな、そろそろ、仕事に取りかかった方がいいんじゃねぇか?

山城は壁に掛けてある日本刀に手をかける

佐藤

そんな物騒な物どうする気だ?山城さん?

山城

無様に抵抗はしねぇがヤクザは見栄で生きてるからよ、最後の見栄はらせろや、、
そういや、小僧、テメェ名前はねぇのか?

佐藤

佐藤だ

山城

そりゃ苗字だろうがよ

佐藤

何も持たない俺が唯一持ってるもんだよ山城さん

山城

そうか、佐藤、、オメェも生きづらい世界に足踏み入れちまったな

山城は刀を構える

佐藤

山城さん程じゃないさ
ありがとう、久しぶりに誰かと話せた気がしたよ

山城

まぁ運良く地獄で会えたら酒でも付き合いな

佐藤

あぁ、運良く会えればな山城さん

乾いた音が一発響き障子が真っ赤に染まった

pagetop