昔、異文化に明るい知人から聞いたことがあった。
十国には我々の魔法と対立するかのように「妖術」というものの開発が進んでいるという。

その時すでに十国とディスナティの国間で亀裂が生じていたため、十国について興味本位で調べる者は私を含めてほとんどいなかった。

その時は聞き流してしまったが、きっと当時の私は自負があったのだろう。

たとえ異国の魔法だろうと、私にかなうはずがないと。

ソール・グルナディエ

くっ!!

榊 風音

炎をぶつけて相殺しましたか……。頭は回るようですね

榊 風音

この水蒸気に紛れて逃げるつもりなんでしょうけど、させませんよ!

我が第一魔法源を解放せよ!魔剣・クロワ・アルシュ!!

ソール・グルナディエ

沈滅せよ!フラム・ドロワント!!

榊 風音

威力が上がっている……?どういうことだ?

ソール・グルナディエ

貴様は着替えも待てぬのか

ソール・グルナディエ

さすがにフード一枚で戦うのは、絵的にもまずかろう

榊 風音

いや首から下映ってないから!!

ソール・グルナディエ

さて、先に手を出してきたのはそちらである以上、私も剣を抜いたわけだが、一つ聞いてもいいか?

榊 風音

なんでしょう?

ソール・グルナディエ

貴様が今使った術、それが妖術か?

榊 風音

…………!

榊 風音

へぇ……妖術のことを知ってるんですか

ソール・グルナディエ

さわり程度しか知らないがな

榊 風音

魔法に比べたら妖術なんてマイナーもいいところですから、知ってるだけでもすごいですよ

榊 風音

では、あなたの強さに免じて少し教えてあげましょう、妖術のことを

榊 風音

妖術を発動するのに必要なのは膨大な精神力。これは魔法と同じはずです

榊 風音

しかし、大きく違うのはイメージしたものを発現させる魔法と違って、妖術は自然界にある水や空気、さらには自分の体を操作すること。
自分の精神力を増長させて操る感じです

榊 風音

例えば、こんなふうに

ソール・グルナディエ

水が勝手にはじけて弾丸に!!

榊 風音

分かりましたか?こうやって自然を意のままに操って戦うのが、僕達の「妖術」です

榊 風音

自然の多い十国らしいでしょう?

ソール・グルナディエ

……ふん

ソール・グルナディエ

妖術のことはよく分かった。懇切丁寧に教えてもらったことには礼を言おう

ソール・グルナディエ

褒美だ。このソール・グルナディエの秘技を受けて果てることを許可しよう

榊 風音

…………秘技?

榊 風音

なんだ?

榊 風音

…………星屑!?

ソール・グルナディエ

根絶せよ!秘技・アエロリット!!

榊 風音

くっ!!

ソール・グルナディエ

無駄だ!!

榊 風音

ゴホゴホ……っ

榊 風音

まさか、全弾僕の周りに落とすとは……っ

ソール・グルナディエ

諦めろ。貴様では私には勝てん

ソール・グルナディエ

それに、私はディスナティのスパイではない。訳あってここに逗留しているだけだ

ソール・グルナディエ

進んでこの地を冒すつもりはない

榊 風音

…………なるほど

榊 風音

貴方には土人形を倒してもらった恩もありますし、こちらも手を引きましょう。考えてみれば、貴方には土人形を倒す動機がありませんし

榊 風音

ちゃんとしたお礼もしたいので、一度王都にいらしてください。今度は道すがら襲うといったことはありませんから

ソール・グルナディエ

…………いいだろう。考えておこう

榊 風音

では、衛兵には「榊風音の友人だ」と伝えてください。ささやかなおもてなしを――

ソール・グルナディエ

…………榊!?

榊 風音

では、僕は他に仕事がありますので、これにて

ソール・グルナディエ

待て!榊ということは、貴様は彼の…………!!

榊 風音

さようなら

ソール・グルナディエ

……………………

ソール・グルナディエ

……逃げ方かわいいな!!

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