涼紘 夏美

それで? シルクと都は負けたんだ?

都 大樹

ああ、あれが限界だったよ

桐谷 シルク

むしろ5位に入れたのだ奇跡だと思うわ

綾瀬が黒須を打ち負かし(ずるをして)表彰された後、僕らは青葉たちと合流して噴水近くのベンチに腰を下ろしていた。

羽鳥 宇美

そして、やっぱり優勝は咲月なのね

綾瀬 咲月

もちろんだ! 正直みな手ごたえがなかった!!

都 大樹

あれはもう綾瀬の独壇場だったからな

桐谷 シルク

相手の選手に同情したほどにね

僕も綾瀬とスポーツは絶対にしないと固く決意したほどだ。

都 大樹

ところで、僕たちがテニスをしている間にみんなは花畑を見てきたようだけど。これからどうしようか

綾瀬 咲月

花畑など見て何が楽しいんだ?

白石 未筝

どうせ咲月には分からないよ

藤峰 明人

お前に花は似合わねえよ

綾瀬 咲月

お前には眼鏡が似合わないけどな

藤峰 明人

ぐはっ!!

綾瀬の言葉に、藤峰は背中から倒れ込んだ。誰も心配はしないが……

青葉 桐斗

話しを戻そうか。これからの日程だが、夕食の時間までまだ時間がある。その前に温泉に入りたい奴は、ちょうど今からが空いているらしいから、ホテルに戻った方がいいだろう

涼紘 夏美

いいわね温泉。なら私はホテルに戻ろうかしら

白石 未筝

温まりながらゆっくりと読書。うん、悪くない

都 大樹

本がしおれないか?

白石 未筝

防水湿気対策は万全だ!

綾瀬 咲月

温泉か。体の汗を流すのに丁度いいな。よし、私も行こう

都 大樹

じゃあみんなでホテルに戻るか

桐谷 シルク

そうね。一人で行きたいところもないし

藤峰 明人

折角温泉が有名なホテルにしたんだしな

青葉 桐斗

そうか……まあ皆が賛成なら構わない。では、行こうか

満場一致で温泉に入ることとなり、僕たちはホテルへと歩みを進めた。

っと。そんな時に、またしても僕の携帯の音が鳴る。

相手の名前を確かめると、そこには知っている名前が表示されていた。

というより、僕が連絡を待っていた人だった。
僕はみんなに一言残し、列から外れ電話に出る。

都 大樹

もしもし。大樹だけど。用事はもう終わったの?

三枝 美樹

うん! もうすぐそっちに合流できそうだよ。それでさ、大樹くんに、折り入って相談があるんだけど……

都 大樹

ああいいよ。僕にできることなら何でもするさ!

三枝 美樹

本当!? ありがと。じゃあさ、今から直接会えないかな? できれば二人きりで

都 大樹

そうだね。だったら僕たちが泊まる予定のホテルから少し歩いたところに大きな公園があるから、そこの花畑の前でどう?

三枝 美樹

うん。分かった。じゃあ今から急いで向かうね! ばいばい

都 大樹

また後で

美樹ちゃんとの電話を終えた後、僕はみんなの所に戻って言った。

都 大樹

悪い。ちょっと用事が出来たからさ、先にホテルに帰っててくれないか?

白石 未筝

何々どこ行くの? 何か食べに行くの?

綾瀬 咲月

む。食べ物だと!? ならば私も

都 大樹

いやいや。見れなかった花畑を見に行くだけだから。出来れば一人でゆっくり見たいんだ

綾瀬 咲月

花なら別に興味ないな

白石 未筝

私も一度見たしもういいや

青葉 桐斗

安心しろ都。こいつらは俺がしっかりホテルまで連れて帰るから、お前はゆっくり用事を済ませてこい

都 大樹

助かるよ青葉。ありがとう。じゃあ、ちょっと行って来る!

やはり青葉は真面目で頼りになるやつだ。
僕はその場を後にし、一人で待ち合わせ場所に向かった。

あらあら。このままではあの時の二の舞ですよ。それでもいいんですか?

ここでホテルに戻っていれば、最悪の事態だけは避けられたかもしれないのに……

と言っても、夢の中ではどうしようもないのですけれどね

それでも僕はもがいた。

あの結末を避けるために。

けれども、彼女の言う通り、それは全くの無駄後なった。

* * * * *

こんにちは。ご覧いただきありがとうございます。

諸事情で、おまけを載せられませんでした。

次回載せられればなあと思います。

さて、都の夢はもう少し続きますので、今しばらくお付き合い下さればと思います。

それでは、今回はこの辺りで失礼します。

——いよいよ美樹ちゃんの登場です。
  皆さまは覚えていますでしょうか?

彼女の相談とは、何なのでしょう?

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