神裂 優斗のクラスの担任である新道は、授業中で誰もいない廊下をウロウロしていた。
あいつ、どこ行ったんだ?
神裂 優斗のクラスの担任である新道は、授業中で誰もいない廊下をウロウロしていた。
普通、入学初日から問題を起こすか?
新道はさっきまで優斗のクラスで授業をしていたのだが、午後になっても顔を出さない希を心配して、学園内をあちこち探し回っていた。
そして今、医務室に辿り着いたところだ。
愛川。ここに神裂 希って奴は来てないか?
ノックをすると同時に医務室に入った新道は、目の前の光景に目を疑った。
あ、新道教官。今は忙しいので、後にしてもらえますか?
愛川は目に涙を浮かべながら、懸命に医療行為を行っている。
医務室には、片腕に酷い火傷を負った金剛寺が、ベッドに横になって治療を受けていた。
お、おい。誰にやられたんだ? まさか?
新道には思い当たる節があった。
心配ありません。
その声は、医務室の奥から聞こえた。
風宮?
奥のベッドに座っていたのは、生徒会長の風宮 梓だ。
教官が考えているようなことはありません。ですから、心配ありません。
そして、風宮は新道の近くに歩いていった。
風宮、どういう事だ?
新道は風宮に耳元で小さい声で言った。
これは、私が彼女の能力値を計るために行った結果です。
彼女に非はありません。
風宮は冷静に答える。
しかし、ここまでやる必要は無かったはずだ。
新道は、風宮に言った。
でも、これで分かりました。
神裂 希さんは、戦力になります。
風宮は新道を真っ直ぐ見つめて言った。
はぁ。お前がそこまで言うのなら、仕方が無い。
しかし、お前には負けたんだろ?
新道は風宮に聞く。
ええ。ですが、金剛寺との試合を見たとき、彼女の本気は、私でも適うかどうか分かりませんでした。
神裂が教室に来なかった原因はお前かよ。
新道と風宮が話していると、それまで口を閉ざしてベッドに横になっていた金剛寺が話し出した。
いや、あいつは本気じゃなかった……。
金剛寺の言葉に、医務室にいる全員が驚いた。