心霊写真
小田原(と少しだけ関ケ原)編

2月の平日でした。

ふらっとお昼頃に、ひとりで車で箱根湯本までお水を汲みに行きました。
そして、帰りに小田原のお店で、遅めのランチを食べました。

その後、駐車場の周囲をお散歩しました。

雨が上がったばかりで、晴れてはいましたが、周囲に人はいませんでした。

空気は湿気を含んでいて、ひんやりと清々しい感じでした。

佳純

わ~w

近くの公園に、桜がたくさん咲いていました。

佳純

すごい綺麗~w

時期が早かったし、背も低く、河津桜みたいなのかな? と思いました。

佳純

写真、写真。

喜々として携帯で撮りました。

佳純

リスちゃんに送ろう。

リスちゃんは高校からの友達で、箱根にもよく一緒に行っていました。
彼女は霊感が強いとは自分では言いません。

霊感はないよ~。

と、言いますが、幽霊を見たことはあるそうです。

佳純

この写真がいいかな?

携帯だと見にくかったのですが、一番よいと思える写真を選んでメールに添付しました。

佳純

綺麗な桜、
観ちゃった。

という、ただの報告メールです。

佳純

綺麗だな~w

誰もいない公園で桜を満喫して、家に帰りました。

でも、運転をしながら、

佳純

リスちゃん、
返信くれなかったな?

いつもなら、けっこうすぐに返信がくる子で、写真がついていると、必ず感想をくれたのですが……。

佳純

ああ、でも、前にもあったな……。
写真を送って、返信くれなかったの……。

関ケ原で激戦地跡の写真を撮って送った時でした……。

佳純

あの写真、霊感強い人に、
評判悪いんだよね……。

見せるとほぼ絶句されます。

桜の時期(ソメイヨシノの方です)に、青春18切符で旅をしていました。あんまりにも桜が綺麗で、「関ケ原」駅で思わず降りてしまいました。

予定していたわけではなく、本当に突発的に駅に降りました。

田んぼと桜色の風景が広がっていて、それがなかなか素敵で、遺跡を観ながら4時間ほど滞在しました。

関ケ原の戦い(1600年)の遺跡です。

資料館で地図をもらい、石田三成が陣を張った場所まで行きました。

三成は関ケ原を見渡せる高台に陣を取っていました。
三成の陣はひとつでしたが、そこに行くまでに、徳川家康の陣が少しずつ移動しています。

佳純

家康が優勢ってことかな?

地図を見て確認しながら行きました。

少しずつ、少しずつ、家康の陣地が、三成の陣地に近づいて行きます。

そして、家康の陣地には、供養塔が建っていました。

戦国武将たちは、「私はだれそれを討ちました」という報告を、家康にしていたそうです。

佳純

つまり、家康の陣地は
武将の首が集まる場所……。

その時は、誰もいなかったし、骨が残っているわけでもなし、「静かに時間だけが過ぎた……」
という感じでした。

佳純

夏草や 兵どもが 夢のあと……。

場所も季節も違うけど、そんな気がしました。



それで、関ケ原の「激戦地」という石碑が建っている場所で写真を撮りました。

田んぼの中に、少し土を盛って高くしたところがあり、この場所で人がたくさん亡くなったという看板がありました。

私には普通の景色を撮ったものにしか見えませんでした。

佳純

関ケ原に来たよ~。

という、ただの報告メールです。


その写真を添付してリスちゃんに送りましたが、いつまで待っても返事は来ませんでした。

この写真見ると、
鬨の声が聞こえるよ

そう言われました。

佳純

何も聞こえない。

私にはただの風景写真です。

佳純

霊感が強い人が見てる景色って、
私が見てるのと違うのかも?

と、思いました。

小田原から帰った何日か後に、リスちゃんに会いました。

佳純

……って、面白かったよね~。

あ~、うんうん。

他愛もないことを話していたのですが、何かの拍子にメールのことを思い出しました。

佳純

そういえばさ、こないだ、箱根に行った帰りに小田原で桜を観たんだけど……。

ああ……。

急にリスちゃんのテンションが下がりました。

佳純

あれ?

嫌な予感がして聞いてみました。

佳純

その時、桜の写真を
送ったんだけど……。

来たよ……。

佳純

それまで楽しく話していたのに、急に口が重くなる感じがしました。

佳純

どうしたの?

と、聞くと……

えっと、なんであの写真、
送ってきたの?

佳純

2月なのに、
もう桜咲いてるよって……?

えっと……、おじさん、
写ってたの、どうして?

佳純

おじさん?

作業着のおじさん……。

佳純

私、人物あんまり撮らないし……。

というか、周囲に人はいなかったはずです。

そうだと思ったからさ、
なんか変だなって思ったんだよね。

私がもらった写真
おじさん写ってたよ。

佳純

そんなはずないよ。

私は急いで携帯で、リスちゃんに送ったメールを確認しました。

佳純

ほら、送ったのコレだよ?

送信済みのメールに添付されていた写真は、私も上手に撮れたと思った桜だけの写真でした。

これ?

佳純

うん。

宛先もリスちゃんだし、ちゃんと桜の写真も添付されています。
その日に写真を添付したメールはそれだけです。

いないね、
おじさん……。

佳純

うん……。

佳純

私が送ったメールは?

消しちゃった。

佳純

…………。

ああ、あのね、
怖い感じはしなかったんだけど
知らないおじさんだったから。

リスちゃんは、断捨離が得意な子です。

でも、ニコニコしてて
そんなに悪い感じはしなかったよ。

佳純

じゃあ、関ケ原の写真は?

ヤバかった……。
「怖い」って思った。

佳純

そう。

うん。
怖かった。

佳純

ごめん……。

それからリスちゃんには、私が感動したときの写真は、送らないようにしています……。

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