それから再び彼女に会ったのは、いつもの公園ではなく近くにある踏み切りだった。彼女はコンビニに寄った帰りらしく、隣にレモンを連れてはいない。
それから再び彼女に会ったのは、いつもの公園ではなく近くにある踏み切りだった。彼女はコンビニに寄った帰りらしく、隣にレモンを連れてはいない。
二人だけで会ったのはその時が初めてだった。最後にチェリーを連れて散歩した時からは、まだ一ヶ月ほどしか経っていなかった。
……寂しいよね
偶然道端で出くわし近所の喫茶店に入った後、たっぷりと間を取って彼女は言った。
彼女の前には一杯のコーヒーとモンブランが置かれている。コーヒーからはもう湯気は出ていなく、モンブランは全く手をつけられていなかった。
私の前にはイチゴパフェが置かれていたが、上に乗ったアイスはすでに形を崩し、盛られていたイチゴは何個か容器の外に転がり落ちていた。
そして、モンブランとイチゴパフェに挟まれるように、銀の取手に赤い紐の、一本のリードが置かれていた。
今日私があの公園に取りに行き、親戚の家に持って帰ろうとしたものだった。
でも、あの日最後にもう一度会えたから、私は大丈夫だよ
そう言って、彼女が落ちていたイチゴをフォークで刺し、一つ口に運んだことは覚えている。そして私は、やはり彼女のようにはできなかったのだ。
パフェもモンブランもコーヒーも、私が頼んだものではなかった。三つとも彼女が頼んだものだったはずだ。
それに私の前にパフェが置かれていたのにも他意はなかった。
ただ、私の意識をパフェに持って行きたかった。その事実から必死で視線を逸らさせようとしていた。
それだけのことだったに違いない。だけど。いや、だからこそ私は、そのパフェに手を伸ばせなかったのかもしれない。
結局、パフェもモンブランもコーヒーも、全て彼女がそのお腹に収めてしまった。
喫茶店からの帰り道、私と彼女は公園の前を歩いていた。私も彼女も公園の方を見ようとはしなかった。
会話もほとんどない。隣に彼女がいたけれど、私一人で持つリードの銀の取手は、やはり少し冷たかった。
「さよなら……」
その言葉が誰のものかも分からないまま、私は彼女と別れ家へ向かった。