な、何じゃ!? あの中の二人は一体どうなっておるんじゃ!?

……焼き芋一つじゃ足りないな……

外から眺めることしかできないかぐや姫たちは、中で起こっていることなど分からなかった。

ヒントとなるものは、ただ一つ。

彼女のすぐそばに落ちてきた剣、それだけだった。

くそ! 剣が折れるなんて……だけど、俺は!!

竜巻の中で吐き捨てたライトは、しかし鞘を掴みすぐさま反撃の姿勢をとった。

ここで諦めるわけにはいかないんだ!!

ふん。『命令だから、仕方ない』、か。人に強いられ他人に理由を求める奴が、諦めないなんて言うんじゃねーよ

なんだと……

他人の言うがままに行動している時点で、お前は自分を諦めているだろうが

だけどその言葉は、過去の自分に向けた言葉だったかもしれない。

だからこそ青年は、一切の迷いなくライトに断言した。

だから、お前はまず自分を諦めるな。そして、呑気に月と地球を繋ぐ橋でも作っていろ

……

返答はなかった。ただ、ライトは鞘を持つ手に力を込める。

対して、青年は乱暴に青い剣を放り投げた。

諦めない。諦めるわけないさ

絞り出すような声でライトは言う。
けれどその目には確かに光が宿っていた。

だから。そのためにも俺は闘うさ!

一歩。小さいけれど、大きな意味のある一歩をライトは踏み出した。

そうか。なら、あれはこの俺様に任せときな

竜巻の中心で、彼らは激突した。

たった一度の、その小さな激突は、彼らを取り囲む土煙の竜巻をかき消した。

——————

笑いながら倒れていく少年は、一体どんな夢を見ていたのだろうか。

ふん

それを見送って、青年は彼女を見た。

た、竜巻が晴れてゆくぞ

土を含んだオレンジ色の土煙が色を失い、やがては形も失った。

そこにある光景は、何の結果なのだろう。

ただ、一人の少年の幸せそうな眠り顔がそこにはあった。

そしてもう一人。

……

……

かぐや姫と彼の視線が交差する。

かぐやはそんな音を聞いた。

二人の距離が縮まる。

そして物語は動き始める。

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