かぐや姫と視線を交え、青年は言った。
おいババア
かぐや姫と視線を交え、青年は言った。
何じゃお主。わらわはまだ妖艶麗しゅう若いおなごじゃぞ
無駄な文句はいい。もう俺様は知っているんだから
口の中の血を吐き出しながら、青年は言った。
知っているじゃと? お主が一体わらわの何を知れるというのじゃ
お前の全て。貴様が作った『不死の薬』のことも含めて全てだ。ただし、お前の未来までは分からないがな。俺様が知るのは、貴様と初めて出会ったあの朝のお前までだ
びくりと、かぐや姫は一瞬身を強張らせた。薬の入った壺を持った右手に、自然と力がこもっていた。
それで。全てを知るお主は、わらわに何を望むのじゃ?
そうだな
呟いて、かぐや姫を見ていた青年は、その顔に笑みを浮かべる。
振り返り、それを見据えて、それから言った。
お前の願いをかなえてやろう
キキの姿を視界にとらえたまま、青年は背後のかぐや姫に宣言する。
願い、じゃと?
ああそうだ。竹に囚われてまで、故郷を脱してまで叶えたかった願いを。救いたかった人を。達成してやるよ
何故そんなことを? もしやお主も、『不死の薬』を望むのか?
壺を持つ手に、さらに強い力が加わる。
違うな
しかし青年は、一言で否定した。
俺様が望むのは、そんなものではない。もっと別の……そうだな。要求は後にさせてもらおうか
だから、青年は一瞥し、彼女の元へ向かう。
全ての元凶であり、終結点である、彼女に。
話し合いは終わったか?
その先にいるのは、変わり果てた姿のキキ。
彼女は笑って、笑って言った。
では始めようか。月と地球の、最初で最後の戦争を!!
ふん。そんな大それたものではないさ。俺様の欲を満たす、唯のつまらん暇潰しに過ぎないよ
そして、宇宙規模の激突があった。