召喚士

さて、始めますか! 

一人呟くと、魔獣転移のための魔法陣を描いた。



勇者様も、聖騎士さんも……もちろん、他のメンバーも強くなろうとしている。



私ももっと強くならなければ……。



そのためには、少しでも強い魔獣を召喚出来るようにならないと……。





















































「マンティコア」 魔獣レベル58
















召喚士

雑魚は出て来なくて良いですよ
























召喚士

次っ!




















































「フェンリル」 魔獣レベル65
















召喚士

また雑魚ですね……

























召喚士

そろそろ、使える魔獣が出てきて欲しいですね
















































「ベルゼブブ」 魔獣レベル82
















召喚士

もう一声です!

















































































「ニャルラトホテプ」 魔獣レベル99


















召喚士

ま、これくらいで手を打ちましょう!

召喚士

はぁぁぁぁ……

召喚士

ブリザード・アロー!!!














































召喚士

も一つおまけに……

召喚士

アイス・ストリーム!!!




































召喚士

あっ……

召喚士

〇しちゃいましたね……

脆すぎる……。



魔獣を召喚獣として使役するためには、魔獣に力を誇示し、屈服させなければならない。



しかし、私の魔法力に耐えることが出来たのは防御力が最高レベルのゴーレムだけ。



しかも、あの少年に取られてしまったから、そのゴーレムすら召喚できない……。




召喚士

こんな時、レイブルがいてくれたら、何て言ってくれたんだろ……

召喚士

はっ……!

いけない、いけない。



未だに直らないクセに気付く。

リストラ

な、何ですか、この夥しい量の血は!?

召喚士

? 勇者様……?

勇者様がひょっこりと姿を現した。



良かった……魔獣との交戦中の時でなくて……。



最悪、知らないうちに巻き添いにしてしまうところだ。

召喚士

修業はどうされたんですか?

リストラ

それがですね、師匠殿が聖騎士殿の様子を見に行くと言ったきり、戻って来られなくて……

リストラ

あまりに遅いので様子を見に行きましたら……何やらお二人で斬り合っておられましてね……

リストラ

物凄い気迫で、声が掛けられませんでした!

召喚士

そうですか……

うわー、まだやってるんだ……。

リストラ

それよりも、この血の海は一体……!?

召喚士

えっと、魔獣の血です

リストラ

魔獣? モンスターとは違うのですか?

召喚士

ええ、違いますよ

似ているようで全く違う両者。



――「モンスター」と「魔獣」――



前者は「魔王が創りだした生物」であり、後者は「魔の森で産まれ出る獣」である。



今はこの場所で魔獣を転移させ、召喚獣として使役することを試みていた。



しかし、見事に失敗に終わったことを説明する。




リストラ

だから、いくら倒しても宝石にはならないんですね!?

召喚士

その通りです!

リストラ

なるほど……モンスターと魔獣の違いは分かりました

召喚士

他にご質問はありませんか?

リストラ

勘違いでしたら申し訳ないのですが……

召喚士

? 何でしょう?

リストラ

何か悩んでおられた様子……

リストラ

もし、力になれることがありましたら、いつでもご相談くだされ!

召喚士

は、はい……

どうやら、考えていたより前から、勇者様に見られていたようだった。



迷った……が、この機会にレイブルのことを話しておこうと思った。



……きっと、他の仲間は私に気を遣って、勇者様には話をしないだろうから。




召喚士

では、お言葉に甘えさせていただきますね!










-回想-









召喚士

え? 今、なんて……?

レイブル

だからね

レイブル

魔王を倒したら……結婚しよう!

レイブル

……って、ダメ……かな?

召喚士

ううん……嬉しい!

召喚士

きっと、魔王を倒して……

召喚士

私を世界で一番、幸せにしてね☆

レイブル

うん、約束するよ!















魔王

ふっ……お前たちの力はこの程度か……

魔王

全く話にならん……

魔王

出直して来るが良いわ!















レイブル

ごめん……僕が非力なばっかりに……

召喚士

何言ってるの! レイブルは頑張ってたよ!

レイブル

約束を守れなくて……ごめん

召喚士

え……

レイブル

今の僕じゃ、君を好きでいる資格なんて……ない……

召喚士

え? え?

レイブル

さようなら……

召喚士

ちょっと……待って……!











召喚士

どうして……?











-回想終了-








召喚士

それから彼には会っていません……

リストラ

そうでしたか……

召喚士

あ、でも、昔の話ですから気にしないでくださいね☆

リストラ

……

召喚士

勇者様……

リストラ

一つ、質問があるのですが……

リストラ

レイブルさんは「今の僕じゃ」って、おっしゃったんですよね?

召喚士

はい

召喚士

あの時の言葉は一言一句、忘れてはいませんから……

リストラ

だったら大丈夫ですよ!

リストラ

きっと強くなって、迎えに来てくださります!

召喚士

……

召喚士

そう……だと、良いんですけど……

リストラ

ええ! 信じて待ちましょう!

召喚士

……はい

勇者様が言って下さった言葉は……嬉しかった。



根拠はなくても、心の底から信じて言って下さっている。



……でも、あれから3年の月日が経っている。



そもそも、レイブルは私のことを覚えているのだろうか……?



もしかしたら、私より若くて綺麗な女の子と出会って、幸せな家庭を築いているかもしれない……。



期待した分だけ、裏切られた時は……辛い。



……だったら、最初から期待などしなければいい。



その優しい気持ちだけ、有難く受け取っておこう。










召喚士

……っ!?

魔法陣が発動した……!?



そう言えば……魔法陣の転移解除をし忘れていた。



一度、発動すると確実に魔獣は転移して来る……。



広範囲攻撃をしてこない魔獣であれば良いのだけれど……。



念のため、勇者様には私の後ろで様子を見るように言った。





召喚士

あ、れ……?

リストラ

どうしたのですかな?

召喚士

どうしましょう……魔法力があとわずかです

リストラ

え……それって……いわゆる……?

召喚士

「ぴんち」ってヤツですね☆

















そして、新たな魔獣が姿を現す――。

















-次回を待てっ!-

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