聖騎士

……

拙者より動きの速い相手……。



その相手を上回る速さを手に入れること……。

聖騎士

……

しかし、気付かぬうちに気絶させられるほどのスピード……。



そんな速さの相手を上回ることなど……。



果たして……出来るのか……?

聖騎士

……

眼で追うことすら……出来なかった相手……



まずは眼で捉えられなければ……。



だが……しかし……。

聖騎士

……方法が全く思い浮かばないでござるな

滝に打たれながら、独りごちる。



……師匠は拙者の力をもってすれば対応できるとおっしゃってたが、そうは思えなかった。



ちなみに勇者殿は、師匠と剣の稽古中である。

師匠

やっとるの……

聖騎士

師匠!

弟子を……いや、今は元・弟子ではあるが、見に来てくださったのか……!



その優しさに思わず笑みがこぼれた。



……しかし、拙者の姿を認めて、眉根を寄せる。

師匠

昔、あれほど教えたことを……

師匠

忘れてしまったようじゃの……

聖騎士

? 何でござったか?

師匠

滝行をするなら……

師匠

「白スク」を着ろ、と……!!!

※注「白スク」=白いスクール水着のこと。

白は透けやすい色であるため、一般的なスク水(=紺色のスクール水着)とは違った漢(=おとこ)の萌えとロマンが籠められている。

なお、この異世界において、女体の大半を白い布地が覆う水着を指しているのではあるが、あえて「白スク」と現代日本語に意訳することで、師匠のほとばしる熱いパトスを表現していることを理解されたい。

さらに言えば「白スク+金髪美少女=∞」という黄金の方程式についても決して失念してはならない……!!

それは「約束された遠き桃源郷」とも言うべき……。

聖騎士

この物語の作者は……もしかして、師匠でござるか?

※メタ発言禁止です。
(By作者)

師匠

……?

師匠

では……「白スク」を着るなら……

師匠

ヒントをくれてやる……と言えば、お前はどうする……?

聖騎士

なっ……!?

師匠

「世界平和」と「羞恥心」……

師匠

お前にとって……どちらが大事かということだ……

聖騎士

くっ……それは……!?

世界平和のためなら、この程度の辱めなど、耐えるべきということなのか……?

師匠

つまりだ……お前は「世界平和」より……

師匠

自身が可愛いのだろう……?

師匠

この痴れ者がっ!

聖騎士

ぬぬぬ……

拙者は保身を図っているだけなのか……?

召喚士

……黙って聞いていれば

召喚士

痴れ者はあなたの方ですよ?

召喚士

このエロ頑固親父!

師匠

うっさいわ! 黙れぃ! ど痴女!

聖騎士

召喚士殿……

師匠

邪魔が入ったのぅ……

師匠

昔のお前は従順で……ぷにぷにで……金髪ロリータで……

そもそも、「世界平和」と「羞恥心」を秤にかけること自体、おかしな話だ。



さらに師匠の今の発言により、忌むべき記憶が頭をもたげた。

聖騎士

そうそう、そうでござった!

聖騎士

そうやって、師匠は拙者を辱めてばかりでござったな……

―回想―




















-回想終了-

聖騎士

幼少のみぎり……無知な拙者に対して、セクハラ三昧・し放題……

聖騎士

おぞまし過ぎて……「ストリエ」では表現出来ないでござるっ……!

※メタ発言禁止ですってば。
(By作者)

召喚士

まあまあ……怒りを鎮めてくださいな

召喚士

代わりに……

召喚士

「白スク」は私が着ますからっ!!!

聖騎士

ははっ! 全く意味が分からないでござるよ?

召喚士

ああ……とっても恥ずかしい☆

言っている言葉とは裏腹に、この召喚士殿、実にノリノリである。

師匠

お前なぞに神聖なる「白スク」を着させてなるものかっ!

……そして、何故に召喚士殿に対してだけ師匠は流暢な喋りになるのだろうか?

師匠

聞け……大サービスだ……

師匠

相手を捉えられないと言うなら……

師匠

「先の先」を取れないと言うなら……

師匠

「後の先」を取るが良い……

聖騎士

「後の先」……で、ござるか?

師匠

加えて……

師匠

必ずしも「剣技」だけで対抗する必要はない……

師匠

お前には……「魔法力」も……「精霊の加護」もあるのだからな……

師匠

全てがお前であり……お前が全てだ……

聖騎士

……っ!

拙者は「いかに相手より早く動くか」ばかりに囚われていた。



そして「いかに剣技で切り伏せるか」ばかりを考えていた。



「魔法力」と「精霊の加護」をもってして「後の先を制する」新しい技を編み出すことが出来れば、きっと何とかなる……!

聖騎士

師匠! 召喚士殿! かたじけないでござる!

師匠

ふん……ようやく光明を得たようじゃの……

召喚士

お力になれて良かったです!

聖騎士

師匠! 早速、試したいことがあるでござる!

聖騎士

手合わせ願いたいっ!

師匠

ふっ……その意気や良し……

師匠

手加減は……せんぞっ……!

召喚士

では、頑張ってくださいね











聖騎士

はぁぁぁぁ!!!

力がみなぎるのを感じる。



師匠との剣戟を重ねるたび、士気の高揚は留まることを知らなかった――。










-次回を待てっ!-

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