ホームルームが終わり、桐谷先生が教室を出ていくと渚ちゃんの前に座っているチカが笑顔で振り向いた。
ホームルームが終わり、桐谷先生が教室を出ていくと渚ちゃんの前に座っているチカが笑顔で振り向いた。
私は安住チカ!よろしく!
は、はい、よろしくお願いします!
よかったら、昼休みに校内案内するよ、この学校広いから!
いいんですか?じゃあ、お願いします!
あ、私も行く!お弁当持って中庭行こうか!
わぁ、いいですね!賛成です!
そこまで話した時、クラスの子たちも渚ちゃんの机に集まり雑談が始まった。
もちろん、ほとんどが質問。転校初日は質問攻めにされるものなんだと思う。漫画知識だけれど。
ねえねえ、渚ちゃんってどこに引っ越してきたの?近い?
そんなに近くもないんですが、街外れにある大きいお屋敷のような家わかりますか?あそこに引っ越してきて…
あのお屋敷に引っ越してきたのって、渚ちゃんだったんだ
あ、あの、何か悪いこと言いましたか?
違う違う、あそこずっと誰も住んでなかったからみんなビックリしただけだよ、あんな大きいお屋敷だからね
そうなんですね、驚いちゃいました。
…あ、ごめんなさい、ちょっとお手洗いに行ってきます
そう言って、渚ちゃんは人の間を通り抜けて教室を出て行った。
それを確認し、何人かが顔を近づけ小声で話し始める。
どうするの?
どうするって言っても、まさかあの映画みたいに「お前んちおっばけやーしーきー」とか言うわけにもいかないでしょ
いや、さすがにその言い方は…
でも自分の家がそんな噂あるなんて知ったらショックだろうし、しばらく黙っておこうよ、他の皆には私から言っておくから
そうしよ、噂なんてただの噂なんだから
ちょうど話がまとまった時、渚ちゃんが教室に入ってきたのを見て何事もなかったかの様に彼女を迎え入れた時、チャイムが鳴り、皆それぞれの席に着き授業の支度を始めた。
そういえば、お二人も家は近いんですか?
私んちは歩いて10分だから、近いかな!
…そういえば、私もりおの家って知らないなあ、どこに住んでるの?
そうだっけ?私の家は
答えようとしたとき、先生が入ってきてしまい結局言えずに終わってしまった。
授業が始まり、黒板を見つめながら先生の言葉に耳を傾ける。
ノートをめくり、シャーペンを持った時、ふと妙な違和感を感じる。
?
その違和感の正体がわからず、小首を傾げながらも、授業に集中し直した。
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