私は浅香りお。高校2年。
私の住む街外れには、古びたお屋敷が建っている。何度か見たことがあるけれど、人ではなく幽霊が住んでいそうなほど廃れた建物だった。
そんなところに引っ越す人がいるなんて、変わった人だな、そう思った。
おはよー
おはよー!ねえ、知ってる?あそこのお屋敷の話!
あのお化け屋敷になってる廃墟?
そうそう!なんでも引っ越してきた人がいるらしいよ
へえ、物好きな人もいるもんだね
私は浅香りお。高校2年。
私の住む街外れには、古びたお屋敷が建っている。何度か見たことがあるけれど、人ではなく幽霊が住んでいそうなほど廃れた建物だった。
そんなところに引っ越す人がいるなんて、変わった人だな、そう思った。
そういえば、あのお屋敷ってなんか噂なかったっけ?
ああ、あるね!
これはチカのが詳しいよ、ね!
詳しいって言われても、私だって噂でしか聞いたことないわよ。
…あのお屋敷はね、昔とある一家が惨殺された家なのよ
え…惨殺?
そう。私も噂で聞いただけなんだけどね、なんでもお父さんはメッタ刺し、お母さんは絞殺、一人娘は…
息を飲んだその時、軽やかな予鈴が鳴り響き、みんな慌ただしく席に着く。
一家…惨殺…あのお屋敷ってそんなに怖い場所だったんだ…
それにしても、娘さんはどうなったんだろう
はい、おはよー
扉を開けて桐谷先生が入ってくると、その後ろからセーラー服を着た女の子が続いて入ってきた。
女の子が教壇の横に立ち、先生が黒板に大きく名前を書く。
転校生なんて珍しい…
えー、まあ見てわかると思うが、転校生を紹介する。
“椎葉 渚”さんだ。彼女は急な引っ越しだったため、制服が出来上がっていないが、しばらくしたら同じ制服を着る。仲良くしてやってくれ
椎葉渚です。気軽に渚って呼んでください。早く皆さんと仲良くなりたいです。
よろしくお願い致します。
丁寧な言葉遣いにおっとりとした温和な声に物腰の柔らかさ、一目で彼女は育ちがいいとわかった。
席はちょうど浅香の隣が空いてるな。
…浅香ー
はい!
よろしくお願いします、浅香さん
りお、でいいよ!よろしくね、渚ちゃん!
はい、りおさん!
少し緊張しながらも、笑顔で挨拶をすることができたことに私は内心安堵する。
でも、まさかあんなことになるなんて、この時はまだ知らない。