絵美が由佳の家に到着をする。
絵美が由佳の家に到着をする。
庭先に自転車を止めて、
玄関のチャイムを鳴らした。
由佳が玄関のドアを開けて顔を出す。
いらっしゃい。
絵美が玄関から家の中に入る。
お邪魔します。
由佳に促されて、絵美が家に上がった。
廊下を歩いて由佳の部屋へ行く途中、
リビングの横を通る。
こんにちは。
いらっしゃい。
リビングに居た由佳の母が応える。
一緒に居た由佳の父は何も言わなかった。
いつもの事である。
二人は二階へ上がり、由佳の部屋に入った。
由佳はベッドの縁に座って、
絵美は床にあったクッションに腰を下ろす。
ごめんね。
呼び出しちゃったりして。
いいよ。
由佳んチ、クーラーがあるから、
涼めるじゃん。
そうなのよね~。
だから、夏場は余り、絵美んチは
行きたくないんだよね。
あはは。
木綿子はどうしているの?
木綿子、
風邪で寝込んでいるんだって。
そうなんだ。
だから、絵美を呼んだんだ。
木綿子が居ても
呼ぶつもりだったけど。
木綿子は大丈夫なの?
大丈夫でしょ。
ただの風邪なんだから。
そっか。
由佳はもう、
お昼ご飯は食べたの?
食べてないよ。
食べなくていいの?
今、ダイエット中だって
言ったじゃん。
そうだったね。
絵美は食べてきたんでしょ!?
私は朝ご飯が遅かったから、
昼は、いいやって思って。
どうりで来るのが早いと思った。
うん。
電話を貰って、すぐに来たからさ。
それにしても、
遅い朝ご飯って。
この、この~。
えへへ。
で、どうだったの?
どうだったって言われてもね~。
絵美は少し照れ臭そうだった。
実を言うと、私まだ、
ラブホテルに行った事がないんだ。
そうなんだ。
健二と何度か、
Hをした事はあるんだけど、
全部、健二の部屋だったからさ。
私もこの間までは、
そうだったんだよ。
そりゃあ、ねぇ。
それで俊君のお母さんに、
家でHをしちゃ駄目って
言われちゃってさ。
あはは。
本当に!?
それでホテルに行く事に
なったんだけどね~。
ホテルデビューは絵美に
先を越されちゃったな~。
えへへ。
でも、正直、
余り覚えていないんだ。
そうなの!?
うん。
ただ、広かったな~って
印象が強くて。
ふ~ん。
部屋も広くて、ベッドも広くて。
お風呂も広かったな~。
そうなんだ。
それで最初は私も俊君も
緊張をしちゃってさ。
緊張!?
うん。
私はなんか、
照れ臭い感じだったけど、
俊君は落ち着かない感じだって
言っていたよ。
へぇ~。
でも、一回しちゃったら、
そういうのは
無くなったんだけどね。
なるほどね。
それで何回したのよ?
分かんない。
何それ!?
分かんなくなるくらいに
沢山しちゃったんだ。
だから、余り覚えていなくて。
申し訳なさそうにしながら、絵美が言った。
あはは。
まさか、絵美から、そんな台詞を
聞くとは思わなかったな~。
自分でもさ、
うん。
自分がこんなに
エッチだったなんてって、
ちょっと不思議な感じがするんだ。
そっか。
でも、これでHの経験も
絵美に追い越されちゃったのかな。
えへへ。
本当はそういう事、
認めたくないと言うか、
納得が出来ない部分もあるんだけどさ。
なんでよ~!?
絵美と山ノ井君を見ていると、
仕方がないのかなって
思っちゃうんだよね。
そうなの!?
なんか、強引に
納得させられちゃう感じ。
ふーん。
あんた達、その内、
結婚をするんでしょ!?
まだ、そんなの分かんないよ~。
だって、プロポーズをされたって
言っていたじゃん。
それは、そうだけど、まだ、
仮みたいなもんだしさ~。
でも、傍から見ていても、
絵美と山ノ井君って、その内、
結婚をするんだろうなって思えるもん。
そうなんだ。
ちょっと妬けちゃうな。
由佳。
気にしないで。
もう引きずっている
訳じゃないから。
うん。
一人の女として、
そういうの羨ましいなって。
それだけの事だから。
そっか。
それより、あんた、山ノ井君と
どんなHをしているのよ?
えーーー!?
由佳、変な事を訊かないでよ。
絵美が照れた。
何を今更、
恥ずかしがっているのよ。
だって。
だって、じゃないわよ。
うーん。
普通だと思うよ。
普通。
ふーん。
山ノ井君、上手なの?
そんなの分かんないよー。
あはは。
笑わないでよ~。
ごめん、ごめん。
それで正直に言って、
絵美は気持ちがいいの?
うん。
なんか、する度に気持ちが
良くなっていく感じ。
そうなんだ。
じゃあ、きっと山ノ井君、
上手なのよ。
そうなの!?
余り、こんな事を言っちゃ
いけないのかもしれないけど、
健二はさ、そんなに上手では
なかったと思うんだ。
そうなんだ。
私が健二の事を本当の意味で
好きになれなかったのは、
そういうところもあると思うんだ。
そっか。
勿論、
上手い下手だけじゃなくてさ、
相性みたいなものも
あるのでしょうけど。
それだったら、解る様な気がする。
あんた達、傍から見ていても
相性は抜群だもんね。
ねぇ、由佳。
何?
川崎君とHをする時、
ちゃんと避妊をしていた?
当たり前じゃん。
何!?
山ノ井君、避妊をしてくれないの?
そういう訳じゃないんだけど。
健二はちゃんと、
避妊はしてくれていたな~。
俊君もしてくれるよ。
ん!?
じゃあ、何で、
そんな事を訊いてきたの?
だから、由佳は避妊をしないで
Hをした事があるのかなって。
ああ、そういう事ね。
だったら、私はないよ。
そっか。
絵美、山ノ井君に何か言われたの?
ん~ん。
俊君は何も言っていないんだけど。
けど!?
実は私、昨日、安全日だったんだ。
ひょっとして!?
うん。
私の方から避妊をしないで
してみないって。
絵美は少し照れ臭そうだった。
あはは。
へぇ~、絵美の方からねぇ。
それって、やっぱり、
おかしいのかな!?
ちょっと、それは私には分からないな。
そっか。
私は健二に対して、
そう思った事はないし。
うん。
だから、逆に私の方が絵美に
訊いてみたいんだけど。
何を?
何で、そう思ったのかって事。
何でなんだろうな~。
ただ、私、俊君と
一緒に居るだけで、
すごく幸せな感じで、
うん。
Hをしていると、
すごく気持ちがいいし、もっと、
すごく幸せな感じになって。
そっか。
幸せに思えば思う程に、
もっと幸せになりたいっていうか。
ふ~ん。
よくは分かんないんだけどね~。
そういうもんなのかもしれないね。
そういうもん!?
うん。
本当に相手の事を好きに
なっちゃうと、そういう風に
なっちゃうんじゃないかって。
そっか。
私は健二の事を、そこまで
好きになれなかったから、
そう思った事はないんだけどね。
そう言われると、
そうなのかなって思っちゃうな。
だから、それで避妊をしないで
Hをしちゃってさ。
うん。
高校生で妊娠をしちゃったりする
子もいるんじゃないのかな。
そうかもしれないね。
それより、あんた達は
それで、どうしたの?
俊君に駄目だって言われちゃった。
そうなんだ。
やっぱり、山ノ井君、
変わっているわね。
そうかな!?
だって、普通の男の子だったら、
女の子から、そんな風に言われたら、
大喜びして飛び掛かって来そうじゃん。
あはは。
でも、山ノ井君のそういう所って、
同い年の他の男の子と比べて
魅力的ではあるよね。
うん。
ウチのお父さんとお母さんも
俊君の事、とても高校生とは
思えないって言っていたよ。
あはは。
まあ、その分、
可愛いげはないけどね。
そんな事はないよ。
俊君、結構、
可愛い所もあるんだよ。
そうなんだ。
とにかく、あんた達は本当に
羨ましいって思うよ。
えへへ。
親、公認なんだもんね~。
うん。
ウチじゃ、
絶対にそんな事は有り得ないもん。
でも、
それは由佳の事が大切だから。
それは、解っているんだけどさ。
ウチのお母さんが言っていたよ。
何を?
男親にとって、
女の子供って特別なんだって。
特別だからって私からしたら、
そんな理由で、
あれこれ束縛をされたら、
たまったもんじゃないわ。
そうかもしれないけどさ~。
あんたのお父さんは山ノ井君の事を
許してくれたんでしょ!?
うん。
結果的にはね。
結果的!?
だから、最初に
お父さんと俊君が会った時、
うん。
私、傍から見ていて、
ヒヤヒヤする様な場面はあったんだよ。
そうだったんだ。
でも、俊君がちゃんと
私のお父さんと話をしてくれて。
うん。
それで結局、お父さんも
俊君の事を許してくれたんだけど。
うん。
お父さんは俊君だから、
許してくれたみたいな感じなんだ。
ん!?
どういう事?
だから、もし私が俊君以外の
男の子を紹介していたら、
反対をされていたと思うんだ。
そっか~。
そういう意味でも私、
俊君の事を好きになって、
本当に良かったなって
思えたりもするんだ。
何!?
結局、惚気話になっちゃうの!?
ははは。
ごめんなさい。
別に惚気るつもりじゃ
なかったんだけど。
ふ~ん。
どうだかねぇ。
本当だってば~。
解っているって。
それで、その時に
お父さんが私の事を
特別に思ってくれているって、
すごく伝わってきてさ。
そうなんだ。
本当に由佳には信じて
貰えないのかもしれないけど。
うん。
ウチのお父さんも由佳のお父さんと
同じなんだなって。
えーーー、全然、違うじゃん。
だから、信じられないの
かもしれないけどさ~。
うん。
お父さん達が私達の事を
特別に思ってくれているって事は、
同じなんじゃないかなって。
ふ~ん。
それで俊君は、そんなお父さんと
同じくらいに、私の事を大切に
思ってくれているんだなって。
また、惚気!?
最後まで聞いてよ。
ごめん、ごめん。
だから、お父さんも
それを感じる事が出来たから、
俊君の事を許して
くれたんじゃないのかなって。
そっか~。
由佳も由佳の事を、
それくらい大切に思ってくれる彼を
見つければ、お父さんもきっと、
許してくれるんじゃないの
かなって、私は思うよ。
そうなのかな~。
そうだよ~。
ウチのお父さんを見ていると、
とても、そんな風には
思えないけどね~。
ふふふ。
それにさ。
うん。
例え、そうであってもさ。
うん。
そういう彼を見つけるのって、
そんなに簡単じゃ
ないんじゃない!?
それは、そうかもしれないけどさ。
なんか、憂鬱になってくるな~。
大丈夫だよ。
由佳、モテるじゃん。
そんなに、モテてないって。
それに由佳、スタイルが抜群だし。
そりゃあ、
スタイルには自信があるけどさ。
でしょ。
だって、スタイルを保つ為に
苦労して、ダイエットを
しているんだからねぇ。
本当に私からしたら羨ましいよ。
スタイルで絵美に
負けたりなんかしたら、恥だわ。
酷~い!
そこまで言う事は
ないんじゃない!?
何を言っているのよ。
散々、私に惚気ておいて。
えへへ。
でも、スタイルがいいってのも
考えものよね。
何で?
スタイルに釣られて寄って来る男に
ロクな男は居やしない。
あはは。
じゃあ、私とスタイルを
取っ替えっこしようよ。
それだけは死んでも嫌だわ。
本当に由佳って酷い事を言うね。
あんたに同情なんかはしてらんないわ。
私、せめて、もう少し、
おっぱいが大っきくなれたらな~。
それだけは、
少しだけ同情をしてあげる。
由佳ったら、もう~。
いいじゃない。
あんたには山ノ井君が
居るんだから。
そうなんだけどさ~。
山ノ井君もおっぱいは
大きい方が好きなの?
分かんない。
私、俊君にそれ、
訊いた事がないんだ。
そうなんだ。
今度、訊いてみよ。
由佳と絵美の話は尽きる事が無く、
夕方まで二人で話をし続けた。
外では、山の方から蜩の鳴き声が届いてくる。
昼間はまだ、夏が終わっていない事を主張する様な
暑さだったが、さすがに夕方になると、
もうすぐ夏が終わる事を実感する事も出来た。