『そんな事もあったかもしれんが昔の話だ。
今はもっと大人しいさ』と彼女は言う。
~その2~

第三電子魔術実験都市
 ~第五区画地下某所~

 現在MANAの研究は実用段階に移行している。この勢いならば、十数年の間に全世界どんな場所でも電子魔術を使う事が可能となるだろう。
 しかしそれを動かすためのソフトウェア、『電子魔術書』が不足していた。

イデグチ

っく、A4版タブレットか。

そこから……剣の召喚!? 生成系の魔術書か!?

だが、生成される前に、念動で!!

ロリ魔

剣術
[ミナモコノハ]!!

イデグチ

逸らされたか!!

ロリ魔

正面から簡単にやられちゃな!!

イデグチ

ならば

ロリ魔

後ろだ!!

イデグチ

っく、なんだその反応速度!!

背後に目でもついているのか!?

ロリ魔

剣が教えてくれただけさ!!

イデグチ

お前はどこかの剣豪少女か!!

ロリ魔

今度はこっちから行くぞ!!

イデグチ

っく、早くは無いが……。

ロリ魔

右か!!

イデグチ

っく!!

ロリ魔

と見せかけて左か

イデグチ

っぐ!!

ロリ魔

念動力で防ぐか……。便利な能力だな

イデグチ

って、お前本当に何者だ!?

素人の太刀筋じゃねえぞ!?

ロリ魔

そうでも無いさ。

ただ単にあなたが私の可愛さ並みに解かりやすいだけだ。

ロリ魔

……OK、右だな。

イデグチ

っく!!

ロリ魔

逃げられるとでも?

イデグチ

……いや、読めた。

くらえ!!

ロリ魔

っく!! 剣狙い!?

イデグチ

『OK』とか頷くってことは、支持出している存在があるってことだ。

剣自体が知能を持ってお前に指示出していたんだな?

『剣が教えてくれる』とも言ってたし。

お弟子君

お師匠、大丈夫ですか?
剣先が吹っ飛びましたが

ロリ魔

……軽微だけど破損した。

人工知能の『黒』も『ヒール』も反応しない。

帰ったら修正ファイル使わないと。

ロリ魔

まさか、一撃で生成した剣を破壊するとはね。

イデグチ

指示してるやつはどんな場合でも直接的な攻撃に弱い物さ

ロリ魔

あんたの上司みたいにか?

イデグチ

違いないな。

自分でもわかってるだろうから、今頃強固な防壁でも築いてるさ。

ロリ魔

それは困るな。手が出せなくなる。

ロリ魔

…………

ロリ魔

弟子君、行きなさい。

足はまだ痺れてないだろう?

イデグチ

!?

お弟子君

まったく、人使いが荒いなぁ

ロリ魔

私は動けるモノは何だって使うさ!!

イデグチ

二手に分かれようっていうのか!?

イデグチ

選ぶまでもない、魔術書破損した少女はほっといても問題ない

お弟子君

うわ!! 危ないですね!!
あと一歩でつぶれるところですよ

イデグチ

せいぜいろっ骨が折れてバカンスにご招待ってだけだ。

神聖な白い巨塔に白衣の天使。文句ないだろう?

お弟子君

悪いですが、心に決めた人が居るんですよ。

魅力的な白衣の天使も、そこかのロリ師匠も興味はありません。

イデグチ

そりゃあよかった、真人間ってわけだ。

まあ見たところ身体強化の魔術書だろう?

多少の攻撃なら気を失う程度だろう? 

問題ない。

お弟子君

でも僕に気を取られたのは間違いでしたね。

熱烈なラブコールは、好みでなくても女性に贈るべきです。

お弟子君

それにお師匠を放置すると、風呂場のカビ並みに気付いた時に手遅れです

イデグチ

あ?

魔術書破損させたんだ、大したことは出来ない……。

ロリ魔

とでも思ったか?
間抜けが!!

ロリ魔

起動!!
魔術書展開!!

実行
[どうか良い日でありますように]!!

イデグチ

違う魔術書!?

今度は……斧!? 

イデグチ

バカな、二冊も持っているのか!?

お弟子君

ていうかお師匠、
そのセリフなんですか悪役ですか?

ヒールなんですか?

ロリ魔

うっさい、勝てばいいのだ。

不採用

術式
[ハゼルダイチ]

イデグチ

や、やられた!!

粉塵で見えない!!

ロリ魔

弟子君、今のうちに突破!!

お弟子君

アイアイサー

イデグチ

くっそ、待て!!

第三電子魔術実験都市
 ~第五区画地下某所~

 第三電子魔術実験都市では、常にMANAの散布が行われている。
 故に電子魔術書を所持している者は一般的な外敵には無類の強さを誇るが、襲撃者も魔術書を所持していればその限りでは無い。

ロリ魔

術式
[ユレルセカイ]

お弟子君

あーごめんなさいね、下手に手加減できません

イデグチ

って、何事もなくサクッと一行で特級魔術師が倒されていく!!

ロリ魔

なんとなく察してたけど、あんた特別枠だよな?

他の奴と全然実力違うからな。

お弟子君

そう言うのからは逃げたほうが得策ってわけです。

申し訳ない

イデグチ

っく、そうこう言ってる間に、さらにやられていく。

ていうか走るのはえええええええ!!

イデグチ

一体何冊の魔術書が破損したんだ……。

ロリ魔

そう言うの気にするのなら、早くそっちの上司に諦めるように言えば良いじゃないか。

お弟子君

ですよね、別にこっちは暴力で解決しようなんて思ってない訳ですし。

イデグチ

どの口が言ってる!? 

クソッ、こいつらだって別に弱いわけじゃないんだぞ!?

イデグチ

…………

イデグチ

……だが………確かに。

イデグチ

こちらイデグチ、もう正直こいつら止まりません!!

何があったか知りませんが、殲滅よりも交渉を検討したほうが良いのでは!

何度も言わせるな。対処せよ、特級魔術師

イデグチ

いやいやだから俺以外の特級が、バターを切るかの如くさっくりと倒されていくんですよ!! 

魔術書の被害も甚大です!!

ならば迅速に解決したまえ。以上だ。

イデグチ

だあああああもう!!
いったいなんだって言うんだ!!

話にならん!!

ロリ魔

まあ、期待はしてないさ。

ロリ魔

お!!

下に行くエレベータ発見!!

お弟子君

とっとと乗っちゃいましょう。

ロリ魔

む……反応しない

お弟子君

カードキーが必要みたいですね。

イデグチ

ハァ……ハァ……。

それならこいつのことか?

ロリ魔

おお!!
持ってきてくれたのか?

助かるわぁ。

イデグチ

あほか!!

所持している事示さないと、お前らぶっ壊してでも先に進むだろう!?

お弟子君

まあお師匠ならやりかねないですね。

ロリ魔

私もそこまでゴリラじゃないだろ。

倒していた奴らから奪い取ればいいじゃないか。

もしくは持っているっポイやつ締め上げるとか。

お弟子君

そうですか? お師匠なら、そう言うの面倒がると思ったのですが

ロリ魔

………

ロリ魔

……確かに破壊の方が面倒ないか

イデグチ

ヤッパリゴリラじゃねえか!!

流石にそれは俺が止める!!

イデグチ

くらえ!!

ロリ魔

そろそろその念動力も、『ローマの休日』並みに見飽きてきたわ!!

力の流れも見えてきたってものだ!!

イデグチ

いいや!! それはこっちだって同じだ!!

君は魔術書の理解は凄いようだが、

戦闘に関しての訓練を受けてないな!?

ロリ魔

何を根拠に

イデグチ

一つ目の魔術書は戦闘指示を出す剣。

戦闘指示なんて、あるいていど訓練を受けていれば、サシの勝負では邪魔になる。

イデグチ

二つ目の魔術書は破壊力が有り余る斧。

勢いで駆け抜けてたが、男の方にフォローしてもらっていたな?

お弟子君

そうなんですよ。お師匠、牛みたいに勢いで突っ込むからけっこう大変で

ロリ魔

おい、弟子君。何肯定してるんだ。あと牛?

お弟子君

まあまあお師匠、ばれているようですし。

気付いていないかもしれませんが、その魔術書も破損させられましたよ。

イデグチ

念動力は派手な技ばかりじゃないからな。

内部を破壊させてもらった。

ロリ魔

……会話でこっちが動かない様にしたのか。やるな。

~続く~

『そんな事もあったかもしれんが昔の話だ。今はもっと大人しいさ』と彼女は言う。~その2~

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