『そんな事もあったかもしれんが昔の話だ。
今はもっと大人しいさ』と彼女は言う。
~その2~
『そんな事もあったかもしれんが昔の話だ。
今はもっと大人しいさ』と彼女は言う。
~その2~
第三電子魔術実験都市
~第五区画地下某所~
現在MANAの研究は実用段階に移行している。この勢いならば、十数年の間に全世界どんな場所でも電子魔術を使う事が可能となるだろう。
しかしそれを動かすためのソフトウェア、『電子魔術書』が不足していた。
っく、A4版タブレットか。
そこから……剣の召喚!? 生成系の魔術書か!?
だが、生成される前に、念動で!!
剣術
[ミナモコノハ]!!
逸らされたか!!
正面から簡単にやられちゃな!!
ならば
後ろだ!!
っく、なんだその反応速度!!
背後に目でもついているのか!?
剣が教えてくれただけさ!!
お前はどこかの剣豪少女か!!
今度はこっちから行くぞ!!
っく、早くは無いが……。
右か!!
っく!!
と見せかけて左か
っぐ!!
念動力で防ぐか……。便利な能力だな
って、お前本当に何者だ!?
素人の太刀筋じゃねえぞ!?
そうでも無いさ。
ただ単にあなたが私の可愛さ並みに解かりやすいだけだ。
……OK、右だな。
っく!!
逃げられるとでも?
……いや、読めた。
くらえ!!
っく!! 剣狙い!?
『OK』とか頷くってことは、支持出している存在があるってことだ。
剣自体が知能を持ってお前に指示出していたんだな?
『剣が教えてくれる』とも言ってたし。
お師匠、大丈夫ですか?
剣先が吹っ飛びましたが
……軽微だけど破損した。
人工知能の『黒』も『ヒール』も反応しない。
帰ったら修正ファイル使わないと。
まさか、一撃で生成した剣を破壊するとはね。
指示してるやつはどんな場合でも直接的な攻撃に弱い物さ
あんたの上司みたいにか?
違いないな。
自分でもわかってるだろうから、今頃強固な防壁でも築いてるさ。
それは困るな。手が出せなくなる。
…………
弟子君、行きなさい。
足はまだ痺れてないだろう?
!?
まったく、人使いが荒いなぁ
私は動けるモノは何だって使うさ!!
二手に分かれようっていうのか!?
選ぶまでもない、魔術書破損した少女はほっといても問題ない
うわ!! 危ないですね!!
あと一歩でつぶれるところですよ
せいぜいろっ骨が折れてバカンスにご招待ってだけだ。
神聖な白い巨塔に白衣の天使。文句ないだろう?
悪いですが、心に決めた人が居るんですよ。
魅力的な白衣の天使も、そこかのロリ師匠も興味はありません。
そりゃあよかった、真人間ってわけだ。
まあ見たところ身体強化の魔術書だろう?
多少の攻撃なら気を失う程度だろう?
問題ない。
でも僕に気を取られたのは間違いでしたね。
熱烈なラブコールは、好みでなくても女性に贈るべきです。
それにお師匠を放置すると、風呂場のカビ並みに気付いた時に手遅れです
あ?
魔術書破損させたんだ、大したことは出来ない……。
とでも思ったか?
間抜けが!!
起動!!
魔術書展開!!
実行
[どうか良い日でありますように]!!
違う魔術書!?
今度は……斧!?
バカな、二冊も持っているのか!?
ていうかお師匠、
そのセリフなんですか悪役ですか?
ヒールなんですか?
うっさい、勝てばいいのだ。
術式
[ハゼルダイチ]
や、やられた!!
粉塵で見えない!!
弟子君、今のうちに突破!!
アイアイサー
くっそ、待て!!
第三電子魔術実験都市
~第五区画地下某所~
第三電子魔術実験都市では、常にMANAの散布が行われている。
故に電子魔術書を所持している者は一般的な外敵には無類の強さを誇るが、襲撃者も魔術書を所持していればその限りでは無い。
術式
[ユレルセカイ]
あーごめんなさいね、下手に手加減できません
って、何事もなくサクッと一行で特級魔術師が倒されていく!!
なんとなく察してたけど、あんた特別枠だよな?
他の奴と全然実力違うからな。
そう言うのからは逃げたほうが得策ってわけです。
申し訳ない
っく、そうこう言ってる間に、さらにやられていく。
ていうか走るのはえええええええ!!
一体何冊の魔術書が破損したんだ……。
そう言うの気にするのなら、早くそっちの上司に諦めるように言えば良いじゃないか。
ですよね、別にこっちは暴力で解決しようなんて思ってない訳ですし。
どの口が言ってる!?
クソッ、こいつらだって別に弱いわけじゃないんだぞ!?
…………
……だが………確かに。
こちらイデグチ、もう正直こいつら止まりません!!
何があったか知りませんが、殲滅よりも交渉を検討したほうが良いのでは!
何度も言わせるな。対処せよ、特級魔術師
いやいやだから俺以外の特級が、バターを切るかの如くさっくりと倒されていくんですよ!!
魔術書の被害も甚大です!!
ならば迅速に解決したまえ。以上だ。
だあああああもう!!
いったいなんだって言うんだ!!
話にならん!!
まあ、期待はしてないさ。
お!!
下に行くエレベータ発見!!
とっとと乗っちゃいましょう。
む……反応しない
カードキーが必要みたいですね。
ハァ……ハァ……。
それならこいつのことか?
おお!!
持ってきてくれたのか?
助かるわぁ。
あほか!!
所持している事示さないと、お前らぶっ壊してでも先に進むだろう!?
まあお師匠ならやりかねないですね。
私もそこまでゴリラじゃないだろ。
倒していた奴らから奪い取ればいいじゃないか。
もしくは持っているっポイやつ締め上げるとか。
そうですか? お師匠なら、そう言うの面倒がると思ったのですが
………
……確かに破壊の方が面倒ないか
ヤッパリゴリラじゃねえか!!
流石にそれは俺が止める!!
くらえ!!
そろそろその念動力も、『ローマの休日』並みに見飽きてきたわ!!
力の流れも見えてきたってものだ!!
いいや!! それはこっちだって同じだ!!
君は魔術書の理解は凄いようだが、
戦闘に関しての訓練を受けてないな!?
何を根拠に
一つ目の魔術書は戦闘指示を出す剣。
戦闘指示なんて、あるいていど訓練を受けていれば、サシの勝負では邪魔になる。
二つ目の魔術書は破壊力が有り余る斧。
勢いで駆け抜けてたが、男の方にフォローしてもらっていたな?
そうなんですよ。お師匠、牛みたいに勢いで突っ込むからけっこう大変で
おい、弟子君。何肯定してるんだ。あと牛?
まあまあお師匠、ばれているようですし。
気付いていないかもしれませんが、その魔術書も破損させられましたよ。
念動力は派手な技ばかりじゃないからな。
内部を破壊させてもらった。
……会話でこっちが動かない様にしたのか。やるな。
~続く~