明義は目の前の課題を前に思わず愚痴をこぼした
先生は鏡華の壁を超えて課題の量を調節したりしないものなのかと思えるような量だった。
なんだよこの課題の量
明義は目の前の課題を前に思わず愚痴をこぼした
先生は鏡華の壁を超えて課題の量を調節したりしないものなのかと思えるような量だった。
現実逃避だ
学業が学生の本分であるなら、それから逃げるのは学生の本能の様なものだ
といっても何か目的があってわけでもない明義はなんとなくネットを開いた。
するとそこには自分の住んでいる場所の近くで起きた事件についてのニュースがあった
失踪事件かぁ
最近多いなぁ
数日前にも母親が言っていたような気がするなと明義はぼんやり考えた
坂上さん……巻き込まれてなければいいけど……
課題から目をそらし続けていた明義のスマホに電話がかかった
相手は昌弘だった
どうした?
電話なんて珍しいな
お前今時間あるか?
LIFEの俺のアカウントをフォローしてくれないか?
電話越しの声は明らかに慌てていた。
昌弘との付き合いはかなり長いが、ここまで慌てているのは初めてだった。
どうした?そんなに慌てて
理由はあとで話す!
いいから早くしてくれ!
IDは……
明義はPCを開き、慌てる昌弘の言うIDをLIFEのユーザー検索にかけた。
そこには「まむー」というユーザー名が表示されていた
まむー?昌弘のアカウントで合ってんのか?
そう思いながら明義はフォローのアイコンをクリックした。
しかし、現れたメッセージには『このユーザーは既に退会しています』とあった。
おい、昌弘。
お前退会してんじゃん。
ID間違ってんじゃねぇの?
明義は電話をとって言った。
しかし、向こうから応答はなかった。
いたずらか?
どうせいつもの手の込んだいたずらだろうと割り切った明義は高く積もっている課題に向き直った
きっとこの課題に嫌気がさしたのだろう
全く迷惑千万である。
明義は、明日は絶対に課題を写させないようにしようと心に決めた
翌日の明義に待っていたのは昌弘が失踪したという知らせだった。
連続失踪事件との関連の可能性もあったため、警察も来ており、最後に連絡を取っていたということで、明義も事情聴取を受けた。
やっぱり、LIFEに何か関係があるのか?
明義の脳内に先日の昌弘が発した言葉が反響する
坂上さんが心配だな……
そんなことを考えていた時、スマホの通知が鳴った
相手は坂上芽衣子のアカウントからだった
真田君、大丈夫?
何気ない一言だったが、いつも通りの言葉に安心とうれしさがこみ上げる
しかし、言うべきことは言わねばならない
明義はメッセージ芽衣子にを送った
警察に話聞かれたりでちょっと疲れたけど大丈夫だよ。
昌弘が言ってたんだけど、今回の失踪事件ってLIFEのユーザーばっかり狙われてるらしいんだよね
だから坂上さんも気をつけて
一通りいうべきことは言ったし、これで芽衣子の危険を回避できればと考えた
しかし、その返答は返ってこなかった……