竹井

何なんだあれは…っくそ

いまさらながら、ここで断っておく。僕は、猫被っている。つまり、あの敬語は無理している。本当の僕は毒舌だ。自分でも自覚している。だからこうしとかないと無意識のうちに暴言を吐いてしまう。両親以外もこのことは知らない。ちなみに、眼鏡もだてだ。真面目に見えるようにかけている。効果はある。

ここで、追いついてきたらしい広瀬が階段から上がってきた。

広瀬

…はぁ、はぁ…ふぅー。
お前、どんだけ苦手なんだよ、  女子。

竹井

あなたが慣れすぎてるだけでしょう。

広瀬

かもな。

かもな?さらっと言いやがったぞこいつ。
屋上の金網に押し付けてところてんにするぞ。

なんて悪態をついていた僕は、次の彼の一言に驚かされることになる。

広瀬

…てかさ、お前なんでそんな猫被ってんの?

竹井

!!!

何故だ。何故気づいた。そんな素振りは見せた覚えが無い。どこで気づいた。

竹井

…なんで気づいた。そんな素振りは見せてないはずだぞ。

しかし、彼の口から出た次の言葉にさらに驚かされた。

広瀬

ほんとだったんだ。笑

ハッタリだったのかよぉぉぉぉぉお!!
…こいつ、許さん。

という心の声がまんま顔に出てたのか、広瀬はこう続けた。

広瀬

じゃあもう隠す必要はないな。

そして僕はだて眼鏡を取る。

竹井

…っち、まんまとはめられたってわけか。

広瀬

おいおい、人聞きのわりぃ事いうなよ。俺ははめるつもりなんてなかったぜ?。

てかお前、まじでそんなキャラだったんだな。と、笑う彼にこう言った。

竹井

このこと誰にも言うんじゃねぇぞ。言ったら…

広瀬

分かってるって。言わねぇよ。そのかわり、二人だけのときは本性出せよ。

広瀬

なんか弱み握ってるみたいだな、俺。

こいつまじでところてんにしてやろうか。
そう思ったときに広瀬はこう言った。

広瀬

んじゃまぁ、これからよろしくな!タケ。

そういって差し出された悪魔の契約の手を、僕は握ってしまったのだった。

そして時は、現代に戻る。

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