イザベラ

幽霊?

サニー

幽霊です

イザベラ

それで、どのような被害が?

サニー

えーっと……浴室が泡だらけになりました……

イザベラ

掃除は済ませましたか?

サニー

一応

イザベラ

よろしい。他の皆さんは?

イザベラが見渡すが、それに答えるものはいない。

今のやりとりを見て、イザベラが幽霊の存在を信じたとは到底思えなかったから。

イザベラ

被害がないのなら取り立てて騒ぐこともないでしょう。
まだ朝食まで時間があります。身だしなみを整えて、まずは心を落ち着けること。

イザベラ

私は広間にいますから、また何かあればその時は私をお呼びなさい

以上とばかりに踵を返し、イザベラは広間へ向かった。

ひとことでも言える者はおらず、生徒たちはお互い視線を交わして仕方がないと肩をすくめた。

エマニュエル

イザベラ先生らしいですね……。
でも先生の仰ることももっともだし、部屋に戻りましょう

サニー

――何言ってんの? こうなったら徹底的に調べるべきだよ

レイリー

……え?

サニー

信じてもらえないなら、こっちで何かつかむしかないでしょ!
被害が出てからじゃ遅いんだしさ~。レイリーはあるじゃん、大きな被害

レイリー

確かに、シャンプーが半分くらい減ってて落ち込みましたけど……

サニー

ならやろうよ! このまま帰るだけなんてつまんないよ。

サニー

この洋館にはきっと何かあるんだって。そう思うでしょ!?

ナタリア

このまま帰るのも……後味がよくない気がするよね……

チズ

本当に幽霊がいるのなら、この目で確かめたいな

ヴェロニカ

ヴェロニカはどっちでもいいけど、幽霊がどうやってぬいぐるみを縫うのかは興味ある~

エマニュエル

――やむを得ませんわね。アン先生が倒れたのも何か関係があるのかもしれません。
イザベラ先生に怒られない範囲で……というのは無理かもしれませんけれど、
無茶のない範囲で調べてみましょう

サニー

やった! 絶対正体をつかんでやるー!!

レイリー

無茶のない範囲でって言ってるのに……

サニー

だいじょーぶだいじょーぶ、無茶なんかしないって!

レイリー

信じがたいですね。でも……あの幽霊の声、どこかで聞いたような――

そんなわけで、サニーたちの洋館探索が始まった。

9-3|古き洋館の息遣い・中編【5/25更新】

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