イザベラが見渡すが、それに答えるものはいない。
今のやりとりを見て、イザベラが幽霊の存在を信じたとは到底思えなかったから。
幽霊?
幽霊です
それで、どのような被害が?
えーっと……浴室が泡だらけになりました……
掃除は済ませましたか?
一応
よろしい。他の皆さんは?
イザベラが見渡すが、それに答えるものはいない。
今のやりとりを見て、イザベラが幽霊の存在を信じたとは到底思えなかったから。
被害がないのなら取り立てて騒ぐこともないでしょう。
まだ朝食まで時間があります。身だしなみを整えて、まずは心を落ち着けること。
私は広間にいますから、また何かあればその時は私をお呼びなさい
以上とばかりに踵を返し、イザベラは広間へ向かった。
ひとことでも言える者はおらず、生徒たちはお互い視線を交わして仕方がないと肩をすくめた。
イザベラ先生らしいですね……。
でも先生の仰ることももっともだし、部屋に戻りましょう
――何言ってんの? こうなったら徹底的に調べるべきだよ
……え?
信じてもらえないなら、こっちで何かつかむしかないでしょ!
被害が出てからじゃ遅いんだしさ~。レイリーはあるじゃん、大きな被害
確かに、シャンプーが半分くらい減ってて落ち込みましたけど……
ならやろうよ! このまま帰るだけなんてつまんないよ。
この洋館にはきっと何かあるんだって。そう思うでしょ!?
このまま帰るのも……後味がよくない気がするよね……
本当に幽霊がいるのなら、この目で確かめたいな
ヴェロニカはどっちでもいいけど、幽霊がどうやってぬいぐるみを縫うのかは興味ある~
――やむを得ませんわね。アン先生が倒れたのも何か関係があるのかもしれません。
イザベラ先生に怒られない範囲で……というのは無理かもしれませんけれど、
無茶のない範囲で調べてみましょう
やった! 絶対正体をつかんでやるー!!
無茶のない範囲でって言ってるのに……
だいじょーぶだいじょーぶ、無茶なんかしないって!
信じがたいですね。でも……あの幽霊の声、どこかで聞いたような――
そんなわけで、サニーたちの洋館探索が始まった。