夕食後。

ソファに座り、TVの映像と音声をぼんやりと眺めていた。

ふいに居間の電話が鳴った。

母が電話に向かう。

もしもし、間宮です………あら沙希ちゃん?こっちに電話なんて珍しいわね?
もしかしてデートのお誘い?
……あー夏月振られちゃった


相手は沙希らしい。不思議なことに二人の会話が、大まかに予想できる。

一方的な母親の茶化しに沙希が慌てふためいてるに違いない。

いい加減、俺が乱入しないと沙希がいつまでも本題に入れそうにないなと思ったところで。

えっ、連絡網?


ようやく、電話の本題に入ったようだ。

それからは主に沙希が喋っているようで、母は相槌を打ってばかりいた。

えーっと、その東堂君って子が、昨日から行方不明なのね?分かったわ。ありがとね、沙希ちゃん。ちゃんと次の人に回しておくから


電話は母のその言葉で無事に終わったようだ。もしまた世間話という名の俺の話題が続くようなら、強引にでも割り込んで切ってやらないとなんて思っていた。

しかし。東堂が、行方不明………?

夏月、東堂君って子が昨日の放課後から行方不明らしいわよ。なにか知ってる?

まさか

そりゃそうか。それでまだ何もわかってないけど、犯罪に巻き込まれた可能性もあるからあなたも気をつけるようにって。
連絡網回しとくわよ?

………ああよろしく


俺はテレビに目を戻しつつ、頭では別のことを考えていた。

まさか、ね。

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