ミツナリの家の屋根で騒ぎを起こしたユキムラ達は、さっさと寝れと言わんばかりの形相のミツナリに、個室へ押し込まれて一夜を明かした。
やっぱ野宿じゃダメねー。室内が一番。
布団ふっかふか。
ミツナリの家の屋根で騒ぎを起こしたユキムラ達は、さっさと寝れと言わんばかりの形相のミツナリに、個室へ押し込まれて一夜を明かした。
それにしても、ホントだめねーアンタ。
え?
普通、主人公…ってか…勇者ってさー…可愛い女の子を助けるんじゃないの?
ハハハ、どこの世界の主人公だろ。
先日、ノーラの自業自得ではあるものの、ユキムラは幼馴染の危機に棒立ちしていた。
そう、ただ見てただけ。
そう、ただ叫んで止めただけである。
ホントくそ。ゲシュジンコウ。役に立たない。ヘタレ。クズ。実はロリコン。ノウタリン。顔面偏差値10。男前偏差値1。
言いすぎだろ!
じゃ、せめてレベル上げなさいよ。私のために。
なんでお前のためなの。
バーカ、どうでもいいでしょ。
いやいやいやいや。
あ、回復にミツナリさんも連れて行きましょ。
えー…来るかな…。
引きずってくわよ。
昨日のミツナリの本性を見ただろ、と言ってやりたいものなのだが、恐らくノーラは恐れていないのだろう。
彼女はにやりと悪だくみをする猫のように…否、悪だくみする猫になった彼女がいる。
叫べば来るかしら?
ミッツナリさーん!
ほら、頭脳偏差値20くらいのアンタも叫んで。
ちょくちょくディスるのやめて!?
てか、探しに行けば…
めんどくさい。
お前ね…。
まぁ、確かに。
ミツナリィィィィイイイ!!
おはようございます。ノーラさん、ポチ助さん、ヘタレドクズくん、どうかなされましたか?
室内で大声を出したとなれば、鬼の形相でお叱りを受けそうなものだが、案の定平和に終わりそうだ。
襖を勢いよく開けた本人は、尻尾を大きめに振って微笑んでいる。
おーミツナリ…
って、なんでお前もディスってくんの!?
やーね、ミツナリさん聞いてたの?
ディスるってなんですか?
知らないんかい!
あ、ちなみに耳には自信ありますよ!小声とかでも聞こえちゃいます。
ミツナリの本性の件…言わなくてよかった。
あ、レベル上げでしたっけ?
小声でも聞こえるというのは、このミツナリに対しては怖いものがあるのだが…こういった場合は実に楽だとユキムラは思った。
事情を説明するということは、ユキムラにとって面倒な部類だからだ。
ちょーっと離れた場所にスライムスポットがありますから、行ってみましょう。
おぉー。なんという都合のいいスポット。
行ってみるにゃー。
徒歩3時間後
到着しましたよ!
いや、遠かったんだけど!?
えーと…お目当てのスライムは…。
必死に山道を歩くこと三時間。ミツナリは慣れているのか、すたすたと置いていく勢いで歩き、ユキムラはひたすら追った。
俺が汗まみれ泥まみれになろうと、ミツナリは知ったこっちゃないといった感じだ。
んー…いなくね?
辺りを見回すと、そこにあるのはスライムの死骸のようなドロッドロのゼリーみたいなもの。
活きのよさそうなぷるっぷるなスライムなどは見当たらない。
あ、たくさん居ますね。ほら!
ぷるぷる。僕悪いスライムじゃないよ。
…………………。
………………………。
ぷるぷるしてねぇぇぇぇえええ!!!出直して来い!!!
プルプルしてるスライムなんて、スライムじゃありません。
ふぁ!?
がおー!!!
ほら、戦ってください。今からきっちり3時間スライム狩りです。
3時間!?
ほらはやく!
スライムCが現れた!
スライムA、Bは何処へ行ったのだろう?
テロップおかしいんだけど!
ぐぉぉぉおおお!!!
スライムCの無慈悲な攻撃!
ユキムラに30のダメージ!これは痛い!
つよ!!!!!
早く攻撃してくださいよー。
あ、回復~。
ミツナリの回復!
ユキムラは30回復した!
俺だってやってやるんじゃい!!!よし、俺もノーラみたいにひっか………く?
HP33
ユキムラ/レベル1 /猫人
攻撃 土下座 かっちゃく←
防御 謝罪 逃げる
ぷふっ……。
か…かっちゃく……。
ユキムラのかっちゃく!
スライムに2のダメージ!!
痛いよーな痛くないよーな。
あ、ちなみに…スライムのHPは50くらいですよ。
もう帰りたい!!