俺が前に出かけた瞬間、俺の目に移った光景に、言葉が出てこなかった。
俺の眼に映ったのは、完全状態で練成された希のデバイスだった。
俺が前に出かけた瞬間、俺の目に移った光景に、言葉が出てこなかった。
俺の眼に映ったのは、完全状態で練成された希のデバイスだった。
そこまで!
姉の合図で眼前のデバイスが消えていく。
そして、慌てて希が駆け寄ってくる。
俺は、前身の力が抜け、その場に座り込んでしまった。
大丈夫ですか?
お姉さんから手加減をしてくれとお願いされたので、力は抑えたのですが……。
俺は、その言葉に愕然とした。
俺が、負けた……のか……?
俺は自分の状況が理解できなかった。
今まで、こんなにも力の差をつけられたことが無かったからだ。
でも、どうしてこれほどの奴が、今までこの学園に入学しなかったのか。
これほどの実力があれば、とっくに……。
不思議そうな顔ね。
審判の位置にいた姉が、俺の方に歩いてきた。
何だよ。笑いたいなら笑えよ。完敗だよ。
俺は、両手を上に挙げ、お手上げのポーズをとる。
いいえ、笑わないわ。
ただ、確認したかったのよ。
私の実力が落ちていないかを、ね。
姉が言った。
え、どういうことだよ。
俺は姉を見上げる。
だから、そのままの意味よ。
私も希ちゃんに負けたのよ。
姉は平然と言った。
それは、この日本にいるすべての人間に勝てるかもしれないということを意味する言葉だった。
何故か、それは現段階で、現役当時の姉以上のレベルを持つ人間がいないとされているからだ。
冗談だろ。
俺は、姉に聞いた。
冗談でこんなこと言わないわよ。
後、もう一つ言っておくと、
何回か手合わせしてみたけれど、一回も勝てなかったわ。
姉が、自慢気に言う。
いや、自慢するところじゃないだろ。
俺は静かに突っ込みを入れた。
しかし、これは模擬戦だ。
姉も、どこか手加減をしていたにちがいない。
それは、そうと。
その力、どうやって手に入れたんだ?
俺は、当然の疑問を希にぶつける。
今の一撃、瞬間的に武器の練成を行っただけではなく、同時に剣技魔法も使っていた。
そして、その剣技はおそらく、神裂家に伝わる剣技だ。
…………。
希は、何かを言うのをためらっているように、黙ったまま何も答えない。
ああ、言いたくなければ言わなくていいんだ。
非常にやりづらい。
さっき学校で会った時から、希さんの地雷を踏みっぱなしのような気がした。
俺はこの先、希さんと一緒に暮らしていけるのか。心の中で少し不安になった。