俺、神裂 優斗は、現在非常に困っている。
俺、神裂 優斗は、現在非常に困っている。
これは、一体どういう状況なのか……。
以降、俺の今の状況を説明していこう。
俺は、いつものとおり、朝6:30に鳴る目覚まし時計の音で、目が覚めた。
んー。
もう朝か……。
目覚まし、目覚まし……。
そして、いつものとおり、ベッドの近くにある目覚まし時計の音を止めるために、目を擦りながら、手の感覚だけで目覚まし時計の位置を探した。
ここまでは、いつもの俺の朝の行動だ。
何だ? この柔らかいものは。
目覚まし時計にたどり着く前に、俺の手に触れたものは、目覚ましの硬いプラスチックの感触ではなく、それとは相対的な柔らかいマシュマロのような感触であった。
俺は不思議に思い、その柔らかいマシュマロの方を見る。
やっべー!
俺が目にしたのは、隣で気持ち良さそうに眠っている希の姿であった。
咄嗟のことで、少し大きめの声が出てしまったが、希は起きることなく、白いシーツに埋もれている。
当然この状況からして柔らかいものと言えば、希の胸なのだが、問題は希の状況だ。
シーツに包ってはいるが、所々で肌が見え、その状態から推測するに、希は今、全裸の状況にあると推測できる。
エヘヘー……。
もう、食べれない……。
希は何かの夢を見ているようで、寝言を言っている。
俺は、慌てて鳴り響く目覚まし時計を止めた。
どうしよう。
メッチャ触っちゃったよ。
事故とはいえ、ここは正直に謝るべきか。
俺は、希を起こさないように、ゆっくりベッドから離れる。
そして、左手に残る柔らかい感触に、言いようのない思いを抱きながら、部屋を行ったり来たりする。
いや、今この部屋の状況から、俺意外に誰も見ていない。
つまり、俺が黙っていれば無罪になる。
よし! これで行こう。
俺は、心の動揺を落ち着け、両手を強く握り締め、完全犯罪を確信する。
その瞬間、俺の背後に人の気配を感じた。
後ろに立っていたのは、エプロン姿の姉だった。
何やってんのかなー?
姉の笑顔の奥には、怒りが感じ取れた。
俺は何もしていない!
慌てて、姉に今までの経緯を説明すると、以外にも姉はあっさり理解してくれた。
希、ここはあなたの部屋じゃないわよ。
そう言って、姉は希を起こす。
ん、んー。もう食べられないよー。
まだ寝言を言っている。
ほら、もう朝だよー。
……。
希は、目を擦りながら部屋見渡し、今の状況を理解する。
っ!?
全てを理解した瞬間、希の顔が恥ずかしさで真っ赤になり、シーツに包まったまま俺の部屋を跳ねるように飛び出し、自分の部屋に戻っていった。
俺のシーツが……。
まあ、何かあったとしても、私は願ったり叶ったりだけどねー。
姉は何か意味深なことを言っている。
え、それってどういう……。
さあ、朝ごはんできてるから、優君も制服に着替えて降りてきなよ。
そう言い残して姉は下の階に降りていった。