* * *

樹海 サラ=バ

* * *





























シーラさん達がクルナへ到着する数日前。






勇者様が森の中を進みはじめて、


4日目の事です。





日は傾き、夜になるまでの時間は


あまり残されていません。




勇者様は今日の夜営ができる場所を


探していました。






すると、森の中に開けた場所を見つけます。





勇者

ここは……。







勇者様が覗きこんでみると


勇者

……泉だ。

もふ。

勇者

よし、今夜はここで休憩しよう。



とその時でした。


勇者





一直線に飛んできた何かを


間一髪かわす勇者様。




飛来物は勇者様がいた場所の裏にある


木に刺さりました。

勇者

……弓矢だ!

















森の泉










勇者様は木の影に身を潜め


短剣を抜きつつ戦闘態勢を取ります。







すると、上方から

???

でてけ!





という声が聞こえてきました。



???

ここは人間の来るところじゃない!
出て行かないなら攻撃する!




どうやら子供の声のようです。



勇者

なぜこんなところに子供が?




勇者様は木の影から少し顔を出し


樹上の人物に声をかけます。


勇者

……君は?




その瞬間、再び


勇者

うっ!




樹上の人物は矢を放ってきました。


???

人間と話すことなんてない!

勇者

君は人間じゃないのかい?



と聞く勇者様。


しかし、樹上の人物は

???

うるさい!



と言うと、五月雨のように


矢を放ってきました。


勇者

うひゃー、怒りっぽい子だなぁ。

???

クソっ、矢が無くなった……。

泉の精フローラ

おやめなさい、ダイ

ダイ

……フローラ様。

泉の精フローラ

失礼いたしました、勇者様。

ダイ

この人が勇者!?
こんな腑抜けた顔のヤツが?

勇者

あはは、痛いところを。

泉の精フローラ

ダイをお許し下さい。悪気があったわけではなく、この子は使命に従っただけなのです。

勇者

使命……ですか?

泉の精フローラ

勇者様、少しお時間をいただけますか?

勇者

……はい。



泉の精に話しかけられた勇者様は、


泉の脇に腰掛けます。

泉の精フローラ

では、まずこの泉の水を一口お飲み下さい。

勇者

どれどれ

勇者

ごく

勇者

すごい、疲れが吹き飛んだ。

泉の精フローラ

この泉、フローラの泉は古より疲労回復と不老長寿の効果があるとの事で重宝されていました。

泉の精フローラ

時を遡ることが120年ほど前。

泉の精フローラ

この先の城塞都市ツギノの領主【ハンマ】一族とペイ大陸の【アンゲドルバ】一族の間で紛争が起こりました。

泉の精フローラ

永きに渡るその紛争では、兵の疲労回復・士気向上の薬として大量に汲み出されました。

泉の精フローラ

紛争は約40年続きましたが、80年ほど前、アルザレア王のお力添えもあり、新たな領主らによる和解で紛争は集結しました。しかし、フローラの泉はほぼ枯渇してしまいました。

勇者

……80年前?
お義父さんのお父さんかな?

泉の精フローラ

時の領主ウッディ・ハンマはこのフローラの泉の自然回復を望み、立入禁止とするとともにその存在を隠し、泉守としてダイのお父さんのガラを任命しました。

勇者

そうなんですね。

勇者

……ダイのお父さん?80年前?

泉の精フローラ

ガラは泉守としてこの泉の水を日々口にしながら永い間この泉を守ってくれました。

ダイ

すげーだろ、フローラ様のおかげでこの泉は不思議な力があるんだぜ!

勇者

なるほど。

泉の精フローラ

ところが、そのガラも泉の水の力の補助も追いつかなくなり体が次第に動かなくなってきました。

泉の精フローラ

そこで、ガラの子のダイが新たな泉守としてここを守ってくれているのです。

ダイ

へへんだ。

泉の精フローラ

ダイ。この奥にある薬草を摘んできてくれるかしら?

ダイ

はい、フローラ様。



フローラさんに言いつけられたダイさんは、


元気に返事をして奥へと向かいました。

泉の精フローラ

勇者様、少々お耳をお貸し下さい。

勇者

はい。

泉の精フローラ

実はダイは60年前に私とガラの間に産まれた子です。

勇者

ひぇー。そうなんですね。



驚きを隠せない勇者様、


おもわず大きな声を上げてしまいそう。

泉の精フローラ

この事はまだダイには伝えていません。



すると、奥からダイさんの元気な声が


聞こえてきました。

ダイ

フローラ様、摘んできました。

泉の精フローラ

ありがとう、ダイ。

泉の精フローラ

勇者様、ご迷惑をお掛けしたお詫びです。大したものではありませんが、この薬草をお持ち下さい。

勇者

いえ、ご迷惑だなんて……。

泉の精フローラ

フローラの泉の水を吸い上げた薬草です。通常の薬草とは違い、霊薬草と呼ばれており傷以外にも煎じて飲むことで疲労回復の効果が得られます。

勇者

ありがとうございます。



勇者様はくるりとダイさんの方を振り返ると、


ダイさんの頭を撫でました。


ダイ

な・な・なにすんだよ!

勇者

ダイ。

ダイ

なんだよ!

勇者

こんな小さいのにダイは偉いな!

ダイ

やめろよ、恥ずかしい!

泉の精フローラ

ふふふ……。




勇者

……そうだ、今日この泉の側で夜営をさせてもらっていいですか?

泉の精フローラ

それはかまいませんが……。

泉の精フローラ

ここは獣の水飲み場でもあるので、安全とは言い切れません。

勇者

……そこはなんとかします。

ダイ

……。

ダイ

……勇者様、うちに来るか?
アンタみたいなへなちょこ勇者じゃ
野宿だといつか獣に食われちまうぜ。

勇者

それは助かるけど……。いいのかい?

ダイ

……ああ。
病気の父ちゃんがいるけど、それでもよければ。

勇者

ありがとう、ダイ!

勇者

ダイはどこに住んでいるんだい?

ダイ

この先に泉守の小屋がある。そこに住んでるんだ。

ダイ

日が暮れちゃうとマズイから、さっさと行こうぜ!





ダイは勇者様を先導するように


泉の脇の小路へと入って行きました。




勇者様は道を行きながら、


ふとフローラ様の言葉を思い出します。




泉の精フローラ

ダイは60年前に私とガラの間に産まれた子です。

勇者

……んー、まてよ?
ダイは60年前に産まれたってことは、もう60歳じゃないか!

ダイ

もうすぐ着くよ、勇者様!

勇者

はい、ありがとうございます、ダイさん。

ダイ

……?
変な勇者様だなー。








まもなく、小さな小屋が見えてきました。



























つづく

【勇者勇の装備】
レベル  :17
めいせい :155
ぶき   :新品の短剣
よろい  :鋼鉄のよろい
かぶと  :銀の額当て
たて   :なし
どうぐ  :野ばらのペンダント
      焼豚×2
      焼きとり×2
      霊薬草×9
      淡水ザメの煮凝り
      淡水ザメの骨
      淡水ザメの牙
      黒王の羽
      いつもの額当て
      王の冠
      カジノコイン×2560
なかま  :もふもふ
とくぎ  :ファイアブレス
      トキシックブレス
      釣り
じょうたい:カジノ破壊の容疑者、森林を進行中

【シーラの装備】
レベル  :11
めいせい :170
ぶき   :いつもの本
よろい  :いつもの服
かぶと  :いつもの飾り
たて   :なし
どうぐ  :やくそう×94
      イーサ薬×9
      乗船券×4
      おみやげ×99
      ガラスの破片
なかま  :戦士ポメラ
      大魔導ソルフェージュ
      コボルト
とくぎ  :しょうかん
      値切り
      冷やかし
      虫の知らせ
      ディゾネの思い出
じょうたい:パーティーリーダー

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