* * *

樹海 サラ=バ

* * *
























ダイ

ただいまー。

……うぅ……あぁ……。

ダイ

ちょっと狭いけど、ここに寝てくれよ。

勇者

ありがとう、ダイ。

勇者

さっきの声はお父さんかい?
すごく辛そうだったけど。

ダイ

うん。もうあんまり声も出せないんだ。

勇者

ちょっと会わせてもらっていいかな?

ダイ

うん、いいよ。




背中















ダイ

父ちゃん、入るよ。

勇者

お邪魔します。

ガラ

……う……あ…。



部屋のベッドには


1人の老人が横たわっています。




ダイさんのお父さん、


ガラさんです。




ダイ

父ちゃん、
半年くらい前に寝込んでから、
どんどん悪くなって……。

勇者

そうか……。
病気なのかな……。

もふ!
もふ!

勇者

……ん?





もふもふさんが急に騒ぎ立てました。



病気じゃないよ!
病気じゃないよ!

勇者

…え?




もふもふさんからのメッセージを


受け取った勇者様。



ガラさんの体を観察し始めます。




勇者

あれ?これ……。




ガラさんの首から顎にかけて


浮き上がっている紋様を見て


勇者様はハッとします。

ガラ

……

勇者

ダイ、ちょっと布団をまくっていいかな?

ダイ

え、うん。

勇者

うっ……。


ガラさんに掛けられた布団をめくる勇者様。


すると、ガラさんの顔の紋様と同じ文様が


手足にもびっしり。

勇者

こ……これは。
呪詛毒だ。

ダイ

呪詛毒?なにそれ?

勇者

魔力による毒と言えばいいかな。

勇者

マズイな。
早く解呪しないと。
頭まで覆われたら命を落としてしまう。

ダイ

えぇ!?

ダイ

父……ちゃん……。

勇者

俺達で解呪をしよう。
あまり得意じゃないけど、解呪のやり方は俺が知っている。

ダイ

どうすりゃいいの?勇者様。

勇者

結界を張ってその中に毒消し草を燻した煙を充満させて3日ほど安静にさせるんだ。

勇者

結界は、えーっと……。ダイ、布袋が3つあればそれももらえるかな?

ダイ

うん。



ダイさんは部屋の戸棚から


布袋を取り出します。

ダイ

はい、勇者様。

勇者

ありがとう。
あと、毒消し草は無いかい?

ダイ

家にはないけど、フローラの泉の薬草の近くに毒消し草もあるよ。

勇者

まだ日は暮れてないな……。

勇者

よし、じゃあ、ダイは暗くなる前に毒消し草を取ってきてくれ。

ダイ

わかった!



そう言うと、ダイさんは



フローラの泉へと向かいました。
















勇者

薬室結界だから、薬草……霊薬草でもいいかな?



その間、勇者様は霊薬草をすりつぶし、


布袋へと詰め薬袋を作ります。

ダイ

勇者様、取ってきたよ!

勇者

よし、じゃあ毒消し草を乾煎りしてくれ。程よく水分が抜けたら壷に入れて持ってきて。

ダイ

うん



ダイさんは勇者様に言われた通り、


火をおこして毒消し草を鉄鍋で乾煎りします。





その間、勇者様は


寝ているガラの頭上と両足の脇へ


薬袋を置きます。



そして、

勇者

トライアングル・シール!(Lv 17)



と勇者様が呪文を唱えると、



正四面体の魔法陣がガラさんの体を囲いました。




ダイ

できたよ、勇者様。

勇者

よし、貸してくれ。


勇者様はダイさんから


毒消し草の入った壷を受け取ると


壷に向けて指を十字に組みます。

勇者

プチファイア!(Lv 17)









勇者

これを魔法陣の中へ入れて……




魔法陣内が煙で満たされました。


勇者

燃えすぎないように、
常に火力をコントロールし続けて……。
このまま3日間……。

ダイ

え!?このまま3日間!?



おどろくダイさん。


勇者様の体も心配になってきました。

ダイ

……勇者様。
……父ちゃん。















* * *






























ダイ

勇者様、これ食べて。


ダイさんはその場を離れられない勇者様に


食事と飲み物を持ってきます。


勇者

ありがとう、ダイ




勇者様は片手を壷の方へかざしながら、


もう片方の手で食事を摂ります。


ダイ

勇者様。

勇者

なんだい?

ダイ

勇者様はここを出たらどうするの?

勇者

んー、ツギノを目指しているんだけど、街道を使えないからなかなか着かなくてね。

勇者

またどこかに寄り道しちゃうかも……。

勇者

急がないとはいけないんだけど。

ダイ

ツギノかぁ……。

ダイ

勇者様、どうして勇者様は
こんな事……解呪とかを知ってるの?

勇者

前にアインスタークを討伐してた時、仲間に色々教えてもらったんだ。

ダイ

仲間……。

勇者

薬袋の使い方、結界の種類と張り方、毒消し草を燻す方法……。

みんな俺が知らないいろいろな事を知っていたよ。

ダイ

へぇ……。

勇者

世界は広いよ。

俺が知らないことはまだまだあるし、それを知っている人もたくさんいる。

勇者

ダイの弓の技法だって、
俺は全然知らないしね。

ダイ

ふ〜ん……。
世界か……。

ダイ

俺、産まれてからずっとここで暮らしているから、森の外がどうなっているか全然知らないな……。

ダイ

買い出しでツギノに行くことはあったけど、その他のことは全く……。

勇者

……じゃあ、ダイは海とかも知らないのかな?

ダイ

海って?

勇者

フローラの泉みたいに水が張ってるんだけど、見渡す限りに泉が広がっているんだ。

ダイ

へぇ!すごいね!いつか俺も海を見てみたいな。

勇者

んー……。
お父さんが元気になったら、一緒にいくかい?

ダイ

……元気になっても、父ちゃんがもう歳だから。……きっと無理だよ。

勇者

無理なのかな……?
もしかしたら……。

ダイ

え?

勇者

ふふふ。

勇者

さて、もう一頑張りだ。
























* * *























そして、3日目の朝。




















……ダイ。ダイ。




ガラさんが口を開きました。



ダイ

!!




勇者様の傍らで寝ていたダイさんは


ハッと飛び起きました。


ダイ

父ちゃん!

ガラ

ダイ!



老人のように衰弱しきっていたガラさんでしたが、


回復したその姿は


凛々しいお父さんの体になっていました。

ガラ

これは一体……?
この方は?

勇者

良かった……。
もう大丈夫だ……。



勇者様はそう言うと


その場にバタリの倒れこんで

勇者

ぐーがー


と、いびきをかいて眠ってしまいました。

























* * *
















ーー翌日。












ガラ

フローラ!

泉の精フローラ

ガラ!




ダイ

勇者様、フローラさまと父ちゃん、すげー仲いいだろ。

勇者

え、あ、うん。




真実を知る勇者様は


ダイさんの言葉にドギマギします。









泉の精フローラ

勇者様、ありがとうございます。

泉の精フローラ

ガラの衰弱が呪詛毒とは思っておりませんでした。泉の水で回復しないのは種族の違いとばかり思って……。

泉の精フローラ

泉の水の力の過信は良くないですわね……。

勇者

疲労は回復できても、解毒、特に魔力による毒は回復できなかったみたいです。

ダイ

勇者様、本当にすごいな……。

ダイ

ん?



ふと、ダイさんは


ガラさんが手にもつ荷物が気になりました。

ダイ

父ちゃん、そのリュックは何?

ガラ

ん?ああ、ちょっとな。

勇者

さて、そろそろ俺は旅立ちます。

ダイ

あ……。

勇者

ダイ、宿を取らせてくれてありがとな!


そういって勇者様は


フローラの泉を旅立ちました。

泉の精フローラ

本当にありがとうございました!



去りゆく勇者様の背中を見ながら


複雑な表情を浮かべるダイさん。


ダイ

……。



……そして、


ダイ

父ちゃん!

ガラ

ん?

ダイ

俺、勇者様と世界を回りたい!

ガラ

……ふふふ。
ダイは新しい背中を見つけたようだな。



そう言うとガラさんは


手に持ったリュックをダイさんに渡し

ガラ

これは旅の道具だ。

ダイ

え?
……父ちゃん……。

ガラ

解呪されている間、二人の声は聞こえてたよ。

ガラ

さぁ、行って来い、ダイ!
その目で世界を見てくるんだ。

ダイ

うん、ありがとう、父ちゃん!



ダイさんはそう言うと


今にも森に消えそうな勇者様の背中を


追いかけて走り出しました。


ダイ

待って―!
勇者様―!!!














泉の精フローラ

寂しくなりますね……。

ガラ

なぁに、ダイももう大人の男だ。世の中をもっと見たほうがいい。それに……。

ガラ

もう一人くらい子供が増えてもいいかも……な。

泉の精フローラ

……んもぅ










































* * *





ダイ

勇者様、そっちに言ったらツギノと反対方向に行っちゃうよ!

勇者

えぇ!?

もふもふ









勇者様の旅は




3人パーティーになりました。























つづく






【勇者勇の装備】
レベル  :17
めいせい :186
ぶき   :新品の短剣
よろい  :鋼鉄のよろい
かぶと  :銀の額当て
たて   :なし
どうぐ  :野ばらのペンダント
      焼豚×2
      焼きとり×2
      霊薬草×5
      淡水ザメの煮凝り
      淡水ザメの骨
      淡水ザメの牙
      黒王の羽
      いつもの額当て
      王の冠
      カジノコイン×2560
なかま  :泉守ダイ
      もふもふ
とくぎ  :ファイアブレス
      トキシックブレス
      釣り
じょうたい:カジノ破壊の容疑者、森林を進行中

【シーラの装備】
レベル  :11
めいせい :170
ぶき   :いつもの本
よろい  :いつもの服
かぶと  :いつもの飾り
たて   :なし
どうぐ  :やくそう×94
      イーサ薬×9
      乗船券×4
      おみやげ×99
      ガラスの破片
なかま  :戦士ポメラ
      大魔導ソルフェージュ
      コボルト
とくぎ  :しょうかん
      値切り
      冷やかし
      虫の知らせ
      ディゾネの思い出
じょうたい:パーティーリーダー

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