父さん

ご無沙汰です
長老さま

長老

久しぶりじゃのう
元気にしとったか

父さん

えぇ
おかげさまで

この人がこの島の長。
実質1番偉い奴だ
…気にくわない

俺ちょっと外行ってくるわ

父さん

おい待て優!

由美

あ、あたしも!

父さん

由美まで!

長老

いいじゃあないか
子供は元気な方が良い
ところで…………

俺は父さんの声を聞こえないフリをして
外へ駆け出した

由美

ちょっとゆうちゃん!
どこまでいくの!?

別にどこだっていいだろ!!

由美

ゆうちゃん……

…姉貴は見なかったのかよ
あの俺たち人として見てないような目を…

何が桃源郷だ
ここはただの地獄じゃないか
金を持つものが支配し続ける島なんて…

あいつのせいで母さんが!!

父さん

おーい
由美ー!優ー!どこにいるんだー?

遠くから父さんの呼ぶ声が聞こえた。

由美

あ!ここだよー!
ほら、優行こ

そう言って姉貴は俺の手をとった。

わ、わかったから
離せよ!

由美

なんかお祭りなんて久しぶりかもー♪

こんな祭りのなにが楽しいんだか

父さん

年に1度しかない祭りなんだ
優も楽しんだ方が得だぞ〜??

由美

そーそー♪
じゃあ、屋台周ろう!

いや、まだ準備中じゃん
屋台は夕方くらいにまた行こう

由美

そーだね!
じゃあ、まずは準備を手伝おー!

お、おいあの子可愛くないか??
お前声かけてこいよ

そんな会話が遠くから聞こえてきた。

ま、とりあえず…
夜になるまでそこらへん歩こうぜ

そう言って俺は姉貴の手を引いた

由美

あ…うん…

川島

あれ、茅野姫んとこのせがれじゃねぇか
帰ってきてたのか

お久しぶりです、川島さん
久しぶりに家族揃っての休みでして

この人は川島 大和 俺らがこの島に住んでいたときによくしてくれたおじさんだ。

川島

ゆみちゃんもおっきくなったなぁ〜
前はこんくらいだったのに

由美

もー!
そんなにちっちゃくなかったよ!!

川島

ははは
冗談だって

遠くから花火の音がした

川島

そろそろ始まるな…

そうですね………

俺は今でも鮮明に覚えている。
俺たち家族が離れ離れになってしまったあの日を

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