確かに俺らではどうにも出来ない事かもしれない。
それでも……
花火の音が鳴っている
ねーねー!
これってどこであげてるんだろうね??
俺に聞かれても困るよ姉貴。
そろそろ始まるみたいだ
俺たちも準備した方がいいみたいだな
そう…みたいですね
また会えたら話しましょう
そんなこといってくれるなよ
今回は俺たちは多分大丈夫なはずさ
でも、他の誰かが…
仕方ないことだよ…
俺だって嫌なんだ。
確かに俺らではどうにも出来ない事かもしれない。
それでも……
優、由美、そろそろ準備しなさい。
わ、わかってるよ
ゆうちゃん、いこ?
なんだろう
何かすごい胸騒ぎがする…
喉の奥に何かが引っかかっているような
むず痒い心境のまま
俺らは鳥居の元へ足を運んだ。
ねえ、ゆうちゃん
さっきのお父さん…
…あぁ
少しおかしかったかもな…
俺らのいない間に何かあったのか…?
それとも…
まぁ、今考えても仕方ないかっ
姉貴の能天気さはこんなときこそ頼もしいものだ。
いつもじゃただただアホっぽいだけなのだから…
…………
あの子は…
…あの格好
どこかで
あの子はね
去年の
…!
やっぱり…
…なんで父さんは平然としているのだろうか
まるで心そのものがなくなってしまったかのような…
近くで花火の音が聞こえる
花火の音を心臓の鼓動が掻き消してしまうほど
俺は落ち着いていられなくなっていた。
ゆうちゃん……
俺の顔を見る姉貴の表情はどんどん強張っていった。