5月5日

せっかくの休日も、部活に勤しめばするっと過ぎてしまう。
夕方になってようやく時間の空いた俺は、にーのを部屋に呼んだ。

犬伊

帰りに買ってきた柏餅、一緒に食べよ?

新乃

・・・

なんて、にーのを誘う口実でしかないコンビニで適当に買ってきた柏餅を、にーのは嬉しそうに食べてくれるから、俺はちょっと罪悪感で胸が痛んだ。

新乃

・・・

柔らかい餅をもちもちと食べるにーのを、ベッドから観察する。
にーのの好物ってなんなんだろう。
甘いのなら大抵食べちゃうみたいだけど、洋菓子と和菓子ならどっちの方が好きなんだろう?
もっとにーのが喜ぶこと、したいな・・・。

部活の疲れが出たのか、気がついたら俺は眠っていたらしい。
ふと目を開けると辺りは暗くなっていた。
にーの、帰っちゃったかな。

犬伊

・・・

新乃

・・・

にーのは、机に突っ伏すみたいに、ベッドに上半身だけ倚り懸かり、腕を枕に寝ていた。
寝息でにーのの頭がわずかに上下する。

犬伊

可愛いな・・・

新乃

・・・

頭を撫でても起きないにーの。
このままじゃ眠りづらそうで、起こさないようにそっと抱き上げてベッドに寝かした。

犬伊

気持ちよさそうに寝てて、何しても起きなそう
おとぎ話の眠り姫みたい

犬伊

・・・

犬伊

・・・いやいや

頭をよぎった不埒な妄想に、俺は頭を振った。
それから夕食の時間になると匂いにつられてにーのは目覚めた。
ホッとする自分と残念に思う自分と、変な気分だった。

つづく

学校だるいよーやることないよー。

新乃

・・・

また見てね!

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