卓さん!!!???

突如始まった贖罪の時間



このままではみんな凍死してしまう状況の中、この状況を脱しようと卓さんが特技の千里眼を使おうとした時だった

突如卓さんが頭を押さえてうめき声をあげた


うぅ・・。

卓さんを心配する僕たちであったが、突如、僕らの頭にも強烈な衝撃が襲った


っ・・!!??
これ・・・は?

そして直接頭の中に物語が流れ込んでくる・・・






『鍛冶屋と悪魔』
原題:Der Schmidt und der Teufel



昔、今日の食事に困るほど貧乏な鍛冶屋がいました。

あるとき、鍛冶屋が森を歩いていると悪魔が現れ「三年後にお前の命をくれるなら、沢山の金貨をくれてやろう。」と話を持ち掛けてきました。

鍛冶屋はどのみち餓死してしまうので悪魔の誘いにのり、三年後に命をくれてやるという誓約書を書いて金貨を手に入れました。


鍛冶屋はさっそく手に入れた金貨でいい鍛冶の道具を買います。

それから不思議なことに、沢山の注文が来るようになり、鍛冶屋は瞬く間に金持ちになりました。


そして鍛冶屋の腕を聞いた聖ペテロが白馬にのって天国から降りてきて、その白馬の蹄鉄を注文します。

評判以上の出来だったのでペテロはとても満足し、鍛冶屋の願いをなんでも三つかなえてやろうといいました。


すると鍛冶屋は
『手を入れると鍛冶屋がいいと言わない限り抜けなくなる釘袋』
『座ると鍛冶屋がいいと言わない限り立てなくなる椅子』
『登ると鍛冶屋がいいと言わない限り降りれなくなるリンゴの木』
その三つを頼みました。


ペテロは変な願い事だと思いながらも、鍛冶屋がそう望むならとかなえてあげました。


悪魔との約束の日が迫り、まず悪魔の三番弟子が鍛冶屋を殺しにやってきます。

すると鍛冶屋は地獄に行く前に釘が欲しいのでこの袋からとってくれと言って三番弟子の手をまんまと釘袋に入れ、抜けなくさせてしまいました。

三日後、三番弟子は鍛冶屋に許しを請い、あきらめて帰ってしまいます。


その後、悪魔の二番弟子がやってきましたが今度は地獄に私を連れていく前に一休みしませんかといい、椅子に座らせ立てなくしてしまいました。

そして二番弟子も鍛冶屋に許しを請い、あきらめて帰っていきます。


その後また悪魔の一番弟子がやってきましたが、地獄に行く前にリンゴが食べたいからとってきておくれといって一番弟子をリンゴの木に登らせると、降りれなくさせてしまいました。

とうとう一番弟子も鍛冶屋の許しを請い、すごすごと帰って行ってしまいました。


そしてついに業を煮やした悪魔本人がやってきました。
悪魔は釘袋に手を入れたり、椅子に座ったり、リンゴの木に登ったりしないぞと心に決めておりました。


そんな悪魔に鍛冶屋は言います。

『地獄へ行く前にお前の力を見せておくれ。でも、お前の弟子の情けなさを見る限り、ねずみになることすらできないだろうね。』と挑発しました。


ますます怒った悪魔はこれでもかと言ってねずみに変身しましたが、その瞬間、鍛冶屋はねずみを釘袋に入れてしまいました。

悪魔は暴れましたが、出られません。

鍛冶屋は出してほしければ誓約書を出せといい、悪魔はしぶしぶ認めると、鍛冶屋は袋から悪魔を袋から出して、誓約書を鍛冶窯で焼いてしまいました。
悪魔は何も取れずに地獄へ帰ってしまい、二度と鍛冶屋の前には現れませんでしたとさ。



おしまい

ぼ・・・僕は憤怒の罪を犯した悪魔・・・。
過去に怒りに身を任せたことで、みすみす鍛冶屋の命を取り損ねたんだ・・・。

物語を紡ぐ声がやみ、卓さんはつぶやく

こんなに寒いのに、卓さんののど元には一筋の汗が伝う

物語の終盤に過去の自分につぶやかれました。
『もし贖罪に失敗したら、お前の体を乗っ取り、報復のために人を皆殺しにしてやる』って・・・。

ほう、興味深いのう!
じゃがしかし今は・・・!

はっ、はい!!
わかってます!

そう言って卓さんはじっと壁に目を向ける。

そ・・そんな!!!

どうしたのじゃ!?

っ・・!
スイッチらしきものがたくさんあるんです!!
敷き詰められたように!!

なおも低くなる気温に耐えながら卓さんは叫ぶように言い放つ

沢山!!??

は・・・はい。
で、でも!!
こんなに多くを見分けるなんて僕には無理です・・!!

そういって卓さんは涙目になった目をこちらに向ける

唇は悔しさからか噛みしめられていた

ぼっ・・僕たちここで・・しっ死んじゃっ・・・、ひぃぃぃ!!!!!

卓殿!!!
ここは卓殿の力が必要なんじゃ!!

っ~!!!

卓さんは壱さんの真剣な目を見て、自分の頬を思いっきりたたいた

パンッ・・・!

こ・・・こんなに細かく千里眼を使ったことないからでっできるかわかりませんが・・・。
もう一度やってみます!!!!!!!!

再び卓さんは壁を凝視する

これも違う・・・、こ、これも・・・くっ!!!

卓さんがスイッチを探している間も刻一刻と投凍死へのタイムリミットが迫ってくる


寒さで段々と青紫色になってきた唇をかみしめながら卓さんは片目を押さえた

いっ・・・!!

卓さん!!??

だ・・・大丈夫です!
―――・・・っ、あった・・・!!!!

発見の声とともに卓さんは崩れ落ちた


す・・すいません、体力が!
あそこです!!
あそこの部分の壁の中にあります!!

壁の中じゃと!??
壁を壊せるようなものは何もないんじゃが・・!!
しかもあの高さでは打ち割ろうにも力もはいらん!!

たしかに普通の人なら壁なんて壊せない

そしてあの高さ


階段の端からの距離は一番背の高い壱さんでも届きそうにない



でも・・・、僕なら

壱さん、任せてください!!!!

僕は壱さんにかがんでもらい、背中を踏み台にしてその勢いのまま螺旋階段の手すりを蹴り上げる


いっけぇぇぇぇぇええ!!!

握りしめたこぶしを僕は一気に壁に叩き込んだ

ドガッ・・・!!!!

僕の思惑通り壁は粉砕され、そのままボタンも押される


そして僕はさらに壁を蹴り上げて、もといたところに飛び降りた

漣殿やりおるのう!!!

壱さんの感嘆の言葉とともに壱さんの近くの壁にドアが出現する

さあ!!!
早くいきましょう、壱さん、卓さん!!

僕は二人に声をかけたが、卓さんは目を押さえたままうずくまっていた

卓さん!?

すっ・・・すいませんが、先に行っていてください!!!

どうしたんですか!?

卓さんの手を引っ張っていこうと腕をつかむと卓さんの掌が血に染まっていることに気付いた

これは・・・!???

ちょ・・・ちょっと無茶をしすぎたみたいです。

卓さんの両目からは血が流れていた

め・・・目がつぶれちゃったみたいで・・。
僕は後悔していませんが、これでは皆さんの足手まといになります!!
カ・・カギはあなたたちが使ってください!!

ダメです!!
おいていけません!!!

れ・・漣殿!!
下を見るのじゃ!!!

バキッ!!!!!!

壱さんの声と奇妙な音ではじかれたように下を向くと、螺旋階段が音を立てて崩壊しながら横へ横へと吸い込まれるように消えていく



時間がない!!!
早くこちらにくるのじゃ!!!!

扉付近にいる壱さんは大声で僕らを呼ぶ

でも卓さんが!!!!!

だから僕のことはおいて行ってください!!!

っ・・・!!!!!

僕はキッと卓さんをにらみ、頬を叩く

パン!!!!!!

!!!???

さっきまで卓さんは死にたくないって言ってましたよね・・・。
だったら、あきらめないでください!!
置いていけ・・・それが本当にあなたの本音なんですか!!!!!!

っ・・・・・。

卓さんはぎゅっとこぶしを握り締める

ぼ・・・僕は。

漣殿、卓殿!!!
はよせぬか!!!
もうそこまで階段が消失しておるぞ!!?

ぼく・・・っ僕は・・。

卓さんの目から血が混じった涙が流れ出す

本当は死にたくない!!!!!

・・・はい。
みんなで生きましょう。

・・・!!!
はいっ!!!!!!!!

???

うるせーよ、バーカ。

その時、僕の横から足が現れ、卓さんを蹴落とす

!!!!!!?????
卓さああああああああああああん!!!!!!!!




つづく・・・
 

~罪人リスト~
名前、罪状
童話
特技
 

No.1 漣 ???
     『???』
      ???

No.2 馨 憂鬱 
     『子供たちが屠殺ごっこをした話』
      ???

No.3 壱 ??? 
     『???』
      心を読むこと(?)

No.4 菖蒲 ???
      『???』
       ???

No.5 卓 憤怒
     『鍛冶屋と悪魔』
      千里眼
 
No.6 ??? ???
       『???』
        ???

No.7 ??? ???
       『???』
        ???

No.8 ??? ???
       『???』
       ???
 

No.1

No.2

No.3

菖蒲

No.4

No.5

???

No.6

???

No.7

???

No.8

pagetop