君は信じるだろうか。
運命や幸運…必然や、偶然。


でも、あるんだ。



そんな不確かな存在も、確かに存在してる。


狂わそうとした歯車は正常に回り続けている。



この事態が不確かな力によるものだけど
この事態の改善もまた…不確かな力によるもの。


運命によって始まった物語に
たったひとつの不確かな存在。


その存在は物語を壊す者なのか
それとも…物語の柱になる者なのか…。


君も見たいと思うだろう、遊霧。


























田畑 結城

ま~くらがなくて~
おっさきまっくら~ふふふ~ん

佐藤 紘

あ、おかえりなさい。

佐藤 紘

って…また随分と期限がいいな。

田畑 結城

問題は解決したんだぞ?
何を喜ばないでいるんだねチミは。

佐藤 紘

そう…ですね。

田畑 結城

ちなみに斑は縄でちょいちょい
ちょちょちょちょいのちょいっだ!

佐藤 紘

長いわ!

田畑 結城

ただし…
寂しいと死んじゃうので
三食食べさせてあげること。

田畑 結城

はい、あ~んって。

佐藤 紘

アンタ一人でやってろ。

田畑 結城

冷たい!冷血!

佐藤 紘

冷えた血は流れてませんよ、普通。

田畑 結城

ぼ、ボケで返されるとは…。

羽鳥 弘継

ぷっ。

田畑 結城

おい、弘継。

羽鳥 弘継

フイッ

田畑 結城

顔をそらすな!

西園寺 詩乃

はい、そこの君達!

佐藤 紘

どうしました?

田畑 結城

どうかしたのか?

羽鳥 弘継

………………。

西園寺 詩乃

なんと倉庫で…

西園寺 詩乃

お菓子の薬を見つけました!!!!

田畑 結城

おぉ!
お菓子の薬なんてあるのか!

羽鳥 弘継

……………………。

西園寺 詩乃

ふっふっふっふ~。

佐藤 紘

いや、どう見ても毒だよ!

西園寺 詩乃

何を言っているの?
ちゃんとお菓子の薬って書いてあるわ!

田畑 結城

どれどれ…。

田畑 結城

菓子の薬だ!!!

羽鳥 弘継

………。

佐藤 紘

……お菓子の薬と偽って…
毒薬飲んでください的な…

田畑 結城

違うだろう。
きっと毒薬に見えるけど
実は菓子の薬だと親切に…。

佐藤 紘

な、わけあるか!

只野 悠馬

……どうかしたのかい?

佐藤 紘

いつの間に後ろに…!

只野 悠馬

あぁ、佐藤君キミか。

只野 悠馬

自己紹介がまだだったね?

只野 悠馬

僕は只野悠馬(ただの ゆうま)
平北高校の者…だよ。

佐藤 紘

平北…ですか。

只野 悠馬

そう。
聞いてるかわからないけど…
時間的には先日…かな?

只野 悠馬

先日亡くなった工藤君とは
1つ違いの先輩でね。

佐藤 紘

あれ…工藤さんが亡くなったこと…。

只野 悠馬

佐倉さんから聞いたよ。

只野 悠馬

あ…彼女とは挨拶した?

佐藤 紘

いえ…。

佐藤 紘

佐倉って…
もしかして緑の…

只野 悠馬

佐倉さん、ちょっと来て。

佐倉 百恵

はい。

只野 悠馬

彼女が佐倉さん。
佐倉百恵(さくら ももえ)さんだよ。

只野 悠馬

彼女もまた…工藤君とは同級生だ。

只野 悠馬

ここだけの話…

只野 悠馬

彼女は日向君のものだから
絶対に手は出しちゃだめだよ?

佐倉 百恵

ちょっ…只野先輩!?

田畑 結城

佐藤君にそんな根性があるとは…!

田畑 結城

むぐっ

羽鳥 弘継

俺たちは、あっちに行ってようか。

佐藤 紘

割り込んで来たのを
羽鳥さんが連れ去ってくれた。

佐藤 紘

って…そんな根性ってなに!?

佐藤 紘

………女性に手出したことないけど。

只野 悠馬

つ、続きいいかな?

佐藤 紘

あ、すいません…どうぞ。

只野 悠馬

それで本題に入るけれど…

只野 悠馬

この薬は危ないから没収ね。

西園寺 詩乃

あ、ちょっと…!

西園寺 詩乃

私の大切な命のお菓子の大切な一生物の家宝レベルのトレビアンなグレートレア薬!!

佐藤 紘

言いにくいな。

只野 悠馬

ごめんね。
自己紹介で長話になったけど
要件はこれだけなんだ。

佐倉 百恵

えっと…
じゃあ私は戻っても…。

只野 悠馬

うん、いいよ。

佐倉 百恵

それでは、失礼します。

佐藤 紘

あ、はい。

只野 悠馬

ダメだよ、危険だから。

西園寺 詩乃

そんな……。

佐藤 紘

西園寺さんが持ってるよりは…。

只野 悠馬

それじゃ、失礼するね。

佐藤 紘

あ、はい。
なんか逆にありがとうございます。

佐藤 紘

今のとこ
一番まともな人じゃないかな…。

千堂 旭飛

佐藤くん。
ちょっと…いいかな?

佐藤 紘

あ、千堂さん。

佐藤 紘

どうかしましたか?

千堂 旭飛

少し頼みたいことが………

千堂 旭飛

これをどうにかしてくれ。

七海 秋人

ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガエガタガタ。

佐藤 紘

七海くん!?

千堂 旭飛

…………工藤くんの件以来、ずっとこんな感じなんだ。
あやそうとしても…どうやら俺じゃ力不足みたいだ。

佐藤 紘

苦労するなぁ…この人。

千堂 旭飛

というワケだから…
様子を見ててくれ。

千堂 旭飛

それとどうやら…
少し記憶も混濁しているようだ。

千堂 旭飛

少し…変わったことを言うかもしれないな。
極力目を離さないでやってくれ。

佐藤 紘

そ、そうですか…
わかりました。

千堂 旭飛

それじゃあ、失礼するよ…。

佐藤 紘

はい。

佐藤 紘

とは言ったもののどうしよう…。

七海 秋人

…………………。

佐藤 紘

ほ、本当にどうしよう。

七海 秋人

あれ…千堂先輩は?

佐藤 紘

あれ…震え止まってる…?

七海 秋人

ま、いいや。
もう居ないんすよね?

佐藤 紘

まぁ…うん。

七海 秋人

それじゃ俺、大丈夫なんで!

佐藤 紘

まるで嵐のように…。

佐藤 紘

って…極力目を離さないようにって…。

佐藤 紘

…………元気そうだし…大丈夫かな?

佐藤 紘

まぁいいや。

佐藤 紘

さて…なにしようかな。

佐藤 紘

そういえ…
誰一人探索してないけどいいの…か?

佐藤 紘

この人達出る気はあるのかなぁ…。










































10話 つかぬ間の平穏と薬

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