出会いは、今年の夏。



学校指定のオープンキャンパスに行った時のことだ。

社会学部のないその大学は、私にとってなんの興味も沸かないところだったけれど、

とりあえず出席だけ、と参加した時。



橋下詩織

藍、帰りカラオケ行こう。今日本当につまんない。

迫田藍

同感、せっかく来たけどやっぱ社学ないところ見てもなあ。




そんな私たちに、


小林唯

意外といいところだったりして。





学校のパンフレットを手渡しながらクスリと笑いかけた人。



橋下詩織

え、聞かれてた、本当にごめんなさい!

小林唯

いいよいいよ、んなもんでしょ。

迫田藍

すみません。




そう言って、視線を上げた先、
これが運命というものなのかもしれない。


というのはこの時思いもしてなかったけれど、

ここで話しかけられなかったらこんな思いも感情も生まれなかったのだと思うと、



やはり運命の出会いと言ってもいいだろう。




これが、小林唯さんとの出会いだった。













橋下詩織

っていうことがあってさ、マジで申し訳ないことしちゃったの。

三浦隼人

なにそれ笑う。

迫田藍

いや、結構笑えなかったからね。




次の日学校で笑い話として、オープンキャンパスでのことを詩織が面白おかしく話す。


橋下詩織

でも、結構かっこよかったよね!アリなんだけど。

迫田藍

そうだっけ。罪悪感でそんなこと考えられなかったや。




詩織が腕を組んで、
私的にはかなりキタ。と口を尖らせる。


三浦隼人

えーなにそれー、嫉妬すんだけどー。




三浦が続いて詩織の真似をするので、私も腕を組んで笑ってみせる。


橋下詩織

ま、もう二度と会うことはないから。どうしようもないんだけどね。





詩織が私の頬をつまんで、
真似すんな可愛い奴めというので、



迫田藍

残念だったね、他で探しましょうや。





私はし返す。


たまらなく好きだ、こういう時間が。







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