ソラ

思い出したよ、シロ

ソラ

僕たち昔、ここで踊ったんだね
今みたいに

シロ

そうだよ

シロ

でもそれは、いまのシロじゃない

ソラ

え?

シロ

ソラ!!!

ソラ

うわっ

突然だった。
シロが僕を突き飛ばす。
その直後、何かが空を切る音がした。

シロ

はしって!!!

シロが僕の手を強く握り、そのまま走り出す。
引っ張られるように僕も走った。

後ろから、また何かが発射された。
僕は走りながら、後ろを振り返った。

 ■

それは黒い鎧をまとった、2mはありそうなロボットだった。
ロボットは片手を上げ、その掌に黒い四角い何かを作り出す。
そしてそれは風を切り、僕たちの方へ飛ばされた。

ソラ

シロ、何だよあれ?!

僕たちはロボットから逃げて、公園の奥にある水辺の桟橋まで走った。
どうやら撒いたのか、ロボットは見当たらない。

シロ

あれは・・・シロをこわす

ソラ

壊す・・・?
それって

シロ

ソラ

二度目の衝撃だった。
でも、今度はさっきと違った。
シロが僕に抱きつくようにしている。

ソラ

し、シロ・・・?

急に抱きつかれた僕はドキドキしていた。
けれど、事態は僕が思っているよりも重大だった。

シロ

ソラ

ソラ

シロ・・・?

最初に気づいた異変は、光だった。
シロが纏うキラキラした光は急速に消えていく。

そして、抱きついたシロの背中に黒い何かがへばり付き、それはみるみるシロの身体を侵食していく。

ソラ

な、なんだこれ・・・

そして僕はようやく気づいた。
遠く離れているけれど、誰かがいる。
そいつは、黒い姿をしていた。

黒に染まった、シロだった。

ソラ

ど、どうしよう・・・?

あの黒いシロが何なのか、シロにへばりつく黒いものが何なのか、僕が考えてもわかりっこなかった。

ただ混乱する僕を、シロの声がわれにかえさせる。

シロ

なかないで

ソラ

でも・・・

シロ

シロをみつけて

ソラ

シロを・・・?

シロ

シロをたすけて

ソラ

ま、待ってよ

シロの言ってることがわからなかった。
そして、シロの身体は次第に黒く染まっていく。

シロ

ソラなら、シロをみつけてくれる
たすけてくれる
まってるよ

ソラ

シロ!!

その瞬間、シロはひときわ輝いて、花が散るように消えた。

シロはどこにもいなくなってしまった。

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