シロは跡形もなく消えてしまった。
もうどこにもいないのに、助けてだなんて。
見つけてって何だよ・・・
シロを助けてって・・・
シロは跡形もなく消えてしまった。
もうどこにもいないのに、助けてだなんて。
クッ
あの黒のシロが、僕に向けて黒いものを飛ばしてきた。
逃げなきゃ。
逃げてどうするのか、わからない。
それでも逃げてどうにかしなきゃ。
僕はまた走り出した。
ハア、ハア、ハア・・・
桟橋の奥、森の中まで走る。
黒いシロも、ロボットの姿も見えなかった。
けれど油断はできない。
でも、どうすれば・・・
シロのことを思い出す。
シロを見つけて、助けて。
シロはそういった。
そういえば、今のシロは昔のシロと違うって・・・
でもそれは、いまのシロじゃない
いまのシロと昔のシロは違う。
それなら、シロが助けてと言ったのは、昔のシロのことなのだろうか・・・?
探すのも、昔のシロ・・・?
そういえば、この森に見覚えがあった。
二人で踊った噴水から来られるところだ。
昔、あの時も、二人でここにきたのかもしれない。
ソラ、わすれないでね
忘れないよ・・・
ぜったいみつけてね
うん
ここにいるシロのこと・・・
忘れない
そうだ!
ここに埋めたんだ
ここに、シロの・・・
僕は記憶を頼りに地面を掘り返す。
落ちていた石を拾い、泥まみれになりながら探した。
あった・・・
それは両手に乗るくらいの箱だった。
それを手に拾い上げる。
箱は勝手に開くと、中から眩しく光り出す。
箱から何かがいくつも飛び出した。
それは僕の周りをくるくると回る。
僕はその一つを手に取った。
シロの写真。
噴水で踊った二人の写真。
公園でブランコに乗った写真。
たくさんの写真が、僕の周りで舞い踊る。
シロ・・・見つけたよ!