二つの魔法の衝突により、空中で爆発が起こり、一面が煙で覆われる。
二つの魔法の衝突により、空中で爆発が起こり、一面が煙で覆われる。
爆発の煙で、視界が悪い。これも、信也の作戦のうちか?
俺が、そう考えていると、煙の中に光る何かを見た。
そこだ!
煙の中から、信也の声がしたかと思うと、金色の斧が煙を切り裂き現れた。
くっ―――――。
俺は、とっさに刀で防ぎ、信也の一撃をなんとか回避する。
そして、そのまま後方へ跳び信也との距離をとる。
どうした。避けてばかりだと、俺は倒せないぜ。
信也が、斧を構え直しながら俺に話しかけてきた。
はっ! これも作戦の内だよ。
俺は信也に反論してみるが、実際のところ信也の言う通りだ。
避けてばかりでは倒せない。
ここからどうする?
今までの攻撃で、信也の魔力はだいぶ削れているはず。
仕掛けるなら今か。
信也! 望み通り、ここからが俺のターンだ。
覚悟しろよ!
俺は信也に刀の先を向け、そう宣言した。
望むところだ!
俺と信也はお互いに距離を詰め、同時に魔法を発動させた。
獅子、裂空牙!
黄金に輝く斧が黄金の虎の姿を纏い、俺に襲い掛かる。
一の型、炎斬剣!
一度目より大きな炎を纏った俺の刀は、さながら大きな炎の剣のようになり、黄金の虎に切りかかった。
二つの魔法がぶつかった瞬間、視界が真っ白になり、大きな爆発音と共に、俺と信也はお互いに体育館の壁に叩き付けられた。
BATTLE END!
試合の終了を告げる機械音が鳴り、雪原のステージが元の体育館に戻っていく。
……痛ってー。
俺は壁から体を起こし、辺りを見渡した。
爆風の名残で土煙が少し立っているが、それでも信也の姿がぼんやりと見えてきた。
信也は壁に叩き付けられ、気絶していた。
医療班に連絡!
担架を用意してくれ。信也を医務室に運ぶ。
電話で連絡した新道は、信也の方へ駆け寄っていった。
しまった。やり過ぎた。
その後、信也は医療班の適切な治療により何事もなく復活。
俺と新道は放課後、模擬戦にも限度があるという事を、学園長からみっちり教えられた。
はぁ。今日は疲れたー。
学園長の説教が終わり、一人教室に戻った俺は、机の横に掛けてある黒い鞄を持ち、教室を出ようとした。
教室の後ろのドアに手を掛けた瞬間、俺は何かの気配を感じ勢いよく後ろを振り向く。
しかし、そこに人の姿はなく、ただ、誰もいない教室が夕日を浴びて眩しく光っていた。
気のせいか?
俺は、疲れていたこともあり、特に気に留めることなくその場を後にした。