でも、結果的に、佐島くんと二次元について叫び合ったりするようになっているなあ
ふむ……アスナが生徒会に入った理由……ですか
あの、名前の豪華そうな人が、僕の後を追って入ったんじゃないかって言ってたんですけど
名前が豪華……ああ、高屋敷梨華殿ですね
本当に豪華そうな名前だ……
まあ、高屋敷殿には説明していなかったので
まあ、いろいろと
なんか……アスナちゃん、テンション低い?
低いですよー超低いですー
今すぐにでも帰りたいくらいに低いですー
そういえばさっきの高屋敷さんって子が、アスナちゃんが廊下でふらふらしていたって教えてくれたんだけど
そ、それは……その、体育祭のクラス準備も生徒会の準備も大変そうで逃避をしたか……いえ、なんでもありません
で、でもその後、変な下級生に付きまとわれてしまいまして
あー、あの子
どこかで見た顔でしたねー
あれでしょ。夏祭りの後、変な勧誘に絡まれていた子
あー。いましたね、そんな子も。
そうですけどー
何故アスナが絡まれなければならないのでしょう
不満です
しかも王子様~なんて呼ばれているしね
アスナは……
アスナは可憐な乙女なんですよ!!
いやそこ別に協調するところじゃないし
まあ、あの子に逃げるようにこっそり伝えたのはアスナさんですし、アスナさんのことを恩人として慕っているんではないですか
王子様っていうのは……そういうプレイでしょう
は
そういうプレイです!! 百合っ子の『お姉さま~』と、一緒です
ああ、なるほど
ふ、二人で納得しないでください。意味が分からないです
んーっと
攻めが受けのことを『僕の可愛いお姫様』っていうのと同じ
ああ! それで受けは『僕も男なのに……!』って返すんですね
そうそう
そういうマニアックな話はよしてください
我ながら分かりやすい例えだと思ったんだけど
でもやっぱりアスナは王子様は嫌です
…………
こ、このシチュ……もしかしてアスナは受けなんでしょうか
いや、百合の場合は王子様の方が左ですよ
やっぱり話が段々マニアックになっていくからやめよう!
まあとにかく、アスナは一方的に慕われても困るんですよー
サボるにサボれなくなりましたし
ん? なんか言った?
い、いえ! なんでも!
まあとりあえずそれの原因は分かったのでいいとして……
いや、全然よくないんですけど
アスナさんは何故生徒会に?
私もそれ、気になっていたんだよねー
別に気にするようなことでもないと思うのですが
だってアスナちゃん、正直素行もよくないし
ひ、酷いことをいいますね
アスナはなんというか……
なんというか?
生徒会ってとっても面白そうだな、と!
……それだけですか?
しぶといですね……
やっぱ気になるし
……面白そうだと思ったのは本心です
だって生徒会に入れば……
佐島殿の弱味が握れると思って!
え……
アスナと佐島殿は一年の時に同じクラスだったんですよ。で、佐島殿はアスナのクラスの学級代表だったのです
それはそれは、クラスをまとめるのが上手な非の打ち所がない学代でしたよ
流石……佐島くん……
でも、アスナはある日気が付いてしまったのです
佐島殿が……オタクだということに
え?
え
余裕を崩さない佐島殿……その化けの皮を剥がしたいと思ってしまいまして……
だから、飛び込みました
な、何故……
面白そうだからです
意味が分かりません
ただ、今の佐島殿はオタクだということを垂れ流しですね
こう、いじりどころもないくらいに……せいぜいツッコミどころがあるくらいです
まあ、確かに僕はオタクだということを隠す派ですが……
この面子じゃ隠す意味は全くないでしょう
確かにねえ
クラスでは今でも一応非オタを貫き通していますよ
へえ……初めて知った
僕は鈴石先輩とは違うんです!
真昼間から女の子のシャワーシーンを眺めてテンション高ぶらせたりしていないんです!
私に矛先を向けるな!
まあ……初めて知ったなあ。佐島くんのそんな一面
いや、出会ったころは僕、一般人のフリしていましたよ?
そうだっけ?
そうです。鈴石先輩とは違うんです
私は別に、わざわざ言いふらしたりとかそういうのはしていないんだけど
でも、結果的に、佐島くんと二次元について叫び合ったりするようになっているなあ
どうしてこうなったんだっけ
気が付いたら……こんな関係になったようにしか思えないや
出会った頃のことなんて、頭から消し去られて覚えていない
何故、だっけ
なんとも、もやもやしている
佐島殿の弱点……それは既に見つけましたが……
今はまだ、秘密の方が面白そうですね
過去、かあ
鈴石さんは、回想する!
続く