4月27日

新乃

・・・

にーのはイライラしているようだ。
それもそのはずで、朝から糖分を摂取してないからだ。

和咲

新乃、イライラして危ない顔してるねえ

井崎

毎朝犬伊からもらってた飴も、自分で持ってきたお菓子も取り上げられたからね、犬伊に

犬伊

これもにーののためだし・・・
次は昼休みだから、何個か返してあげるけど

新乃

・・・

新乃

・・・

全部は返してもらえないと知ったにーのは、残念そうにため息をついた。

和咲

厳しすぎじゃないかなぁ

犬伊

にーののためです

新乃

・・・

糖分の足りないにーのは、シャーペンの頭をかじって気を紛らわせている。

犬伊

確かにちょっと厳しすぎたかな、甘い物一個も無しは

犬伊

でも昨日みたいなこと、にーのだって困るはずだし

犬伊

まあ、お昼くらいは少し多めに食べたせてあげよう・・・

それに、もともとにーのが昼用に持ってきた菓子パンの山はカバンいっぱいに押し込められているほどの量だ。
それを昼休みいっぱい使って食べてるにーのを見てると、糖尿病とか心配になってしまう。

自分で納得できる理由を心の中で言い訳して、そんなこんなで昼休みになった。

新乃

・・・

昼休みが始まると即座に俺の方を見て、甘いものを待っているにーの。
可愛いから少しこのまま見ていたいけれど、にーのは限界らしい。

犬伊

お待たせにーの、はいどうぞ

新乃

・・・

新乃

・・・

十数個ある菓子パンのうちの半分くらいをにーのに渡すと、にーのはそれをぎゅっと抱き締めた。
そして俺を睨みつけてくる。

犬伊

取り上げないから、ゆっくりお食べ

新乃

・・・

にーのはパンを次から次へと食べていく。
見ているだけでもお腹いっぱいの量をペロリと平らげると、また物欲しそうな顔で俺を見た。

新乃

・・・

犬伊

ん?
残りは放課後にしたら?
その方が・・・うわっ

犬伊

いてて・・・

犬伊

あ、にーのだいじょう・・・ぶ・・・?

いきなりのしかかられて、椅子ごと二人で倒れこむ。
背中を打ち付けた痛みをこらえながらにーのを見て、俺は言葉を失う。

新乃

・・・

犬伊

にーの・・・

俺が持っていた残りのパンやお菓子を、にーのは口いっぱいに頬張っていた。

和咲

新乃に甘いの我慢はちょっと無理みたいだね

午前中、甘いものを我慢しただけなのにこんなになってしまうなんて。
にーのの甘いもの中毒はちょっと重症かもしれない。

つづく

犬伊が無理に我慢させたお詫びに甘いものをおごるそうです。

犬伊

また見てね

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